親のコマでしか生きる道はない平安貴族の子供たち。いよいよ三郎の正体をまひろが知る『光る君へ -4話- 五節の舞姫』(ネタバレ感想)

こんばんは、ジャスミンKYOKOです。

『光る君へ』面白い。

今の世は、「社会的に正しいか」だけが主張されがちだけど、人間って本来こんなドロドロしたもんだと思うのよ笑。

ドロドロも執着も嫉妬もあるけど、その中で負けずにどう生きていくか。

なんでも子供の時に「危ないから」って取り除きすぎるのは、「生きてく力」が身につかないと思うのよね。

学生の時は親に守られているかもしれないけれど、社会人になって急に自分1人で立ち向かわなきゃいけなくなるからね。

だから、ある程度サバイバルな環境に少しは足を突っ込んどかないとね。世の中は「理不尽」だらけなんだからさ笑。

平安時代で、「源氏物語」の雰囲気を味わうドラマなのに、ここまで美男美女が出ていないのも珍しいよね笑。

さて、今日の記事のお供の画像は、今回出てくる「五節(ごせち)の舞」も夜に舞われるので、京都の「東寺の夜桜」にしました♪

東寺の夜桜のライトアップは最高です。

『光る君へ』前回までのストーリー

盗賊に間違えられて捕まった三郎(道長。柄本佑)は、右大臣家の三男とわかるとすぐ無罪放免に。

それとは知らぬまひろ(紫式部。吉高由里子)は身を案じるが、そこに「謎の男」が現れ、「三郎は無事」だと告げる。

円融天皇(坂東巳之助)の体調は日を増すごとに悪くなり、その悪くなり方を怪しんだ頭の中将(秘書官と近衛隊の兼務の最高位)の藤原実資(ふじわらのさねすけ。ロバート秋山)は、内侍所(ないしどころ。帝の食事や身の回りの世話をする部署)の調査をするが、原因は分からず。

代筆業が見つかって外出禁止だったまひろに、父の為時は左大臣家の姫君の遊び相手としてまひろを和歌の会に送り出す・・。

でもそれはまひろを間者(かんじゃ。スパイ)にし左大臣家の動きを探らせるためだった・・・。

詳しくは前回のレビューを観てね。→『3話 謎の男』

『光る君へ -4話- 五節の舞姫 』ネタバレ感想

平安貴族にとって大切な神事、五穀豊穣を祝う「五節(ごせち)の舞」

「五節(ごせち)の舞」(五穀豊穣を祝う神事)は、「あさきゆめみし」(大和和紀が描いた源氏物語のマンガ)にも出てきたから、嬉しかったなあ。

「源氏物語」では、源氏の君にいつも付いていた従者の惟光(これみつ)の娘を「五節の舞」に出すのよね。

そこをチラ観した源氏の君の息子の夕霧(ゆうぎり。源氏の君の最初の妻、葵の上の息子)が一目惚れして文を送るも、なかなかうまくいかず。ってシーンがあった。

「五節の舞」は「新嘗祭(にいなめさい)」(五穀豊穣に感謝し、来年の収穫を祈願する祭り)の最終日の夜に舞われる、かなり重要な神事。

通常は2日に渡る祭りだけど、帝が即位した年は「大嘗祭(おおなめさい)」といい、4日間宴をやるので、師貞親王(もろさだしんのう)が即位し花山(かざん)天皇(本郷奏多)になった年だから、まひろが踊ったのは4日目の夜だったんじゃないかな。

未婚女子しか出れないから、いつも表に顔をさらさせず大事に育ててきた姫君が低い身分の男などに見初められては困るので、倫子(ともこ。左大臣家の一の姫。黒木華)に頼まれて出たまひろみたいに替え玉を使うことはあったらしい。(徳川家康みたい笑→あれは命の危険。これは貞操の危険笑)

政治のコマに子供を使うことが当たり前な時代

娘かわいさにべったりの左大臣家とは違い、自分のことしか考えてない右大臣(段田安則)の家は殺伐としてる。

3兄弟と父の右大臣が談話しているところに、内裏下がりをした詮子(あきこ。新春宮の母で、前円融天皇の妻。吉田羊)が飛び込んでくる。

「お上に毒を盛ったのですか!」

吉田羊はゴージャスさがなくてあまり好きじゃないけど、この殴り込みの迫力はやっぱり違ったねえ、カッコよかった♪。若手女子のゆるい演技にカツ!!って感じでよかった。

「薬師(くすし。薬を調合する者)を呼びます。」「いらぬ!!!」という時のドスの効いた声がよかったねえ!!

絶対認めはしないが、明らかに「クロ」の父と次男の道兼(顔に出てる笑)。

のんきな長男(井浦新)は今知ったくせに父に迎合しようとする。ここにイラッ。(お前に正義はないんか→同じ長子としてイラつく笑)。

でも、詮子(あきこ。吉田羊)もあんな風に言われるのは分かってるんだから、上皇(じょうこう。帝位を譲った帝の呼び名)に挨拶なんか行かなきゃいいのにね。

たった1人の夫だし急に違う姫に座を奪われたかと思ったら、あっという間の内裏下がりの身だから未練が断ち切れないのも無理ないかな。

平安女子はあまり男子に選択肢がないし、国母(こくも。春宮、帝の母親のこと)になったから再婚も出来ないだろうしね(こんな昔でも再婚はあった)。

「源氏物語」で、源氏の君を愛しすぎて嫉妬に狂い生霊になる「六条御息所(ろくじょうのみやすどころ)」は、亡き先の帝の妻だったのに源氏の君と恋に落ちるけど、あれは春宮じゃなく娘を産んでたから出来たのかもねえ。

未来の夫、宣孝と伏線

藤原宣孝(ふじわらののぶたか)役の佐々木蔵之介がいいなあ。

博識だった父為時(ためとき。岸谷五朗)の、人の道をはずれた行動にイラつくまひろを「それも父上が人間だからじゃ」と諭す。

そうなのよね、長子は親に理想を持ちすぎていて正義感もあるから、親のみっともない姿にガッカリし、そこで反発し、ぶつかる。

そんな長子のバカな姿を見て育つ末っ子は、親のあしらい方もうまくなり、親にむやみに理想を持たないから本気でぶつかり合うことはないので、三男の三郎みたいにひょうひょうと生きれるのかもしれないね。

でもこの父へのイライラや、三郎の正体を知ってしまったショックから、宣孝(佐々木蔵之介)に愚痴を聞いてもらううちに、好きになるって設定なのかもね。(宣孝は紫式部の夫になる人)

若い時はこんな風に年上の優しさに心が癒やされてキュンと来るものだけど、平安時代で20歳も離れてたら、短命だから結婚もかなりバクチだよね。(平均寿命50年弱。紫式部と宣孝は20歳年の差)

左大臣家の姫、源倫子は意外にしたたかとみた

左大臣家の姫の源倫子(みなもとのともこ)役の黒木華って絶対二十代じゃないけど笑、あの素朴な雰囲気が少女っぽくもあり、丸顔だから平安貴族も似合う。

でもこの倫子、おっとりしてるように見えるけど、自分が一番身分が高いから取り巻き女子が自分の態度に一喜一憂することも身を持ってわかってる。

なのでかなりしたたかな部分もあると見た笑。

まひろに「五節の舞姫」の替え玉を懇願する時もね。

世の中にはこんな風にたよりなげな雰囲気を醸し出して面倒なことを正義感のある女にうまく押し付ける女がいます笑。

私も毎回用心してるけど、こんな女はほんと巧みなので、何度ダマされいいように使われたことか笑。

私も平安貴族に生きてたら、このような女の餌食になってただろうな笑。

花山天皇のおバカぶりを見て、今の世にも言えること

花山天皇のおバカぶりが本郷奏多くんによって生き生きと描かれていて楽しい。

うつけ(馬鹿者)のフリをしてるのか、本当におバカなのか。

この時代、近親結婚が多いから、本当に痴れもの(しれもの。手に負えないバカ者)にもなる可能性も高いよね。

こんな癇癪を起こしがちで、ワガママな人物が帝になると、古参の役人は大変だよね。

まあ、この時代に限ったことじゃないけどね笑。

右大臣みたいに自分の出世しか考えない上司もいるし、頭の回転が超悪いのに「男」って言うだけで上になった人や、自分で何も責任を負わず責任から逃れる人もいる。

でも「血筋」だからと諦めなければならないから、昔の人の方がストレスだったのかな。

今だと転勤とか部署異動で離れることもあるからね。

だから陰陽師が流行ったのかな笑。

自分の力ではどうにもできないことを呪いによって事を成す・・・ってね笑。

新帝(本郷奏多)が、入内した大納言の娘よし子(井上咲楽。はんにゃの金田の妹君)との初夜の時に帯を手首に巻いてたのが面白かった笑。

SMっぽさを出して変人を醸し出してるのがいいね笑。

今の世はなんでもタブーだけれど、平安時代は、「生と死と性」が今よりあけっぴろげで身近だよね。

だってエッチも女房が聞き耳を立ててる所でするんでしょ、マリー・アントワネットもそうだったけど、信じられない世界笑。

はかない人生だから、スマホにうつつを抜かしたりせず(まあそれ自体ないけど笑)、懸命に和歌を詠み、恋をし、夜這いをして笑、出世で高みを目指し、女も男も他のやつを蹴落とし、自分の欲望に蓋をせず煩悩のままに生きてたのかもねえ笑。

ある意味、今の世より健全かも笑。

今は上っ面だけが「正しい」みたいな感じだからね。

「五節の舞」のラスト、三郎の正体を見てしまったまひろ

新帝のご意向は予想もつかぬため、他の者は新春宮の父右大臣に挨拶をしたり、顔色を伺う。

新帝の世になり、春宮時代から教育係を根気よく続けていた父為時は、12年ぶりに官職をもらったため、五節の舞にも出席する。

替え玉のまひろももちろん、五節の舞姫になり、やんごとなき貴族の公達(きんだち。高い身分の青少年)の目の前で舞を披露する。

そこで見つけてしまった。あの憎き道兼の隣で居眠りをする三郎(道長)を。

あああーーーどうなるのかな、この部分はフィクションと思っていても、楽しくて目が離せないね。

今日の場所 「東寺」 京都府京都市南区九条町

@東寺