『母の聖戦』(ネタバレ感想)母親の行動に全編ハラハラしっぱなし!メキシコの誘拐、気軽過ぎて恐い

こんばんは、ジャスミンKYOKOです。

私はだいたい、「お母さんが主役」の映画には行かないんだけど笑、舞台がメキシコの誘拐組織なら別。

映画『ボーダー・ライン』※で震え上がったメキシコの怖さを再び味わいたくて、行ってきた。

※・・・・アメリカとメキシコの麻薬戦争の攻防を描いたもの。CIAとメキシコの麻薬組織との国境を巡るやりとりを描く。

娘を誘拐された母親が、我が子を取り戻すべく1人で組織を探していく・・。

あのね、組織と対峙するのが、スタローンやリーアム・ニーソンならいいんだよ、ただのメキシコ人のお母さんなのよ。

もう、2時間40分、ハラハラしっぱなしで疲れた!!

アメリカの犯罪映画をいつも観ている人は、このお母さんのやり方が観ていて気が気じゃないと思う笑。

尾行の仕方1つに取っても、海の向こうから教えたくなります笑。

しかし、あんな怖い組織はイヤじゃーーーーーーッ。

まだ先進国のマフィアに捕まった方が幸せかもと思ってしまう・・・。容赦がない。

メキシコ旅行に行く前に観るのは、もちろんオススメしません笑。(ただこういう犯罪が多発してるってのを頭に入れとくにはいいかも)

あまりにもハラハラするので、2時間40分が長く感じない、そんなすごい映画です。

ダラダラした毎日を過ごしていて、気を引き締めたいならオススメです笑。

『母の聖戦』の評価

私の個人的な思考による評価です笑 星は7段階で評価します

私の評価★★★★★☆☆
ハリウッド映画のような盛り上がりはないが、そこが
返ってメキシコのリアルさが伝わってくる。
ハラハラドキドキしっぱなしなので、★5です
観るのにオススメな人⚫『ボーダー・ライン』が好きだった人
⚫麻薬もの映画が好きな人
⚫残虐な映画が平気な人
暴力性・残虐性★★★★★☆☆
目を覆いたくなるような死体が多発します
エロ度★☆☆☆☆☆☆
たまに裸の死体あり
感動度★★☆☆☆☆☆
このお母さんの勇気と執念に驚きます

『母の聖戦』ストーリー

娘のラウラを誘拐された母親シエロは、元夫とともに、なけなしの金を工面して身代金を誘拐組織に支払うも、娘はとうとう戻ってこなかった。

警察もあてに出来ない中、母親は1人で組織のアジトをつきとめようと奔走する。

メキシコ北部の現状を、実話を元に描いた、ショッキング過ぎる映画。

これから下はネタバレレビューです。

『母の聖戦』ネタバレ感想

映画『ボーダーライン』を観た時のショックは相当なものだった。

メキシコの国境の街で繰り広げられる、麻薬取引や誘拐をビジネスとしている組織の、その怖さったら、言葉にならないほどだった(幹線道路の高架に拷問を受けた全裸死体がいっぱいぶら下がってた)。

メキシコ北部には近づかんどこ!と誓ったけれど、映画は別。

メキシコ、麻薬、人身売買組織と聞いたら、つい怖いもの見たさで行っちゃいます。

『ボーダーライン』はCIA(アメリカの諜報機関)などが対峙してたから、怖いけどどこか安心してた。

でも、今回は地元に普通に生活してる、メキシコのお母さんだから、四六時中ハラハラ。

しかもね、誘拐が、気軽すぎる!!!!

同じ南米の誘拐がテーマでも『マイ・ボディガード』や『プルーフ・オブ・ライフ』では、お金持ちの欧米人目当てだったのよ。

今回は身代金を払えるのかもわからない、貧しいシングルマザーで、最初なんで犯人たちがこんな人を狙うのかがわからなかった。

メキシコの誘拐は手当り次第

⇧娘を誘拐された母親シエロ。

夕食の買い物をしていたシエロの車に横付けした車には、まだほんの子供(高校生くらい)に見える少年がおり、「オタクの娘ライラを誘拐した。取引は〇〇で」と言い立ち去る。

その取引の場所がスペイン語だから、最初は怪しそうな山奥の場所の名前なのかと思ったら、なんと普通の食堂。

えーーーーーーっ 他の人に話を聞かれるじゃない!平気なの?(たまに犯人側の視点になってしまう私笑)

取引の場所が町の人が使う普通の食堂ということは、地元民はギャングのやることに見てみぬふりをしなければならないことを示してる。

しかも仕方なくシエロが頼んだタコスを、ヤツは登場したかと思うとバクバク食べながら、「明日○時までに20万ペソ(約140万円)持ってこい」と言う。

てめえ!!下っ端のくせにいいーーーー。

そう思った私が甘かった笑。まだまだメキシコの怖さをわかっていなかった。

誘拐組織はちゃんとした親玉がいて、幹部がいて、と今まで観てきた組織を思い描いていたのだ。

この映画に出てくるそれは、高校生の部活みたいなものだった。

はした金欲しさに貧乏人でも容赦なく子供を誘拐する、若者だけのギャンググループだったのだ。

先進国の誘拐とはぜんぜん違う

⇧娘のラウラと2人暮らしてたシエロ

なけなしの金を別れた夫と共にようやく工面したのに、取引現場で娘の生きた姿を見せるのを要求せずにお金をさっさと渡しちゃうのを観て、「いかん!そこは、娘の姿を見せないとビタ一文金は渡さない」くらい言わなきゃ!・・そう思った私。

でもそれは、先進国の誘拐ならではの話だということに後から気付かされる。

アメリカ映画を観てきた私は、お金払ったら娘は返すと思ってしまってた。

ここはメキシコだった・・・。

金が手に入らなければ、明日また違う子供を誘拐すればいいだけのことなのだ。

メキシコは警察が機能していないから、ギャングにとって誘拐は容易い。払うのを躊躇すれば殺すだけのこと。

この町の事情をシエロは分かってたからこそ、そのまま渡したのかもね。

そう思うと、また怖くなった・・・(泣)。

警察が機能しない町で、娘を取り返すと決めた母の覚悟

約束の金を払ってもやはり娘は帰ってこなかった。

警察もあてにできない(メキシコは組織に買収された警官が多い)この町で、シエロはたった1人で娘を探すが、どこを探していいのかもわからない。

そんな折、首を切られた若い女性が見つかったというニュースを観たシエロは、その遺体が安置されているという葬儀社へ向かう。

この葬儀社がとてつもなく怖い・・・・。

娘の遺体じゃなかったことに安堵するものの、身元不明の死体がそこら中にごろごろ。

明らかに拷問した跡がある土色の顔の首だけがあったり、首がない体だったりと、目を背けたくなる死体がズラリで、コワすぎる!!

警察が身元不明の死体を処理しきれず運び込んできたり、ギャングにいいように使われて彼らの身内の遺体はお金をもらうこともなく高級な棺桶に入れなければならないと、ここの女主人が愚痴をもらした。

そこにピンと来たシエロは、翌日から葬儀社を見張ることにした。

もう、この見張り方が観ていて心臓に悪い。

車のナンバーは違うの付けなさいよー。そんな近くで張ってたら見つかるよー。

犯罪映画を観すぎの私は、シエロの行動に逐一ハラハラします笑(だからといって自分がうまくやれるかもわからんけど)。

何日か張っていると、組織のアジトを突き止めることができたが、娘の誘拐を気の毒がっていた町の有力者のドン・キケも奴らとつながっていることが分かって悔しさがこみ上げる。

ギャングにみかじめ料※を取られていたお店の主人にも話を聞くと、子供が誘拐されて金を払ったのに戻って来ていないという。

※その土地で商売することの手数料。ギャングの土地じゃないので本来は払う必要ない。      昔は日本でもよくヤクザがやっていた。

手当り次第誘拐するような町に一分一秒でもいたくないだろうけど、引っ越しするのもままならないような経済状況なんだろうね、どの家庭も。

町をパトロールしている軍の車を無理やり止め、赴任してきたばかりの将軍に、自分の情報と引き換えに協力を懇願する。

警察はギャングとつるんでて危ないというのはわかるけど、軍なら信じられるの???うーん・・・でも銃も持たないし、そこは誰かを信じるしかないのだろうか。

軍も民間人を作戦に巻き込むのはご法度だから、渋る将軍に「死んだ時、死体は組織の一味として扱っていい」・・なんて言ってしまう母の覚悟がすごすぎる!!

平和な日本で暮らしてたらまずこんな目に遭うことはほとんどないけど、たとえメキシコに暮らしててもこんな覚悟はなかなか出来ないと思う。

シエロが見つけたアジトに軍と一緒に踏み込むと、作戦を事前に知らせた軍の内通者がいたんだろう(どいつもこいつもメキシコはまともなヤツはいないのか)、もぬけのからだった。

ギャングとつながってた町の有力者ドン・キケを脅して吐かせるも、死体を埋める場所しか得られなかった。

後々、シエロに危害が及ぶ可能性や軍が民間人を巻き込んでるのがバレるのを防ぐためでもあるだろうが、将軍がそのままドン・キケを射殺するのには、ビックリ。(まあ、解放したとしても口を割ったからギャングに殺されるのは免れないだろうけどね)。

町の有力者を撃ったらヤバいんじゃないの?軍の銃弾ってバレるんじゃないの?とかヒヤヒヤするけど、それはそもそも警察が機能してたらの話だったね。

ここではいちいち司法解剖なんてしないんだろう。

ドン・キケから聞いた、100人以上埋まってる可能性がある、ギャングの牧場に勝手に侵入して掘り返すシエロ。

出てくる出てくる大量の骨。骨が出てきても、それが娘だとはわかるはずもないのに、一心不乱に彫り続けていた。

そんなことしてたら、見つかるって、やめなさいよ!と、もうずっとハラハラ。

警察もここまで大量の骨が出てきたら動かざるを得ないから、DNA鑑定の結果を待つことになり、とうとうラウラの太ももの骨の1部が見つかった。

信じたくないのか、娘を殺したギャングを捕まえたい一心なのか、シエロは、ラウラの彼氏が収監された刑務所に向かい、取引したギャング野郎に妻がいることを訊き出す。

この妻を尾行するための作戦がゾクゾクした。やるな~シエロ!!! 

名前と職場しかわからなかったから、その妻に片思いの相手が送ったかのように花束を職場あてに配達したのだ。

その花束を持って帰宅する女が、ギャング野郎の妻と断定できるからだ。

レストランで家族と食事をしようと、その女が到着した瞬間にシエロの通報で警察が踏み込み、そこにいたギャングは逮捕された。

実話と知って、あのラストをどう捉えるか

娘の骨も見つかり、ギャングも捕まった。

もうやることもなく、家の入口のベンチで打ちひしがれ、気が抜けたように座っているシエロが、帰ってきた娘を見つけたかのような笑みを浮かべた表情で立ち上がった瞬間、映画が終わる。

この映画のモデルとなった実在のメキシコの女性は、娘を誘拐したギャングを逮捕させた後、その仲間の報復により自宅の玄関先で銃撃されて亡くなっている。

私は鑑賞後に実話と知ったので、観た直後はなんでこんな終わり方なの?と思ったけれど、彼女の最後を忠実に再現しないままで終わらせたからよかったのかもしれない。

あのラストだからこそ、この話が「実話」ってことをひしひしと感じさせるのには効果的だったと思う。

彼女を殺そうと女のギャングが娘に見せかけて近づいたのか、それとも彼女が銃撃された時に見た「死ぬ間際の幻」だったのか。

実話と知ってラストシーンを思い返すことで、より深くこの土地の現状が刻みつけられるから。

昔話ではなく今の話だということを。

『母の聖戦』煩悩だらけの映画トーク

ただ、娘と静かに暮らしたい。

そんな小さなのぞみも揺らぐ、働きもせず銃を片手に誘拐しまくる子供のような奴らが仕切っているギャングがはびこるメキシコ北部の町。

大人が仕切っている組織なら、売春や人身売買などのルートを開拓し組織化するだろうが、高校生くらいの子供のグループなので、誘拐したものの人質を持て余してしまい殺してしまうんだろうね。

閉鎖された牧場で、牛肉の塊を引っ掛ける金具や、ナタが血だらけになってるのを見て、もう怖いのなんのって。

国や地域が貧しいから若者たちが犯罪に走りやすくなるというのはわかるけれど、せめてスリや詐欺くらいにしとかないか?

人を拷問したり、遊び半分で傷つけたりできるのは、もともとあった残虐性と、貧困という現実から逃避する甘えでしかないような気がするけれど、小さい頃ろくな育て方されないとこうなっちゃうのかな。

身代金でお金がすっからかんになった夫⇧が、一緒に暮らしてた若い女(たぶんシエロとの離婚原因)から捨てられ、のこのこやってきて「やり直そう」とか言うのが笑った笑。

子供がいる夫婦って離婚しても、スパッとは縁が切れないのよね。子供なしのまま離婚するのとは違って厄介だ。

子供のことでなんか連絡することがあったりするからね。

自分の浮気で離婚したのに、捨てられて住むとこもなくなったからって、ソッコー「よりを戻そう」なんて、恥ずかしげもなく言えるプライドの無さが、この夫の残念さ笑。

でもこういうタイプだからこそ、あちこちの女に世話になれる「ヒモの素質」があるのよね。

気概のある女だと、「私がそばにいなきゃ」と貢ぎ続けてしまったりする。

たぶんシエロもそうだったのかも。こういう男は甘え上手だから、「私がなんとかしなきゃ、私ががんばれば彼は変わってくれる!」

でもね、こういう男は、「ラク」が好きだから、基本変わらないのよね。

ただ、彼はどうしようもない男だけど、娘のラウラを愛する気持ちはちゃんとあって、金を工面してくれたり、死体が埋まってる牧場の掘り返しも手伝ったところが、憎めないところではある。

この映画の完成を待つことなく、モデルになった実在の彼女は銃撃されて亡くなってしまったというのが、何よりも怖い現実だよね。

日本も景気がいつまでもよくならず、若者の貧困化が進み、最近では強盗にまで手を出してしまい始めている。

なんとか、このまま日本は、治安の良さを保っててほしいと思うけれど、全員が貧困だった昭和と違い、格差がある上にSNSにオイシイ詐欺話や、うらやましくなる投稿がゴロゴロ転がってるから、金欲しさに犯罪に手を染めるのかな。

詐欺と違い、強盗じゃ重罪だぞ、そこ日本の若者はわかってない気がするなあ。

強盗のリーダーに免許証見せるとか、アホのすることだ。(面接の時言われて本人確認書類の写真を送ったらしい・・・変なとこに律儀さを出すな)

そういうツッコミどころがある方が深みにハマらない気もするが、強盗してしまったらもう普通の就職はできないから(そこは日本の方がメキシコより難しい)、闇の世界に行くしかなくなる。(日本は家族にも前科者がいたら何かと難しいからね)

それが「日本で犯罪者になる」という一番のリスクだろう。

更生したとしても、日本はそれを許容できる世の中じゃないからね。一度手を染めたら元の世界には二度と戻れなくなる覚悟でやることだ。

治安はいいけど一度階段を転げ落ちた者には厳しい日本と、治安は悪いけど過ちを認め更生したら普通の社会に戻れるメキシコ。

最近のSNS集団強盗事件と、この映画を観た時期が重なったので、色々と考えてしまった。

映画としては、2時間40分ハラハラしっぱなしだったので、面白かった。

『母の聖戦』キャスト

『母の聖戦(La Civil)』(2021年 ベルギー・ルーマニア・メキシコ合作)

シエロ・・・・・アルセリア・ラミレス

グスタポ・・・・アルバロ・ゲレロ

ラマルケ中尉・・ホルヘ・A・ヒメネス

【2023】ジャスミンKYOKOの映画私的ランキング

1位・・・・・『母の聖戦』

2位・・・・・『SHE SAID その名を暴け』

3位・・・・・『フラッグ・デイ 父を想う日』