段田安則のあくどさと道兼の短気さがいい『光る君へ -1話- 約束の月』(ネタバレ感想)

こんばんは、ジャスミンKYOKOです。

「源氏物語」が大好きで(正確には「あさきゆめみし」のマンガで学習したのだが)、今度の大河ドラマ『光る君へ』はどうかな、と思っていたら意外に面白かったので、レビューを書いてみることに。

未だに光源氏が「柄本佑(えもとたすく)」というのには納得いってないが、誰だったらよかったんだろう・・・と考えても思いつかず。(藤原道長が光源氏のモデルと言われる。絶世の美男子という設定)

「源氏物語」は、紫式部の人生を反映した物語と知り、人生のどの部分を物語に活かされたかを知りたくなったのと、やんごとなき京都のお友達に勧められたので観始めたのだ。

1話ごとにレビューを書いていきます。

「光る君へ -1話-」 ストーリー

↑平安京の内裏(だいり。天皇の住まい兼政治の場)を再現したと言われる平安神宮。(このドラマにも出てくる)

時は平安京(現在の京都)。

下級貴族の藤原為時(ふじわらのためとき。岸谷五朗)の家に生まれた、物語や漢詩が大好きな少女、まひろ(後の紫式部)。

生活が困窮する中、父の為時が官職につけるよう祈願をする母(国仲涼子)。

国の中枢の清涼殿では、円融天皇(えんゆうてんのう。坂東巳之助)を中心に、貴族が出世を競う毎日。

時の大納言(だいなごん。上から下に通達をする係の一番上)、藤原兼家(ふじわらのかねいえ。段田安則)は、左大臣や関白より上に出世するべく(左大臣の方が右大臣より位が上)、娘の詮子(あきこ。吉田羊)を入内(じゅだい。天皇の妻の1人にすること)させ、天皇の御子を産ませて自身の世が来ることを画策していた。

その兼家の三男の三郎(この後、藤原の摂関政治※のTOPとして君臨する)は、山楽(政治などを風刺した庶民の見世物)を観に行った折、まひろと出会う。

※摂関政治・・・・天皇の幼少期から後ろ盾として政治をするのが摂政(せっしょう)、成長した天皇を支えて補佐をするのが関白(かんぱく)。平安時代、藤原氏一族が天皇の後ろ盾や親戚となって栄華を極めた。

今日の記事のお供は、平安神宮(平安遷都1100年を記念して建立)の画像で、あの時代へいざないます。

「光る君へ -1話-」 ネタバレ感想

紫式部の書いた「源氏物語」の光源氏のモデルは、摂関政治の栄華を極めた時の貴族、藤原道長(ふじわらのみちなが)と言われるよね。

でも、ドラマを見ていると、まひろ(後の紫式部)と三郎(後の藤原道長)は、惹かれ合ってるように描かれている。

これは、まひろが恋い焦がれた道長への報われない恋(道長もいっぱい女がいた)を物語にして宮中の修羅場や恋物語を織り交ぜて書いた、という展開ににするのかな。

「この世とはわが世とぞ思ふ 望月の かけたることもなしと思へば」(自分ののぞみがもう十分に叶えられ、この満月のように何も欠けたものがないという意味)

古文の授業にも歴史の授業にも必ず出てくる、道長が詠んだとされる、うぬぼれ感満載の和歌笑。

この1話の三郎からは、そんなおごった雰囲気は感じられない。

やっぱり長年TOPに君臨すると、こういうおごりが出てくるのかな。

大納言藤原兼家の野望と、振り回される家族

大納言、段田安則演じる藤原兼家(ふじわらのかねいえ)は、北の方(きたのかた。正妻のこと)との間に4人の子がおり、男子が3人、女子が1人。

長男の道隆(みちたか。井浦 新↑)は、親の言うことをよく聞き、長子の呪縛から逃れられていない。

もっと自分で道を切り拓け!(まあ、この頃は親の出自と位のおかげで朝廷で働けるからね。私も長子です笑)

次男の道兼(みちかね。玉置玲央↑)は、重用される長男に嫉妬し、怒りを三男の三郎(柄本佑。後の道長)にぶつける。

兄弟姉妹はただでさえ競争心が強いのに、この頃に生まれなくてよかったわあ。

道兼くんのヒガミっぽさとキレ具合がなかなかいいわあ笑。

弟(三男の三郎)に「自分の虫の居所が悪いからって、身分の低い者に当たるなんて、器の小さいやつ」と言われ、図星だから滅多打ちにする。

この道兼くんをTVで観ても、自分も同じようなことしてるとは気づかぬ女や上司が多いだろうな、と思った笑。

機嫌が悪いとあからさまに机の引き出しをバシンと締めたり、キャビネットの扉をガシャンガシャン開けたり、前回同じことを頼んだ時はニコニコ笑ってたのに、今度は露骨にイヤな顔をしたり笑。

道兼くん観て、全国の気分やさんは自分にあてはめ、改心してほしいが笑。気づかぬからするんだろうけど笑。

貴族の結婚はバクチのようなもの?

この頃の貴族の女子は、家族以外の男子に顔を見られてはいけないから(御簾-みす-というすだれのようなもの越しにしか人に会えなかった)、結婚もバクチよね笑。

兼家の長女の詮子(あきこ。吉田羊)が入内(じゅだい。天皇の妻になること。内裏に入ることを言う)する前に不安がって三郎に愚痴を言う。

「上様(円融-えんゆう-天皇)の顔ってどんなかしら。 好みじゃなかったら御子を生むの難しいわあ」というのも納得よね。

そう思っててもこの頃は口には出せないだろうけど(ましては相手は天皇だし)。

イケメンじゃなくてもいいから、せめて自分のストライクゾーン(許容範囲)であってほしいよね笑。(↑円融天皇。うーんワイルドさ足りん→それは君の好み)

夫が世渡り上手じゃないと家庭は大変

それにしてもまひろ(紫式部)の家は、日々食べるのにも困窮してるのに、従者や乳母(めのと。うばのこと)を合わせて3人も雇ってたり、為時には妾(めかけ)がいたり。

下級とはいえ貴族だから、妻本人が食事を作ったりするのはタブーだったのかな。妾を囲うにもお金かかるのにね。

このまひろの家に、為時(岸谷五朗)の親戚の男、佐々木蔵之介が訪ねてくる。

ん?藤原宣孝(ふじわらののぶたか)!? 紫式部の夫になる人やん。

蔵之介なのか、いいねえ♪

最初にチラッと出しとくわけね。

親戚なのに結婚するのかあ。まあ、今もいとこまでは結婚できるからね、この頃は近親結婚はかなり多かっただろうし。

それに親戚といっても、たくさん妾がいる世だから、遠い縁って可能性もあるよね。

さて、妾や夜這い(よばい。女子の寝所に無断に忍び込み抱いちゃうこと)が公認だった平安時代、その恋愛模様を書いた紫式部の人生をNHKがどこまで描くのかな笑。夜の8時なのに笑。

「源氏物語」のシーンがちらほら 

まひろのペット、カゴで飼ってた鳥が逃げて泣いてた時に、三郎(道長)と出会う。

これは「源氏物語」に出てくるシチュエーションやん♪ 

「犬君(いぬき。若紫の遊び相手の女児)がかごに入れていた雀(すずめ)を逃してしまったの」と泣きじゃくってた若紫(紫の上の幼名)と、愛してた藤壺の宮(ふじつぼのみや。源氏の父の若き後妻)が亡くなって落ち込んでた光源氏が出会うシーンがあるのだ。

若紫が亡き藤壺の宮に生き写しだったため、身寄りがなくなったと聞いた源氏の君(光源氏のこと)は、居ても立っても居られず、彼女を引き取り世話をすることにしたのよね。(まあホントの世話は侍女がやるけど笑)

光源氏みたいに自分好みの女を創るって男の理想・・・と前はよく例えで言われていた、源氏の君と10以上も離れた年の紫の上との関係。

身寄りのない紫の上(当時8歳くらい)を引き取り育てあげたのは素晴らしいが、14歳になった時に無理やり妻にする源氏。犯罪だぞ、お前!。

まあ、夜這いも認められてたから、犯罪じゃないんだろうけどね・・・。でもイケメンだし優しいからそんなことされてもだんだん好きになってくんだけどね笑。

こんな風に「源氏物語」のシーンを見つけて嬉しい♪

吉凶を重んじ、呪いが茶飯事だった平安時代

陰陽師(おんみょうじ。天災や予言、呪いも請け負う)がユースケ・サンタマリアっていうのもいいね♪

あんなに呪いを簡単に請け負うとは・・笑(入内した関白の長女に子が生まれぬように祈願)。

「源氏物語」でも、呪いはいっぱい出てくるし、方角が悪い日には、いい方角の知り合いの家に泊まらせてもらった(方違。かたがたえという儀式)上に、その家の姫君の寝所に忍び込み襲う・・みたいなことが日常茶飯事。

翌日ちゃんと婚姻の証を届ける男ならいいけど(餅を贈る決まり)、そのままトンズラするやつもいただろうな・・。

この時代、姫君であるのも大変じゃ。だからといって、藤原氏が管理する荘園(しょうえん。貴族の持つ土地。年貢を納めさせる)で働く庶民もヤダなあ。

嫉妬と憎悪、人々のやりとりはいつの世も同じ

イライラしてた道兼(兼家の次男)が、急に飛び出してきたまひろのせいで落馬。

まひろをかばった母君が道兼に刺殺されてしまう。(この辺は創作だろうね。紫式部の母上は小さい頃に亡くなったとされている)

えーーーっ 平安時代なのに、刺殺!?

まあ、武士の世の中じゃないとはいえ、刀はあるし盗賊もいたから検非違使(けびいし。都の警備にあたる警備隊)という役職だってあったんだろうからね。

気に入らないなら下々の者を斬る者もいただろう。

まひろがついつい三郎に嘘をつく嘘の内容(自分は天皇の血筋の姫君)も、「源氏物語」の最初にある、光源氏の生まれの話そのものだし、なんだか楽しい。

天皇の寵愛を一身に受けた桐壺の更衣(きりつぼのこうい。更衣は女官の中ではかなり下の位)は光源氏を産んだけれど、正妻(弘き殿の女御)から度重なる嫌がらせを受け、病で死んでしまう。(ドラマでの嘘は正妻に疎まれ都落ちしたことになってたけど)

「源氏物語」はこういう恋愛の嫉妬と憎悪と当時のタブー(天皇の妻を寝取るなど。今でもタブーか笑)が繰り広げられる話なので、そこがこの『光る君へ』にちょいちょい出てくるのを見つけるのがとっても楽しみになってきた。

『光る君へ』これから1年間楽しみじゃ。

今日の場所 「平安神宮」 京都府京都市

@平安神宮