政治的陰謀とラブストーリーの組み合わせが絶妙な最高の回『光る君へ -第10話- 月夜の陰謀』(ネタバレ感想)

こんばんは、ジャスミンKYOKOです。

ラブストーリーとしても、政治的サスペンスとしても一番盛り上がったと思う、大好きな回です。

いよいよ藤原家が国政の覇権を握るべく動き出したこの回。

今日の記事のお供は、この回のメインキャストである、花山天皇(本郷奏多)が藤原兼家(段田安則)の陰謀にかかり、出家させられる寺「元慶寺(がんぎょうじ。現在はがんけいじ)」です。

※京都のブロガー仲間から写真をいただきました♪ありがたい♪

『光る君へ 第10話 月夜の陰謀 』前回までのストーリー

↑「元慶寺」。

右大臣(藤原兼家)家に盗みに入った、直秀(毎熊克也)の一味は捕らえられ道長(柄本佑)が検非違使に引き渡した。

道長のほんの一瞬の感情から来る行動だったが、放免するよう頼んだ心づけもむなしく、直秀たちは武者たちから無残にも鳥辺野で殺されてしまう。

それを知った道長とまひろは彼らを追いかけるも間に合わず、直秀たちの亡骸を埋葬する。

後悔にくれる道長は泣く。

過労で倒れた兼家(段田安則)は、安倍晴明(ユースケ・サンタマリア)の助言通り眠ったふりを続け、よし子(井上咲良。花山天皇の亡き妻)の怨霊と噂を流布し、藤原家が国政の実権を握るべく動き出す・・・。

詳しいお話は前回のレビューで→『第9話 遠くの国へ』

『光る君へ 第10話 月夜の陰謀 』ネタバレ感想

寛和2(986)年6月23日の丑の刻(午前1時~3時)にいよいよ、兼家が帝(花山天皇)を失脚させるべく動きだす・・・。

本郷奏多(ほんごうかなた。花山天皇の役)は好きだし失脚させられるのはかわいそうだけど、こういう陰謀ものが好きな私はワクワクが止まらない(極悪)。

この計画を成し遂げる過程のスリルが本当にドキドキして楽しかった。

父親の権威でもって自分のこれからの行く先が決まるもんだから、「良心」が咎めても言うことを聞くしかないのか、道長よ・・・・。

ちょっとは「異を唱えろよ」と思いつつ、この悪行の行く末を見届けるしかできない一視聴者の私笑。

↑花山天皇(本郷奏多)が騙され、剃髪、出家した「元慶寺」の鐘楼門。

花山天皇も、いくらよし子(井上咲良)が恋しくて御霊を成仏させたいからといって、自分が出家したらもう国政はできないっていう想像くらいはしてたのだろうか。

19歳ではそこまで考えが及ばなかったのかな。ちやほやする人にだけ囲まれてたら人を見抜く目は鈍くなりそうだもんね。

帝なら出家しても内裏には住めたとは思うけど、兼家のひどいところは内裏にさえ住ませまいとすべての門を閉めて花山天皇を締め出してしまったこと。

花山天皇が剃髪してる間に「天皇の象徴」である剣爾(けんじ。三種の神器のうちの二種。剣と勾玉)を梅壺(この時東宮と吉田羊がいた後宮)へ道隆(井浦新)と道綱(上地雄輔)に運ばせたのだ。

19歳で周りが腹黒い大人ばっかりだったら、道兼(みちかね。玉置玲央)みたいに寄り添ってくれる人をいとも簡単に信用しちゃうのかな。

↑元慶寺の鐘楼門をくぐった景色。

平安時代って名前からして平和だと思ってたけど、帝を玉座から引きずり下ろすみたいな事件が実際あってたなんて知るとがぜん興味が湧いてくる笑。

もともと大和和紀のマンガ「あさきゆめみし」で好きだったから、この『光る君へ』での悪事を観て、より好きな時代となった。

↑元慶寺にて、道兼に裏切られたことを知る花山天皇。

この後、歴史的には花山天皇の周りにいた義懐(よしちか。高橋光臣)らもこの惨状を知りここに出向き出家したんだって。(自分の政治的立場ももうないと思ったためだろうね)

これを「寛和の変」というらしい。(〇〇の変とかつく日本史の出来事は大好き)

↑「元慶寺」にある、花山天皇の剃髪を埋めたとされる場所。

こういう親戚ばかりしかいない宮中においては、より有力な親戚をバックに持ってないと天皇でさえも危うくなるんだね。(花山天皇は力を持っていた太政大臣の祖父を早くに亡くした)

血がつながってる方が遠慮がないからね。

さて、道長も急に自分の家族がやってることが怖くなったのか、現実から逃げたくなりまひろに会いたくなる。

「一緒に都を出よう」

キャー!!私も出る!(君に言ってない)。まひろも嬉しいだろうに、そこは冷静に受け止める。

おぼっちゃんに田舎暮らしと貧乏な生活は無理だよね。

そこは現実主義の女子、「愛だけでなんとかなる」とは思わない笑。

↑元慶寺。平安時代は「がんぎょうじ」、現在は「がんけいじ」と呼ぶらしい。

たぶん、都を出て一緒に暮らせたとしても、不満を最初に言い始めるのはきっと道長の方だろうね。

一時の感情で後先のことを考えてないから。

↑元慶寺の本堂。

それにここでもし「あなたと一緒に都を出る」とまひろが言ったとしても道長は実行できなかったと思う。

映画やドラマで、お金も地位もある男が「駆け落ち」するの、観たことないもの。

最初はそう思ってても、実際その日の近くになったら及び腰になって現実の地位や社会を捨てれないのは男の方が多いと思う。

好きな男が迎えに来たら、ウェディングドレスのまま逃げれるのは女だからのような気がする。

男は会場に来てる上司や親戚、親の目をきっと気にして実行に移せない。

↑本堂の扉に菊の御紋があるから、天皇ゆかりのお寺というのがわかる。

女は身一つで嫁いで来た歴史からか、周りの目より「自分の気持ち」に忠実なのかもしれないよね。

それなのにまひろは、道長と都を出ることを断る。

たぶん幸せだろう、きっと人知れぬ村に逃げたとしても自分は貧しくても頑張れる自信はある。

でもきっと道長の方が弱音を吐き、こんなに好き合った二人が険悪な仲になる、そんな未来を予測したかもしれないよね。

こんなに好きになった人と険悪になるくらいならこのまま美しい思い出のまま生きようと思ったのかも。

すぐ流されちゃう女ならこの決断は難しい。まひろだから出来たこと。

『光る君へ -第10話- 月夜の陰謀』煩悩だらけのドラマトーク

キャー。もうこの回はNHKがんばった!と拍手をしたい回でした笑。

今までいくらお輿入れ(嫁入り)を描いたところで、ハッキリとしたラブシーンは大河ドラマでは観たことなかった。

うっとりしました♪ 男は好きな人と結ばれた達成感で「また会える」とのんきに思ってるけど、女は最初で最後の契りと思ってるわけだからそりゃ涙も出るわよね。

この時代にあんな熱烈なラブレターもらったら、会いたくなるのは必然。

それでも断ることが出来たのは「直秀みたいな無残な死に方をさせないようにいいまつりごとをして」ときれいごとは言いつつも、身分の違いがあればなおさら早めにあきらめないと自分が辛くなることはまひろ自身が感じてたからだろう。

もう離婚しようと思ってた男に「別れを突き付ける」のと、恋しくてたまらない男に「別れを切り出す」のとは全然違うからね笑。

決断が揺らぎそうになるのは、人間だもの、仕方ないよ、まひろ殿。

とことん付き合って嫌気がさしたら女はもう二度と振り向くことはないけど笑、こんなきれいな気持ちのままで終わってたらいくら女でもまひろの言うように「ずっとこの目であなたを見続ける」ことは可能かもしれないね。(女の性質上かなり疑わしいが笑)

男子は昔の女にいつまでも優しい上に、思いが叶うことなく終わった恋はなぜかイヤな出来事だけ浄化されていい思い出だけが残るから笑、道長はこれからもまひろに恋心は抱き続けるよね、きっと笑。

今日の場所 「元慶寺(がんけいじ)」 京都市山科区北花山河原町

@元慶寺(がんけいじ)