『アプレンティス ドナルド・トランプの創り方』(ネタバレ感想)オレ様はオレ様。自分以外は愛せない人が国のTOPになったアメリカ。

ジャスミンKYOKO

こんばんは、ジャスミンKYOKOです。

とうとう、ドナルド・トランプがアメリカ大統領になっちゃいましたね!

国会議事堂に暴徒の侵入を扇動させた人が国のTOPになれるという凄さ。

これから、アメリカはどうなることやら・・・。

トランプはきれいごとは言わないのはいいと思うけど、何しろ大統領たる「威厳」や「品格」がないのがね・・・。

やはりアメリカかぶれの私としては、オバマ大統領やケネディ大統領みたいな人に頂点にいてほしい。

そんなドナルド・トランプが、どうやってあんな感じになったのか知りたかったので、『アプレンティス ドナルド・トランプの創り方』を観てきましたよ!

70~80年代の、ポジティブ全開のバブルなアメリカが満載で面白かったです。

『アプレンティス ドナルド・トランプの創り方』の評価
私の評価★★★★☆☆☆
ギラギラした80年代が楽しめたのと、若き日の
トランプを知れたのがよかった。
観るのにオススメな人◆ドナルド・トランプに興味がある人
◆アメリカの政治や世界情勢に興味がある人
◆70年代~80年代の雰囲気を味わいたい人
◆アメリカの近代史が好きな人
暴力性・残虐性★★☆☆☆☆☆
直接的な暴力は出てこないけど、80年代のエイズや
同性愛者に対する偏見はかなりそのまんま表現されています。
エロ度★★★★☆☆☆
ゲイのSEXシーンや、トランプのHシーン、乱交パーティも
出ます。
感動度★★☆☆☆☆☆
特に感動はしないけど、トランプにも苦労した時代が
あったのを知れたのと、あんな風になる土台も分かったのは
よかった。
80年代の本物の景色をミックスした背景が素晴らしかった。

『アプレンティス ドナルド・トランプの創り方』ストーリー

父親から不動産業を継いだ若き日のドナルド・トランプ。

事業は政府に訴えられ破産寸前。家賃を回収するのもままならず、困り果てていたトランプは、クラブで出会った凄腕弁護士ロイ・コーンを頼る。

ロイ・コーンに気に入られ、彼の必勝法を学んだトランプは、彼の予想以上に怪物になっていく。

『アプレンティス ドナルド・トランプの創り方』ネタバレ感想

これからアメリカはどうなっていくのか・・・。

アメリカ好きとしては一抹の不安を覚えるが、敵を知らずして何も言えんと思い、勉強のためにも行ってまいりました笑。

この映画のタイトルにもなっている「アプレンティス」とは、ドナルド・トランプが司会をしてたリアリティショーの名前で、意味は「見習い」。

リアリティショーは、トランプの会社に採用されたい人が集まってミッションをクリアし社員の座を勝ち取るという番組で、トランプが最後に「You’re fired(お前はクビだ)!」というのが名物だったみたい。

この映画では、今のトランプがどうしてああなったのか、誰を見習ったのか、リアリティショーのタイトルにかけて描かれます。

まあ、誰を見習ったとしてもあそこまでは普通はならないと思うから、元々そういう素質はあったんだろうね。

ロイ・コーンとの運命の出会い

↑若き日の窮地に陥ったトランプが出会った、凄腕弁護士のロイ・コーン(ジェレミー・ストロング)。

父親は不動産をやっており事業を引継いだトランプは、所有していたクイーンズの低所得者向けの賃貸の家賃を回収するのに苦労していた。

その上、政府からも訴えられて窮地に陥る。

入居審査で黒人をことごとく落としていたのが暴かれ、人種差別だと司法省から訴えられたのだ。

窮地を抜け出すべく動いたが万策も尽きたところに、凄腕弁護士のロイ・コーン(ジェレミー・ストロング)に偶然クラブで出会う。

父親は半信半疑だったが、トランプはいてもたってもいられず彼に頼ると、普通は廃業に追い込まれるところを逆に名誉棄損で訴えて、勝利する。

クイーンズからマンハッタンに進出したいと常々思っていた若きトランプは、そこから飛ぶ鳥を落とす勢いでマンハッタンに進出し、夢であったホテル事業に着手する。

このロイ・コーンと出会った高級クラブの雰囲気が最高。レトロな赤いランプやシャンデリアのあるゴージャスな作りで、会員制で紹介がないと入れないのが秘密めいてて素敵。

お金持ち同士はこういうところで出会った人と事業を拡大したりハイクラスの知り合いを作っていくんだろうなあと観るだけでウキウキ。

ロイ・コーンという人物を知らなかったんだけど、この人って、マッカーシズム全盛期(共産主義者を徹底的に排除したジョン・マッカーシー上院議員がした政策)の補佐を務めた人物だったのね。

ジェレミー・ストロングってもとから眼光が鋭いのに、今回のロイ・コーンの役作りでマユゲを細く剃り上げた上に日焼けサロンで小麦色に焼いてるので、よりギラギラ感が増してて主役のセバスチャン・スタンを食う勢いだった笑。

セバスチャン・スタンもトランプの口をとがらせる真似なんかも自然に取り入れていて、だんだん太っていくのもちゃんとやってて頑張って役作りしてたんだけどね。

とにかく観ていて、バブル前夜なアメリカの「イケイケギラギラ」な感じが映画全体に漂ってて楽しかった。

ニューヨークのこの頃を知れるのもいい。運転手付きの車に女子は毛皮のコート、イイ女とイイ男、イイ話を狙ってギラギラしてる♪

最近の日本じゃ観られないからね笑、こんな狂気的な空気は。

今のトランプの土台が着々と作られていく

ロイ・コーンはトランプが気に入り、気弱な青年だった彼に自分の極意を伝える。

「ルール1  攻撃 攻撃 攻撃」
「ルール2 非を絶対認めるな」
「ルール3 勝利を主張し続けろ」

こういう風に実際言ったのかは不明だが、彼のそばにいると、自然と伝授されていったというのはわかる。

ロイ・コーンは、冷戦時代にソ連に原爆や水爆の情報を流していたローゼンバーグ夫妻を電気椅子送りにし、その名を世に知らしめた人物なのだ。

彼のことは映画を観るまで知らなかったけど、映画『オッペンハイマー』(原爆の開発者)を観て背景を調べた時にローゼンバーグ夫妻の裁判も知ったので、あーあの裁判の検察か!と驚いた。

こうやって映画を観ながら世界史をつなげて覚えていくのはほんと楽しいね。

↑窮地に陥りながらも世界一のホテルにしたいと夢見ているコモドアホテル(後のグランドハイアット)を眺めるトランプ(セバスチャン・スタン)。

トランプがニューヨークのグランドハイアットを建てたなんてことも知れたのはよかった。しかも税金40年間ナシというのをニューヨーク市長に取り付けて。(その後、ハイアットグループのオーナーともめて経営権から降りた)

その頃、あのグランドセントラル駅の近く(ミッドタウン)は荒んでいて、高級ホテルを建てるなんてバカげていると劇中で言われてたのにもビックリ。

今はもうマンハッタンは土地という土地がなくなって、ミッドタウンも観光客がひしめいていて、ちゃんとニューヨークの顔になっている。

そういう先見の明と「不可能を可能にする力」がトランプにはあるんだろうな。

ロイ・コーンさえも予測できなかった、トランプの化け物に変貌する力

お金持ちというのは失敗の金額もバカでかいけど、巻き返した時の儲けの金額もすごい。あんな金額をものともせず扱えるのが大富豪になる資格があるってことなのか。

アメリカの大統領は2期連続(8年)務めるのが人気の証であり、1期しかしなかった大統領は、数が少なく大規模な不正をやらかした人(ニクソンとか)くらいしかいない。

なのでトランプがバイデンに負けた時はそりゃそうだろうなと思ったけれど、まさか国会議事堂襲撃事件を扇動した後、起訴されたのに返り咲くとは。

今回、大統領になった後すぐに「性別は男と女しかいない」と明言までしたトランプ。

人間は動物なんだから、性癖も昔からその二分じゃないじゃないのは分かっているのにね。

映画の中でも、ロイ・コーンに教示を受けながらも彼のゲイの部分には嫌悪感を隠し切れないトランプが描かれていた。

みんな誰しも嫌う人というのはいる、聖人になれる人はそういないけどね、大統領になったら、自分自身の嫌悪感は出したらアウトなんだよ。

急速なダイバーシティ化に疲れた人々が生みだした怪物

最近の急速なポリコレ(政治的正しさ)主導の世の中に疲弊しまくった人々が投票したのかな、意外に「隠れトランプ」多いらしいからね。

私も映画にポリコレの影響過多すぎなのに疲弊してる一人ではある。

映画に色んな人種を使うべきとして、中世の貴族の役に黒人を出す。

それは違うやろ、そう思う。色んな人種を使う映画も、白人しか使わない映画も両方あると認めるのが「多様性」です。

「白人しか使わないからダイバーシティ(多様性)じゃない」と言うのはおかしいことに気づけ。

時代の変革期には、最初にそれはいけないと訴える人が出て、それに賛同する人が増えれば増えるほど、予期せぬクラスの極端な考え方と物言いの人が現れ何にでもかみつき始めてしまうから、それを見て疲弊する者が現れるんだろうね。

もうキレイごとはいい。まずは国民を裕福にしろ。世界の警察なんてやってる場合じゃない。

まあ、アメリカはそこんとこやり過ぎた感はあるよね。よその国のために自国の若い兵士が死ぬのは耐えられんし、莫大な軍事費のために税金も死ぬほど持ってかれるからね。

世界の警察でいつでも出動するアメリカがいいとは思わないけど、ベルリンが二分された時、ベルリンに赴き市民を勇気づけたケネディ大統領の「私はベルリン市民だ」のスピーチは私はやっぱり好きなんだけどね。

アメリカのことばかり言ってる場合じゃない、日本だってこんなに物価上昇が続き給料も上がらないとなると、移民に補助金出すな、ウクライナを支援する暇あったら日本人を裕福にしろ、と思うのは自然じゃないのかな。

トランプを支持してるのは、低所得者の白人が多いらしいけど、安い製品を輸出する中国に強硬な姿勢を示しアメリカの一次二次産業(農業とか工業ね)を盛り上げようとするのなら、支持しちゃうよね。

金持ちのトランプが貧乏人の気持ちに寄り添ってやってるとは到底思わないけどね。

みんな他人のことを考える余裕がなくなって来てる、そんな世界になりつつあるね。

しかし国民全員裕福になったら助けあえるのか・・・。それも疑問だよね。

今は余裕がある人が少ないから自国第一主義に傾くのも分かるけど、自国第一主義が続いたら、「領土を広げろ」と世界大戦時の頃の世界になるからね。

世界の強国と戦争しまくって、疲弊したからこそ今の長く平和が続く日本がある。

江戸時代の泰平な世の中が終わるあの頃と同じなのが今の令和なのかな。軍事費増えてきてるからね。

理想の世界がある人ほど、現実との狭間に心を痛める、そんな世の中。

ただ、この映画はそんな世界の危機的状況を忘れさせてくれるくらい、GOGOな感じが最高です。(忘れたらいかんけど、疲れた時は一時的に忘れよう笑)

トランプの、無理難題撒き散らしたり図々しさは人間の域を超えてるけど、彼の「絶対叶う。絶対やれる」的なスーパーポジティブ+言霊をフルに使ってる感じは、ロイ・コーン風まではいかなくても我々も見習わないといけないかも笑。

80年代の実際の映像をミックスして作ったニューヨークの背景とザラザラした質感のフィルム映画っぽい感じがとても良かった。

『アプレンティス ドナルド・トランプの創り方』ジャスミンKYOKOの煩悩だらけの映画トーク

それにしても出てくる女子が東欧系モデル並みの美女ばかり。トランプの好みは一貫してるね。(最初の妻のイヴァナも今のメラニア夫人も東欧出身)

エッチシーンや、ハゲ隠しの手術や脂肪吸引の手術まで赤裸々に描いててほんとすごい。

オレ様キャラが面倒なのは、付き合う時は自分にすぐなびく女は退屈するから、獲得しがいのある意見を持ってて才気ある女性を求めるけど、結婚してあれこれ意見を言い出すととたんにイヤになること。(劇中で物申すイヴァンカにも嫌気が差してる描写あり)

結局、自分のことしか考えてないし、自分しか愛せないヤツなのよね。

だからイーロン・マスクともぶつかりそう。ロイ・コーンと衝突したようにね。

オレ様キャラは自分のやりたいようにやれなきゃ、そばにいる人を邪魔に感じるからね。

現職の大統領をここまで描いても、粛清や追放されないなんて、そこはアメリカの素晴らしいところだよね。

↑トランプが『ホーム・アローン2』に出たのは、この映画で描かれた時期の後みたいね。プラザホテルの経営権を持ってた頃(今は手放してる)。

スタローンが、ずっと反トランプを掲げていたのに、ご近所さんだからか急にトランプを支持しだしたのにはガッカリ。(スタローンの邸宅はトランプの邸宅のすぐ近く)

シュワちゃんは今でも共和党なのに反トランプを掲げているのにね。

ランボーよ、信念を貫かないのか・・。

しかもマグニフィセント7(GoogleやMeta、MicrosoftやAmazon、テスラなどの米国を代表するテクノロジー会社7社)※も顔色伺いだしたし(就任式で献金)。

※GAFA(ガーファ。IT企業の大手4社)より最近は「マグニフィセント7」と呼ぶことが増えてきたらしい。

それほど、あのオレ様の脅威はすごいのか。4年の間だけだから表面上ご機嫌伺いする予定なのかな。

私の好きなアメリカをこれ以上分断しないでくれ、そう願うばかり。

↑ジェレミー・ストロングは最高でした♪これからも応援して行こう。

映画の最後にはもうエイズを発症して力尽きそうなロイ・コーンと、もう力が付いて彼から離れたがっているトランプが描かれる。

周りの人を大事にしてこなかったのと、この頃のエイズや同性愛への嫌悪感は相当なものだったから、瞬く間に周りから人がいなくなり、自身が過去にしてきたことを暴かれ弁護士資格もはく奪され、晩年は本当にみじめなまま亡くなったロイ・コーン。

ギラギラ感全開の無敵さから一変、恋人も仕事も社会の支持も失い力尽きたロイ・コーンの変わり果てた姿が対称的で、哀れだった。

でも恋人を思う気持ちだけは、トランプよりロイの方が人間らしかったなあ。

2人の俳優の演技が素晴らしくて見ごたえあって面白かった♪

【2025年】ジャスミンKYOKOの映画私的ランキング

1位・・・・・『ビーキーパー』

2位・・・・・『アプレンティス ドナルド・トランプの創り方』

3位・・・・・『ファイアーブランド』