『ある画家の数奇な運命』3時間を感じさせない!東ドイツでも夢を諦めない画家クルト。ナチスの義父とのやり取りがスリル満点

こんばんは、ジャスミンKYOKOです。

予告を見てなんだか惹かれてしまったので、今回は休みの日に1人で3時間覚悟して観にいってきた。

結果、3時間を思わせない面白さだった。

ドイツの画家ゲルハルト・リヒターをモデルにした映画で、彼の半生を描きつつ、第二次世界大戦下のドイツから、敗戦後ソ連が介入してくる背景も合わせて丁寧に描かれる。

妻の父が、自分が大好きだった美しい叔母を殺した張本人と知らず、結婚してしまう彼。義父とのスリリングなやりとりもドキドキして面白い。

妻のエリーが着るレトロキュートなワンピースや、その時代のバスや列車などの乗り物も丸っこくてかわいくて欧米かぶれにはたまらないし、西側との180度違う世界も興味をそそって楽しめます。

第二次世界大戦の後の東ドイツの背景に関しては映画『僕たちは希望という名の列車に乗った』を予習で見てるとよくわかりますよ!

時代と政府に翻弄される「芸術の表現」への社会主義ならではの難しさや、もどかしさも描かれ、それでも「表現の自由」への道を諦めない彼の姿勢が心に刺さります。




ストーリー


画家を目指すクルト(トム・シリング)は、幼き日に仲良かった美しい叔母エリザベトをナチスの手によってなくしてしまう。

その叔母に似た女性に美大で出会ったクルトはみるみる恋に落ち、彼女の家族に内緒で居候の身となるが、実は彼女の父親は叔母を殺した医師(セバスチャン・コッホ)だったのだ。

第二次世界大戦の戦時中にヒトラー政権に異を唱えた者と、恐怖に屈して党員になってしまった者たちのその後の行く末まで丁寧に描きながら画家であるクルトの社会主義下においての「表現の自由」への葛藤で悩む姿も描かれていく。

彼の半生とドイツがたどった歴史を踏まえながら、ナチスの義父とのスリリングなやりとりやラブストーリー、美大生の青春もあって盛りだくさんだが、見事に引き込まれ3時間の長さを感じない良作。

 

目まぐるしく変わる東ドイツの背景に翻弄された当時のドイツの人々

ナチスが台頭したドイツの現状から、第二次世界大戦、敗戦後とクルトの人生とともに描かれていくのが丁寧で、しかもわかりやすい。

ヒトラーの政策に異を唱えた者は職や住む場所を失い命を失う者までいた。一方ナチスの恐ろしさに負けて党員になってしまった者は、その時は良くても敗戦後は連合軍からひどい目に遭わされたり仕事にもありつけない。

終戦後、ドイツは分断され、復興政策は西ドイツはイギリス・フランス・アメリカが担当になり、東ドイツはソ連が担当だったため、次第に社会主義への道を余儀なくされてしまう。

十年くらいの間に目まぐるしく社会事情が変わったドイツの国民たち。

自分や家族の命を守るためにナチス派になった者もいたはずなのに、進んでなった者との区別は難しいからソ連軍も一方的にやるしかなかったのだろうか。

義父みたいなのは処刑されても当然だけど、恐怖でナチス派になった者への温情ってないのかと、もどかしくなった。

 

青い目男子を堪能、女子のキュートレトロな服もかわいい

クルトのキャンバスへ向かう青い目がとってもキレイ。

昭和の私にとっては昔マンガで、「売れない画家とお金持ちの娘の恋愛」ってよく描かれてて憧れだったのよーー笑。

でも恋愛したくても自分の周りにそんな画家いないもんね(当たり前)。

昭和女子が何と言われようと「金髪青い目男子」に弱いのはね、「キャンディキャンディ」や「ベルサイユのばら」を見て育ったからなのよ。

小さい頃の刷り込みってなかなか取るのは大変なの笑。

アンソニーやオスカルがごろごろ世界にはいるもんだと思ったのに、実際海外に行ってみたら、イマイチな外国人もいっぱいいることを知る(サイテー笑)。

現実を知ったとしても、やっぱりブラピやダニエル・クレイグにキュンキュンくるのは止められないのさ。


⇧クルトの叔母(左)とクルトの妻エリー(右)

妻のエリーは大学の服飾専攻で、素敵なワンピースを作れるので、いっつも可愛い格好してるのだ。お金持ちだから買ってもいるとは思うけどね。

クルトと結婚することで貧乏になっちゃうけど、「不平」を言わないのがビックリ!(→自分が出来ないから?笑)

金持ち女子だからきっと逃げ出すわよ不平を言うわよ、と期待してた私(ひどい女)。

このエリーを見ると、自分の気持ちがまだかわいかった頃の初心を取り戻せますよ!(どういう勧め方?笑)。

 

義理のお父さんとのやり取りがサスペンスフル


どんな人も義理の父母とのやりとりはサスペンスなのかもしれないが笑、今回の義理の父は元ナチスの党員であり、そこでガス室送りを担ってた医者だからね!

怖いよーーー(^_^;)。そんじょそこらの義父じゃありませぬ。

まさか自分の叔母を殺した張本人が妻の父とは知らず・・。

体制が変わった途端、義父は西側に逃げたりするけど、どこでも医者は引く手あまた。職には困らず、ずっとお金持ちのままなのよね。なんか憎たらしいの。

最初は社会体制から仕方なくそれに加担したのかと思ってたけど、もう、このおっちゃん恐ろしい性格で背中がゾワゾワします。

そんな義父の秘密をクルトが知ってしまうのか、それとも娘が知るのか、知ったことがバレたら怖いしで、もう映画中ずっとドキドキしながら見るので、スリルも楽しめます♪

 

美大生の青春がキュンキュン

ナチス政権下ではもちろん、ソ連の支配下の東ドイツ(社会主義)においても「表現の自由」への葛藤が芸術家や、クルトたち美大生を悩ませます。

クルトが悩んだ挙げ句、芸術への情熱が薄れたり、製作に行き詰まったりした時も画家仲間や先生の助言が助けてくれる。

東側の生徒や先生もいいし、西側に渡った後の彼の魅力を気づかせてくれる教授や仲間も素敵。

みんなでクルトのバイトを手伝ったり、美大生の青春にキュンキュンします♪

夢を途中で諦める者もいれば、クルトのように30過ぎても副業しながら画家を目指す者もいて、芸術を仕事にするのがいかに難しいか、金銭面でも表現面でも自分との闘いなんだなあと見ていて苦しくなるのだ。

クルトの静かな葛藤と決断に心を持ってかれます。(金髪青い目にもね♪笑)

声はなかなかのハスキーで、ついスピードワゴンの小沢を思い出しちゃったけど笑(思い出したくなかった・・・泣)。

ジャスミンKYOKOの煩悩だらけの映画トーク

現代美術界の巨匠の画家のゲルハルト・リヒターをモデルにしている本作だけど、登場人物の名前はすべて変えて、これが本当に起きたことなのか、何が真実でどの人が実在の人物なのかは、最終的には明らかにしないという彼の希望のもと作られているらしい。

家族のことだから、すべてを公式に公にできないからなのかも(まだ存命の画家だからね)。

それにしても、3時間感じなかったなあ。

東ドイツの背景や義父とのサスペンスフルなやりとりだけでも十分面白かったのに、叔母へのほのかな恋心や妻とのラブも良かったし、芸術家としての葛藤や決断も見ていて退屈じゃなかった。

これは見てよかったな!

ゲルハルト・リヒターの作品は高知県立美術館にもあるらしい。高知に行った時は行かねば!

『グッバイ、リチャード!』のかっこいいジョニデと悩んだけど、歴史的背景と義父のゲスさとスリルにこちらが勝ちました!




映画『ある画家の数奇な運命』のキャスト

@『ある画家の数奇な運命』(2018年 独)

クルト・バーナート・・・・・トム・シリング

カール・ゼーバント教授・・・セバスチャン・コッホ

エリザベト・ゼーバント・・・パウラ・ベーア

エリザベト・マイ・・・・・・ザスキア・ローゼンダール

 

【2020】ジャスミンKYOKOの映画私的ランキング

1位・・・・『ランボー ラスト・ブラッド』

2位・・・・『フォードvsフェラーリ』

3位・・・・『黒い司法 0%からの奇跡』

4位・・・・『バッドボーイズ  フォー・ライフ』

5位・・・・『1917 命をかけた伝令』

6位・・・・『プリズン・エスケープ』

7位・・・・『ストーリー・オブ・マイ・ライフ わたしの若草物語』

8位・・・・『グレース・オブ・ゴッド 告発の時』

9位・・・・『ある画家の数奇な運命』

10位・・・・『グッバイ、リチャード!』

11位・・・・『オフィシャル・シークレット』

12位・・・・『スキャンダル』

13位・・・・『デンジャー・クロース 極限着弾』

14位・・・・『透明人間』

15位・・・・『ミッドウェイ』

16位・・・・『リチャード・ジュエル』

17位・・・・『マザーレス・ブルックリン』

18位・・・・『エジソンズ・ゲーム』

19位・・・・『シチリアーノ 裏切りの美学』

20位・・・・『ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密』

21位・・・・『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』

22位・・・・『TENET(テネット)』

23位・・・・『ペット・セメタリー』

24位・・・・『ライブ・リポート』

25位・・・・『ウルフズコール』

26位・・・・『幸せへのまわり道』

27位・・・・『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒』

28位・・・・『ポップスター』




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