『逆転のトライアングル』(ネタバレ感想)こんな映画を観て洋画に失望しないでくれ

こんばんは、ジャスミンKYOKOです。

『BABYLON(バビロン)』に引き続き、ひどい映画に私の心は荒んでいます。

こんな映画が、パルムドール賞を獲ったなんて・・・!(カンヌ映画祭の最高賞)

こんな映画に賞を与えちゃったら、ふだん洋画を観ない人が、「カンヌ映画祭で賞を獲るんならいい映画だよね」と期待マックスで映画館に行ってしまい、ガッカリしすぎてもう二度と洋画に挑戦してくれなくなっちゃうじゃないかーー!

案の定、私がいつも観る洋画は映画館ガラガラなのに、この映画は結構お客さん多かったのよ。

失望したあなた、普段から洋画を観てる人だって、怒り狂ってますよ笑。

どうか、こんな映画ばかりではないので、洋画にまた足を運んでくださいね笑。

『逆転のトライアングル』の評価
私の評価★☆☆☆☆☆☆
ストーリーに釣られて行ったが、サバイバル感がほとんどないのと、汚い描写が多すぎてウンザリ。
観るのにオススメな人⚫ブラックジョークが好きな人
⚫汚いギャグが笑える人
暴力性・残虐性★★☆☆☆☆☆
エロ度★★★☆☆☆☆
直接のエロシーンはないが、間接的なシーンはあります。裸や下着で一緒に寝てたりね。
感動度☆☆☆☆☆☆☆
終わった後、頭の中が真っ白になります笑。

『逆転のトライアングル』ストーリー

大金持ちやインフルエンサー、名だたるVIPが乗った船が沈んで、流れ着いた浜辺。

そこでイニシアチブを獲るのは、トイレの掃除係だった女性。

船の中ではどんなにワガママ言ってもよかった客は、サバイバル能力のある彼女に頼るしかなかった・・・。

SNSもない食べ物もない無人島でしたたかな争いがはじまる。

ここから先はネタバレ感想です。

『逆転のトライアングル』ネタバレ感想

あらすじに書いてある内容と関係ないストーリーが前半にやけに長くあり、イライラした笑。

えっ。これサバイバルメインじゃないの?もしかして・・・。

イヤな予感がよぎるけど、それが的中。

あらすじに書かれているサバイバルシーンは、映画全体の3分の1くらいで、豪華客船に乗り合わせる乗客の人となりを表すエピソードが3分の2を占め、長すぎた。

いかにもサバイバルメインのような予告編を作るんじゃない!

器が小さいのは男か、それとも女か

売れっ子モデルでインフルエンサー(SNSで影響力が強い人)のヤヤ(↑左。チャールビ・ディーン)と、駆け出しモデルのカール(↑右。ハリス・ディキンソン)は恋人同士で、映画冒頭、船に乗る数週間前の彼らのディナーデートのシーンが描かれる。

今の時代の男女の関係性を少し皮肉った描写なのか、ヤヤは食事の会計のレシートをまったく見ようとせず、レシートが乗った皿をカールの方に少しずつ指でずらしていく。

それに気づいていながらもカールも払いたくないので、ずっと気づかぬふりを続けているが、スタッフがお支払いを促しに来たときにこのやり取りに耐えきれなくなり、彼が仕方なく支払う。

ホテルに戻った2人は口論になる。

欧米でも支払い時にこんなやり取りがあるのか!とちょっと驚いた。

私が20代の頃は、いいとこ見せたい男子がデートは支払うという風潮だったので、こんな長い持久戦は必要なかった笑。

ただ、今の若い男子は、「女子供を養うべき」とか「女性は守ってやらなければならないもの」という風に育てられてきてないからそんな感覚はないし、普段から男女平等をしつけられているので、会計だけ男がするのには不満が湧くのかもしれない。(しかも今は平等なら給料も似たようなもんだろうし)

女性差別が昔ほどじゃなくなって給料格差もあまりなくなってきた今の世の中に育っておきながら、支払いの時だけは昔の女子と同じ感覚でいるこの女もどうかと思う。

長引く不況も手伝って、今の若い女子に根付いてしまったのは、昔の女子の「男子に払ってもらってキュンとする」というよりは、手持ちの金をいかに減らさないかということかもしれない。

そうなると付き合ってる時は、割り勘の同い年の男より、まだ「男の見栄」を持っている40代以上の男がよく見えて年の差婚に走ってしまうのかも。

そしてしばらくすると世代間のギャップに、モラハラ離婚したりして笑。

デートしてる時は「男の見栄」はかっこいいけど、結婚したら家庭のお金が「後輩におごるお金」とかに消えていくから、そこに耐えられない世代にはそういうタイプはお取り扱い難しいと思うよ。

「太っ腹」がかっこいいと思ってる女じゃないと無理。「男の見栄」を持つ男っていうのは、女だけじゃなく男にも気前がいいからね。

悪いことは言わない、同い年の男にしておいた方がいいと思う。(40代女子の市場を荒らすんじゃない笑)

そう考えるとちょっと昔は、男女不平等であってもデートにおいては「男の見栄や下心」と「女のしたたかさ」のバランスが取れていたのかもしれないよね。

今は部分的にどこかに昔の感覚が残っているから、おかしいバランスになっているのかな。

一次会はおごってもらいながらも「当然」という態度はしてなかったし、二次会はこちらがごちそうしたり、たまにはプレゼントでお返ししたりバランスを取ってたからね。

お互いに都合のいい部分だけを残そうとするからおかしくなるのかもしれないよね。

まあ、私はデートはごちそうしてもらった方がキュンとくるタイプですけど笑。

サバイバル映画の楽しみが、みじんも感じられない映画

このカップルの「おごる、おごらない」エピソードはいったい何のためにあるのかと言いたくなるくらい、単調で長かったが、ラストの船が転覆し無人島に漂着してからのこのカップルの関係性につながってくる。

私が好きな「自分が傷だらけになっても好きな女を守り抜く」ランボーとは違い、この男は食べ物を捕獲できるサバイバル能力のある掃除係(60代の女)に身体を提供することで、食べ物を優先的にもらうことに全力を注ぐ。

ゲーーーーッ お前恥を知れ!

無人島では、美人でスタイルが良くても、食べ物を捕獲できない彼女はお荷物なのだ。

本当に愛してないのよね。自分のことしか考えてない。

あーーもう女を守るヒーローっていないのかしら・・・。

『タイタニック』で女子供を優先され、ボートに乗ることを禁じられた殿方の中には、本当は女なんか押しのけて乗りたかった人もいただろう(実際ケイト・ウィンスレット演じるローズの婚約者がそうだった)。

でもディカプリオ演じるジャックは、自分は残り、愛するローズをボートに乗せる。

「男のやせ我慢」というのがかっこいいとされてた時代ならではなんだな、と今では懐かしく思うしかないのかも(泣)。

あの映画がディカプリオがケイトを押しのけてボートや板切れに乗ってたら、あんなに大ヒットはしなかっただろうね笑。

もし私の乗ってる船が沈んだら、アラフィフのおじさんがたくさん乗ってるボートに乗ろうと思った笑。

昭和生まれってサバイバル能力もありそうだからね笑(小さい頃、外でよく遊んでるし笑)。

男女平等を求めてはいるけれど、それが究極になってくると、果たしてこの先人類に恋心って生まれるのかしらと不安になるね、昨今の風潮は「男女平等」というより「男女分裂」みたいなとこあるし・・。

女もつまらんこと突いてくるから、男子も生存本能から、対立したくなるんじゃないのかな。

うまくやってこうよ。男子は元々優しいのに、最近女がしたたかさ全開で行きすぎるから「そっちがその気なら!」って闘争本能丸出しで対抗するようになって、こんなカールみたいな男だらけになってしまうのよ。

女が先に寛容になると、男も安心して矛をしまい甘えられるのに。

女たちよ、これが極端になってくると、自分たちがモノ扱いされてきた歴史を今度は反対に男子に課すことになるんだからね。

私の期待をとことん裏切る、さすがヨーロッパ映画

↑主導権を握るトイレの掃除係。

無人島では、大金持ちもインフルエンサーも、為す術なく、生存本能強い人間が生き残る。

船の乗客たちは元々自分のことしか考えないワガママな客が多く、船のスタッフはさんざん振り回されてきた。

しかし無人島に着いたとたん、権力はサバイバル能力のある掃除係に渡る。

そんなストーリーって聞いたらワクワクするじゃない。(→そこに釣られていった人)

それなのに大したサバイバル能力じゃないのよ。

船に残ってた大量のお菓子を独り占めして権力を握るなんて、なんやそれ!笑。

しかも獲ってきても小さなタコ1匹だったり笑。

私は掃除係はきっとウッディ・ハレルソンがやるんだわ!と思い込んでたから、女と知ってガッカリして観に行くのやめようかな、と思ったくらいだったのよね。(極悪人や個性ある役が多い俳優)

さすがヨーロッパ映画だった。

私の思ってたサバイバル映画とは違って、人間同士の皮肉なやり取りが中心だった。

やはり私はアメリカ映画かぶれだから、主導権が掃除係になったとしても、今までさんざんこき使われてきてひどいことも言われた金持ちたちを許し、みんなで協力して無人島で過ごしていく、みたいなのを期待しちゃうからいけないのね。

ヨーロッパ映画はやはり、変わることのない人間の汚さに焦点を当てるのか、忘れていたわい。

人間の汚さだけならまだよかったけど、この映画も「上から」「下から」汚物を垂れ流しまくりでゲッソリ。

『BABYLON(バビロン)』でも象の汚物や、ゲロを忠実に再現する意味がわからなかったけど、今回も、人間のお尻から下痢が吹き出す様子を忠実に再現。

トイレの中で船酔いしておばあさんが倒れて汚物まみれになったり。

いらぬ描写を丁寧に時間かけてリアルに描くな!

一時期の頂点を取るか、後の事を考えて忖度するか

↑船に乗る前、「媚びまくってチップをもらいまくろう!」と誓い合うスタッフ。

みんな来る日も来る日も掃除婦におべっか使って、食べ物もらって数週間生き延びる。

最終的なオチは、実はこの浜辺はリゾート地にもなっている島の海岸だったのだ。

ちょっと探検したらホテルのエレベーターがあり、今までの数週間の出来事が嘘みたいに近代化の建物が姿を表す。

そうなったら、今までヘーコラしていた掃除婦になんて目もくれず、みんな一目散にホテルに走っていく。

ここからはお金持ちの独壇場である。

無人島と思ってたあの数週間、掃除婦も食べ物を独り占めして威張りちらさなかったら、その先の未来も変わってたかもしれない。

でもね、ワガママだった客を意のままに操る快感を味わいたかった気持ちもわからなくはない。

救助される見込みが見えてこないなら今恩を売っておくという計算高さも生まれてこないだろう。

この映画には、アメリカ映画のパニック映画に出てくるような勇敢な人もいなければ、ワガママだった客は改心のきざしも見せないし、見せたとしてもそれを許す寛容な心の持ち主も誰一人としていない。

助け合うというより、叩き合う。

格差社会が生み出した、人を助ける余裕のない(金銭的だったり、心身的だったり)人間の巣窟。

アメリカ映画が、「人間への期待と希望」を描くとするな、ヨーロッパ映画は「人間の根本と真実」を描くということだろうなあ。

誰もが持ってるどす黒い心。

日常生活でイヤというほど味わっているのに、映画館でまで観たくないというのがアメリカ映画好きな私の考え笑。

ひどかったです笑。

『逆転のトライアングル』煩悩だらけの映画トーク

ウッディ・ハレルソン↑がまったくもって意味をなさなかった。(破天荒かつ、猟奇殺人鬼など個性的な役がうまい)

最近渋みも増して、味のあるおじさんになってきたから、サバイバルな掃除係を彼がやってくれたらきっと面白い!と期待したのだ。

それなのに、ただ泥酔した船長の役で、嵐の夜にスタッフが止めるのも聞かずにパーティを開催して、船中、船酔いした客のゲロだらけにしてしまう。

最後まで酔いつぶれて船にいて助かることもなく、爆弾で海の藻くずとなる。

えーーこの船長にウッディ・ハレルソン使う意味ないやん?誰でもいいやんか。

↑インフルエンサーでモデルの彼女がビキニを着たときに見えた、おなかを縦に走るおおきな傷が気になった。

盲腸にしてはど真ん中すぎるけど、帝王切開の跡でもなさそう・・・。

後から知ったのだが、この彼女、この映画の撮影前に交通事故に遭い、内臓破裂で脾臓を摘出したのだとか。ヒエーーー!!

しかもこの映画の公開前に、感染症で亡くなってしまったらしいと知りビックリ。

なんでも猫の口の中の菌で亡くなったんだって。

大きな手術した後は、ペットなどを気軽に触るのは避けた方がいいんだろうね、ちょっとゾッとしてしまった・・。

私はいい作品とは思わなかったけど、交通事故から奇跡的に助かって、賞を獲ったのに、公開する前に亡くなったのは無念だったろうね。大きな役だったのにね。

船が沈む原因となった、海賊が急に現れ、爆弾を投げたというのも唐突で意味不明。

ええっ ここに海賊??アフリカ沖でもクルーズしてたわけ??(ソマリア沖には度々海賊が出ます)

ゲロだらけになった船酔い続出の、あの嵐のせいで沈んだことにしたっていいやんか。

すべてを皮肉な笑いにしたかったのかもしれないが、この映画は好き嫌いがかなり極端に分かれる映画だと思う。

私は『BABYLON』に続くゲロかぶりで、本当に怒り心頭、疲れまくった映画だった。

この監督は『フレンチアルプスで起きたこと』※の監督だったらしいが、あのブラックな笑いは会話のやりとりもすごく丁寧だったし、「こんなやついるー」って感じで笑えたのに、今回はどれもこれも笑えなくて悪ふざけしすぎた感が否めない。

※フレンチアルプスにバカンスに来た家族が食事中、大きめの雪崩がレストランを襲う。特に大事には至らなかったが、妻と子供を置いて一目散に逃げた夫に、妻の小さな怒りが少しずつ巨大化していく様を描いた映画。

あらすじの書き方にもおおいに問題があった気がする。

観に来てくれたお客さんが、これに懲りず、洋画にチャレンジしてくれることを祈る笑。

『逆転のトライアングル』キャスト

@『逆転のトライアングル(Triangle of Sadness)』(2022年 スウェーデン)

カール・・・・・ハリス・ディキンソン

ヤヤ・・・・・・チャールビ・ディーン

アビゲイル・・・ドリー・デ・レオン

スミス船長・・・ウディ・ハレルソン

【2023】ジャスミンKYOKOの映画私的ランキング

1位・・・・・『母の聖戦』

2位・・・・・『SHE SAID その名を暴け』

3位・・・・・『THE FIRST SLAM DUNK』

4位・・・・・『対峙』

5位・・・・・『フラッグ・デイ 父を想う日』

6位・・・・・『ワイルド・ロード』

7位・・・・・『BABYLON』

8位・・・・・『逆転のトライアングル』