『フラッグ・デイ 父を想う日』(ネタバレ感想)これは、ショーン・ペンの家のホームビデオ。

こんばんは、ジャスミンKYOKOです。

新年しょっぱなから大あくび連発の映画に出会いました笑。

ショーン・ペンが監督した映画『フラッグ・デイ 父を想う日』。

アメリカの最大の偽札事件の犯人を父に持った少女の話という触れ込みだったが、私の惹かれる最大ポイント「偽札」の件にはあまり触れられておらず、「キャッチコピー詐欺」に遭ったような気分になった。

まあ、サブタイトルの「父を想う日」で、父と娘のやりとりとは想像はしてたけど、あんなに「偽札」に触れないとは!!怒

ショーン・ペンの実の娘と息子が出ていて、話も起伏がなく、生ぬるい感じだったので、映画というより、「ペン家のホームビデオ」みたいだった笑。

ただ、娘たちと出たかっただけ、みたいな映画でした。がっかり。

『フラッグ・デイ 父を想う日』の評価

私の個人的な思考による評価です笑 星は7段階で評価します

私の評価★☆☆☆☆☆☆
観るのにオススメな人●アメリカかぶれ
●ショーン・ペンのファン
そのどちらかくらいないと耐えられない笑
どっちもあったが辛かった笑
暴力性・残虐性★☆☆☆☆☆☆ 
銃を撃つシーンはあるけど、そこまで直接じゃない
エロ度★☆☆☆☆☆☆ 
性的虐待っぽいのがあるが、一瞬
感動度★☆☆☆☆☆☆ 
泣けない笑 あくびで涙出る

ストーリー

フラッグデイ、「アメリカの国旗を制定した日:6月14日」に生まれた男、ジョン・ヴォーゲル(ショーン・ペン)は1992年にアメリカ最大の「偽札製造事件」を起こした張本人。

子どもたちに対する愛情は確かだったが、子供より自分の承認欲求を満たすのが大事な彼は、よりよい未来を信じて色んな事業に手を出しては失敗し、その度に家族の前から姿を消した。

母と弟と残されたジェニファー(ディラン・ペン)は、ひと夏の最高な父との思い出を胸に、父が残した借金まみれの生活に耐え、「いつか父と暮らしたい」と思いながら大人になっていく。

以下はネタバレレビューです。

『フラッグ・デイ 父を想う日』ネタバレ感想

思い出シーンがとにかく長い

冒頭、色あせたフィルムでアメリカの田舎や麦畑、鉄でできたカウボーイの看板や70年代のクラシックなアメ車などが次々と映し出され、アメリカかぶれの私はかなり反応した。

今回監督もしたショーン・ペンが、リアルにこだわり、実際にその頃の雰囲気が出るように16mmのカメラを使い撮影したらしい。古く見える画面が素敵なのだ。

しかし、そう思ったのもつかの間。

昔の思い出のシーンがかなり長いのよ。

映画は、ジェニファー(ディラン・ペン。ショーン・ペンの実娘)のナレーションと視点で描かれ、父親との思い出がところどころに綴られるけれど、そこがとにかく長い。

それなら舞台を過去にした方がいいんじゃないの?と思うほどだった。

ビッグ・マウスな男はいつの時代も存在する

「ビッグ・マウスな人」っているけど、ショーン・ペン演じるジョンもそんな感じ。

しかも彼の場合「言うことが大きい」だけじゃなく、計画も立てず実際にやってしまうので、「無謀さ」も加わり、家族はそれに振り回されっぱなし。

とにかく迷惑な野郎でしかない。

でもね、若い時って、こういうビッグ・マウスな男が人気があるのよね笑。

「夢を語る年上の男」ってかっこよく見える時があるのよ、ティーンネイジャーや20代前半の女にとっては。

ジェニファーのママも、そういう罠にハマった1人。

子供2人できたとたん、巨大な農場を無計画に買った挙げ句に、ほっぽり出して借金もそのままにして出ていったジョン。

妻にとっては、最悪な男。

でも子供ってそんな裏のお金の事情なんてわからないから、感情的に八つ当たりする母親の方を嫌悪したりするのよね。

ジョンは、八つ当たりなんかは絶対しないから、子供は「お父さんと暮らすと幸せになれそう」って単純に思っちゃう。

しかも事業がうまくいってる時だけ現れて、オイシイとこしか見せないからね。

そりゃママとしては、八つ当たりもしたくなるよ、莫大な借金と子供2人残して、若い女と暮らしてたらさ。

ジョンが致命的だったのは、何歳になっても「現実」を見ようとしなかったこと。

夢を追いつつも、たいていの人は生活や家族のために収入を得ようと仕事をするけど、ジョンの場合は、ウソをついて無計画に借金したり、堅実なやり方は1つも試そうとしなかった。

夢を追うなとは言わない。夢があるから日々の仕事も頑張れるのもあるからね。

子供は作りっぱなし、借金は返さずトンズラ、を繰り返してたら、運命の神様も見放しそう。

なかなか見切りをつけないジェニファーに感心する

ジェニファーは一大決心をして、弟と家出をして父親の元に出向くが、夏休みが終わったらあっさり家に帰されてしまう。

子供の世話をする気はまるでないのだ。

それからティーンネイジャーとなったジェニファーと弟は、相変わらず母親と暮らしていたが、母親の再婚相手がジェニファーの部屋に侵入して襲おうとしたり、それを知った母が彼女の方を信じなかったのには、さすがに限界が来て彼女は家を出る。

ジェニファーは父の家に出向き、「最初からやり直そう」と父親の就職活動を後押しするが、彼が定職につくことはなかった。

お金の不自由はなくても精神的に参ったら、いい思い出しかない父親の方に行きたくなるのもわかる気がするけど、もうティーンネイジャーなんだから、そもそもこういう原因を作ったのは誰なのか、恨んでも良さそうなもんなのに。

子供はやっぱり少しでも「家族のために頑張る姿」というのを、見たいのかもしれないよね。

「血のつながり」があるから希望を捨てないのか。

夫婦は他人だから、「こいつは変わらねえ」と思ったら一気に冷めることができるからね笑。

こんなことを繰り返しても、何かと嫌われないタイプの人っているよね。『ルパン三世』の不二子ちゃんや『鬼太郎』のねずみ男みたいな人。

このジェニファーが「見切り」をなかなかつけないのに私は驚いたよ笑。

あんた、ここまでされて、まだこいつを信じるの?

女の「最終通告」に気づかず、うるさく言わなくなったのをいいことに(静かなのは見張っているから)男はそのまま過ごしてしまい、取り返しがつかないことになるんだよね。

好きな相手だからこそ「最終通告」を出して猶予を与えるのに、そこに気づかない野郎の多いことよ笑。

ジェニファーも、そんな父親に最終通告を出し、見事に裏切られる。

夢を語る男の一番の敵は「老い」

「いつまでも夢を語る男」+「無謀で周りを振り回す男」のミックスだったジョン。

こういう男に一番きついのは「老い」。

若い時は、こういうビッグマウスにはかっこいい!と思って次々に女が寄ってくるけど、年取ったのにまだ何も手にしていない男が語る夢にはもう誰も耳を傾けないのよね。

その時に応援してくれる家族がいればいいが、あとの祭り。

大事にしてこなかったツケが回ってくる。

ラクして大金を手にしたかったジョンはとうとう、銀行強盗までしてしまい、15年の刑に。

出所して来た時には、老いやつれ、無収入。出所したことを気にかける人もいない。

そういう時、急に寂しくなるんだろうね、人って。

ジャーナリストとして成功したジェニファーをつい訪ねてしまう。

⇧ジャーナリストとして成功したジェニファーと、出所したばかりの父親。

ジェニファーは、刑期を終えて少しでも変わった父親を見たかったが、彼は根本的に変わらなかった。

自分を大きく見せておかないと不安に駆られる性分ってあるのかもしれない。見栄っ張りくらいならまだカワイイけど、ジョンくらいまでになったらちょっとひどい。

この父と娘の、希望→裏切り→希望→裏切りのループが、たんたんとスローテンポで描かれるため、退屈で長く感じる。

実話を元にもっと強弱つけた脚色をしたら、楽しめたかもしれないのに、ほんとあくび連発映画でした笑。

しかも偽札は最後にチラっと流されただけ。

・・・はあ?これだけ?

そんなら「偽札事件の犯人」というのを大々的に宣伝するな!!

だからといって、「親子愛」もなんか中途半端。

あんな精巧な偽札を作れる探究心と技術力があるなら、その能力をなんでもっと他に活かさない!?(インクも紙質も完璧)

観ている人はきっとそう思うけど、そのズレが彼自身の欠点でもあると同時に、ジェニファーが最後まで嫌いになれないキャラの要因じゃないかと思った。

私も一緒に暮らすなら、完全犯罪ができそうな人より、ちょっと詰めが甘くておバカな人の方がいい。まあ、ジョンはイヤだけど笑。

『フラッグ・デイ 父を想う日』煩悩だらけの映画トーク

ティーンネイジャーのジェニファー(ディラン・ペン)が、黒いカツラが似合わないったら!(反抗心を表現するためか、わかりやすくパンクファッションしてて黒髪のウィッグをつけてた)。

やっぱり、ロビン・ライトっぽい(ショーン・ペンの元妻で、ディランの母親)金髪が彼女には似合う。

車に乗ってた横顔なんてお母さんそっくり!『フォレスト・ガンプ』みたいだった!(ロビン・ライトの代表作)。

ショーン・ペンは、実生活でも女にモテモテで浮名も結構流してて、ロビン・ライトと別れた後も色んな女とつきあってたし、娘のディランも彼のスキャンダルには精神的に振り回されたんじゃないかな。

ハリウッドの名優でもあるから、お金には困らなかっただろうけど。

ショーン・ペンがこの作品に自分を投影したかったのかはわからないけど、ディランは少なくとも幼い頃に振り回された気持ちを投影できたかもねえ。

実の親子で親子役やるって複雑じゃないのかな。(いい話ならともかく)

ただ、大人になって関係性はいいのかもね、父母は離婚してて母と暮らしていたのに、女優名は「ペン」を名乗ってるし(弟も)。

それか父親の名声を利用したいのか(→うがった見方笑)。

それにしても、ジョシュ・ブローリンを姪や甥を家に送っていくだけの気のいい叔父さん役に使ってて贅沢だった笑。(仲いいんだろね)

ショーン・ペンの意気込みは感じられたけど、生ぬるくて、題材はいいからもっと面白くできただろうに、残念でした。

私が観たいショーン・ペンはこんなんじゃない、もっとクズ男で、何やらかすかわからないナイフみたいなまなざしの男よ!!(ただ、煙草の吸い方は素晴らしかった!)

次回を期待します。 

もう二度と娘と共演しないでね笑。

『フラッグ・デイ 父を想う日』キャスト

@『フラッグ・デイ 父を想う日(原題 Flag Day)』(2021年 米)

ジェニファー・ヴォーゲル・・・・ディラン・ペン

ジョン・ヴォーゲル・・・・・・・ショーン・ペン

ニック・ヴォーゲル・・・・・・・ホッパー・ジャック・ペン

ベック・・・・・・・・・・・・・ジョシュ・ブローリン

【2023年】ジャスミンKYOKOの私的映画ランキング

1位・・・・・『フラッグ・デイ 父を想う日』