『SHE SAID その名を暴け』(ネタバレ感想)声を奪われた女性の怒りと悲しみを代弁するまでの女性記者の奮闘が見応えあり。

こんばんは、ジャスミンKYOKOです。

キャリー・マリガン主演の『SHE SAID その名を暴け』を観た。

映画界の数多くの女性への性的暴行で起訴され、2017年に有罪判決を受けたハリウッドの名プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインの告発記事を出したタイムズ紙の女性記者2人の奮闘のストーリーである。

ワインスタイン、ひどいとは思っていたが、ここまでだったとは。

パワハラ+セクハラの最高峰、権力を傘に売れ初めの新人女優に性的行為を強要、レイプするという、プロデューサーにあってはならんことをつい最近まで続けていた。

・・・この記事が出るまでは。(逮捕時、65歳。いい加減にせんか!)

そのタイムズ紙の女性記者をキャリー・マリガンとゾーイ・カザンが熱演♪

キャリー・マリガン、かわいい役ばかりが多かったけど、前回の『プロミシング・ヤング・ウーマン』が良かったのもあり、見事社会派ドラマも演じる女優さんに転身できてよかったね♪

記者の奮闘の物語なので、聞き込み、裏付けを取る、の繰り返しがたんたんと続くので、こういう社会派ドラマが好きじゃないと長く感じるかも。

それでも、面白かった♪ 

ボストン・グローブ紙が神父の児童への性的虐待を告発するまでを描いた『スポットライト 世紀のスクープ』よりは、盛り上がる部分は少ないけれど、実在の女優も出てくるので、リアリティがあり見応えがあります。

映画『SHE SAID その名を暴け』の評価

私の個人的な思考による評価です笑 星は7段階で評価します

私の評価★★★★★☆☆
声を挙げることが出来ない被害女性のために絶対
記事にしようという2人の意気込みが素晴らしい
観るのにオススメな人●社会派ドラマが好きな人
●告発映画が好きな人
●キャリー・マリガンのファン
暴力性・残虐性★☆☆☆☆☆☆
エロ度★★★★☆☆☆
性的虐待やレイプの告発映画だが、再現シーンは被害に
遭った後のシーンや言葉で語られるのみで、行為そのものの描写はない。
感動度★★★★☆☆☆
ドラマチックには描かれず、たんたんと映し出していくので、
感動シーンはあまりないが、被害者の勇気と記者たちの
努力に感動する

『SHE SAID その名を暴け』ストーリー

ハリウッドの名プロデューサーである、ハーヴェイ・ワインスタインは、これまで数々の名作を手掛けてきた。

しかし、その裏で数十年もその映画に関わる女優やスタッフに性的暴行を繰り返してきたのだ。

#Metoo運動へのきっかけとなったニューヨーク・タイムズ紙のワインスタインへの告発記事を掲載するまでの、2人の女性記者ミーガン(キャリー・マリガン)とジョディ(ゾーイ・カザン)の長い道のりを描く。

ワインスタインが何度も記事をもみ消していたことを知った彼女たちは、業界にはびこる隠蔽の慣習を破るため、妨害を受けながらも、粘り強く取材を続けて行く。

⇩ここから先はネタバレレビューです。

『SHE SAID その名を暴け』ネタバレ感想

彼女たちの奮闘がストーリーのメインになっているので、ワインスタインの悪事は映像で再現されることはない。

そういう目に遭った彼女たちの事件直後の怯えてるシーンと、言葉で行為の経緯を語られるだけなのに「こんな卑劣でキモイことをしたんだ」と生々しく想像させる描き方がうまい。

ワインスタインは、人を選んで暴行していた

「映画の打ち合わせ」だと信じて、ホテルの部屋にやってきた新人女優。

名プロデューサーに声を掛けられたら、ホテルの部屋に1人で向かうことに疑問は持っても、輝く未来が待っているならつい、行ってしまうもの。

そこに待っていたのは、性的要求と、拒んだら映画業界にいられなくなる恐怖。

こういう事件を聞くと、日本の「枕営業」という言葉があるように、「仕事を取るために寝た」と思う男性も多い。ましてや同性からもそう思われかねない。

そういう厚かましい女もやっぱり世の中にはいるので、誤解が生まれるのも仕方がないが、違うんだよね。

こんなことを何十年もやってのける男というのは、告発できないような女を見抜く目がすごいのよ。

だから、業界に慣れていない、まだ入ったばかりの新人女優を狙う。

キャリアが欲しいけど、業界のドス黒さを知らない、田舎から出てきたばかりだったり、大作は初めての売れてこなかった女優をね。

『スポットライト 世紀のスクープ』でも、神父が狙うのは、貧乏な家の生まれで、おとなしく無口な少年だったもんね(告発する財力もなければ教会に奉仕することで希望を持っているような家)。

女子の社会進出と、セクハラへの葛藤

女子だって、「こいつがセクハラするかもしれない」なんていつもいつも神経尖らせていたくはないのよ。

ちょっとした冗談も通じない女なんて思われたくもない。

だから、肩に手を回されたぐらいで振り払えないのよ。でもその我慢をいいことにエスカレートしてくる男の多いことよ。

このワインスタインに抗えなかった女子たちもそんな攻防を繰り広げた挙げ句、最後には暴行されてしまったって人が多いと思う。

その部屋にはいなかったヤツが「なんで?部屋の外に出ればいいじゃない」と言うのは簡単なのよ。

振り払って外に出れば、今までの努力が一切なくなってしまった、未来が閉ざされた世界が待っている。

足を触られるくらいならと我慢してしまうのよね。

そのゼロの世界に行くか行かないか葛藤しているうちに暴行されてしまうんだと思う。

ワインスタインは、彼女らのその気持ちを利用している。でなきゃそんな危ない橋を渡らないよ。

女にも非があると思わせることでずっとやれてこれたんだと思う。

私はおじさんとカラオケでデュエットも喜んでしてあげるタイプだけど笑、下ネタに慣れていない男が急にセクハラすると、大抵失敗してる気がする。

その点ではワインスタインは人を見抜く目に長けてたんだと思う。

社内旅行の宴会で、泥酔して私の膝枕で寝てたおじさんが、翌日シュークリームを山程くれたことあったけどね笑。(私はシュークリームが大好物)

「あれ?口封じ?笑」って笑いながら言ったら「昨日はすみませんでした!!」

笑。私はイヤなら頭を畳に落としてるから、ホットラインにはあれぐらいじゃ電話しないけど、ビビったみたいだね笑。

ワインスタインがやることは、大勢いた宴会の部屋で、自分の未来になんら関係ない男がするセクハラとは訳が違うのよね。

高級ホテル(ペニンシュラ)の1室で、ホテルの従業員も黙認せざるを得ない大物プロデューサーと密室でキャリアを賭けて要求されたら、ほんとどうしていいかわからんよね。

映画『スキャンダル』でも描かれたけれど、人事を思いのままにする会社のTOPというのはキツイ。むげに手を振り払っただけで自分の未来はなくなってしまうから。

90年代からこういうセクハラ問題が多発したのは、長い間男性のものだった社会で、女性たちが普通に働き出したのが要因なんだろうね。

働く女子の結婚生活を並行して描く

今までにたくさんあった告発モノの映画とこの映画が違うのは、女性記者2人の結婚生活も並行して描きながらの2ストーリーであること。

キャリアを優先し家庭は振り返らないのがよしとされた昭和のオヤジの働き方とは違い、女性たちは家に帰っても色んな仕事があるんだよってことを並行して描いていく。

仕事でイヤなことがあったからって、ひと昔前の男みたいに「今から飲んでくる」って電話1本したら済んでたのと違うのよね、働く女子の結婚生活は。

こんな大きなプロジェクトをやってる時は、もちろん頭も上の空にもなるし、家事や子育てもやりながらだから、家族の協力が不可欠だ。

この女性記者2人のパートナーが素晴らしい。記事のことでいっぱいいっぱいになってて自分が相手にされない日が続いても彼女たちをちゃんと見守ってくれてるのよ。

『マイ・インターン』のアン・ハサウェイの夫とは違うのよねえ♪(社長業が忙しいアン・ハサウェイにちょっと相手にされなかったからって、ママ友と浮気したヤツ)

決して自分たちだけの偉業という描き方にはせず、支えてくれる家族がいたから、この記事を最後まで仕上げることが出来たという風に描いていることが新しい。

声にならない悲しみに耳を傾け、スクープ狙いではない記者の姿勢が素晴らしい

ワインスタインにとってはたわいもない一夜のことだが、被害を受けた彼女たちは全員人生を狂わせられ、今も苦しみ続けていた。

告発するのは怖い、でも誰かに聞いてほしい。

示談でもみ消され、箝口令(かんこうれい。事件について話さない契約)を敷かれた多くの女性たちは、「沈黙を貫く」ことの辛さをイヤというほど味わっていた。

自分で黙っているのと、「契約で言えない」というのはストレスも全然違うよね。

その時に強く「NO」と言えなかった女性は、「NOと言えなかったこと」に悩み、拒絶した女性はキャリアを潰され、業界にいることができなくなっていた。

箝口令を敷かれた女性があまりにも多く、裏付けが取れないことから、この示談を平気で生み出す会社のシステムそのものから崩すことにしたミーガンたち。

ミラマックス(ワインスタインがCEOを務める映画会社)の元幹部に直接会い始める。

奥さんと一緒にいる時に攻め込むのはうまいと思った♪ 女のカンが働いて記者が帰った後、絶対問いただすからね笑。「なんであなたのとこに記者が来たの?」ってね。

女を冒涜してるのも許せないし、それに夫が関わってるなら、自分の家まで転覆しないように早くに策を打つのが妻の為せる技だから笑。

週刊誌と違い、歴史ある新聞社は、やはり「裏付け」があってこそ。それをすっ飛ばすわけにはいかない。

ミーガンたち記者を、映画を観ていて応援したくなるのは、スクープ狙いではなく、たとえ裏付けが取れない女性でも、真摯に耳を傾ける姿勢を貫いていたというのが大きいよね。

好きだった女優に起こった出来事と、彼女の勇気

アシュレイ・ジャッドが出てきたのにはビックリした!

私の好きな女優だったけど、ずっと主役を張ってきたのに、あるときを境にパッタリとでなくなり、どうしたんだろうと思ってた。

そうか、あれはワインスタインの性的暴行を断ったから、役が回って来なくなったからだったんだ!と納得した。

ずっと沈黙を守ってきたのに、彼女は次世代の女優のためを思い、実名で載せていいと決断したのだった。

あーーーやっぱりカッコいい女優だった、私の好きな人は。

実名を挙げるってことは、世間の好奇の目にさらされるってこと。本当に勇気がある決断だったと思う。

この記事が出たとたん、Twitterで、「私もこんなことされた」というハリウッドの女優たちが次々と性的暴行の事実をツイート。

#MeToo(私も)というハッシュタグで、全世界に広がり、一大ムーブメントとなった。

人間だから過ちというのはあるけれど、ワインスタインのそれは、どう見ても「なんでも自分の思い通りになる」という勘違いとそれを利用した、れっきとした性犯罪だ。

これで劇的に女優たちが契約と共に性的要求をされることが少なくなったことを祈る。

『SHE SAID その名を暴け』煩悩だらけの映画トーク

⇧ブラピの元カノ、グヴィネス・パルトロー。

ワインスタインと性的要求と聞くと、思い出すのはブラピのカッコよさ。

映画『セブン』で共演して付き合い出したグヴィネス・パルトロー⇧にワインスタインが性的要求をしたのを知ったブラピが、キャリアがなくなるかもしれないのをものともせず、ワインスタインに忠告したっていうエピソード。

もう、カッコよすぎ!!!その時に愛している人を全力で救うブラピ。惚れる!

しかし、同時にパルトローが羨ましいあまり、ムカつく私笑。

この映画にもパルトローに取材するシーンが出てくる(本人は出ていない)。

映画は、ブラピがプロデューサーだから、パルトローをネタにしていいか、元恋人のブラピが彼女に連絡したかも・・・・。(悔しい・・・)

ブラピがプロデューサーならほんと安心して映画に集中できるよね♪いいなあ・・。

売れ始めにトム・クルーズと出会い結婚したニコール・キッドマンも、「私はトムと結婚していたことでそんな目に遭わずに済んでいた。守られていたことを今更ながら感謝している」とコメントしている。(なんで別れたんだよーー)

今ハリウッドを支えている大物俳優たちが、まだキャリアが浅い時から悪徳プロデューサーから、女子たちを守っていたのよねと思うと、もうキュンキュンしてしまう。

私の好きな俳優を見る目に狂いはないと妙に自信持っちゃうよね(お前のおかげではない)。

キャリー・マリガンのパンツスーツ姿がカッコよかった♪

ワインスタインの弁護士と話す場所は、ニューヨーク市立図書館の隣の公園、ブライアントパーク。⇧図書館のテラスで話すっていうのがかぶれにキュンと来た。

会社でのシーンは、本当にニューヨーク・タイムズの本社ビルで撮影したらしい(友達からの情報)! 

映画にチラチラ出てくるオフィスのカッコいいこと!私があんなオフィスで働いたら、毎日テンション高くなってウザいだろうなあ笑。

途中、りんごをかじりながらとか、スタバみたいなコーヒーのテイクアウトをオフィスに持ち込むのが羨ましい!

アメリカかぶれの憧れのオフィススタイルをやっちゃうのがたまらんのよお♪

2人がワンピースのテイストがかぶったりする日があったりして、微笑ましいシーンもあるのもよかった♪

#MeTooのムーブメントが広がったことで、権力を傘に性的要求をする監督やプロデューサーが息を潜めたというのはいいと思う。

でもこういう大きなムーブメントというのは、必ず最初に行動を起こした人たちの意思とかけはなれた主張をする者が少なからず出てきちゃうんだよね。

フェミニストのタカ派みたいなヤツが、今度は「男は敵だ」みたいなことを言い出す。

だからさ、「男とうまくやってく」ということを念頭に置こうよ。いいヤツもいっぱいいるんだから。

この極端な思想のフェミニスト軍団は、「下心」さえも全否定するから嫌いなのよ。気に入った女子を口説く男にも何か言う。アホが!

私は「下心」って大事だと思う。

彼(彼女)に気に入られたいから努力する。それがカワイイじゃないの、それが人生の潤いだし、恋じゃないのか。そんなのもダメだと言い出すから世の中おかしくなってくるんだよ。

そんなこと言ってたら、男子が怖がって声掛けなくなるぞ!

意にそまぬ相手からのアプローチだからって、相手の人生を台無しにしていいのかよ。

やってることはワインスタインと変わらないじゃないか。そこに気づかない女の多いことよ。

そりゃワインスタインみたいなヤツは、その「下心」のボーダーラインを超えてきたから許せないけど、男と女に限らず「下心」は大いなる美や仕事への努力のきっかけになるんだから、極端に全否定するヤツがほんとイヤ。

世界を分断させるムーブメントじゃなかったはずだよ、そういう極端な思想のヤツのせいで、メッセージがウヤムヤになるんだよね。

この映画に出てきた、彼女たちの努力と勇気をぶち壊しにするような浅はかで極端な主張と同調圧力は、ほんとやめてほしい。

男と敵対せず、住みやすい世界を一緒に作ろうよ。

『SHE SAID その名を暴け』キャスト

『SHE SAID /その名を暴け(原題 She Said)』(2022年 米)

ミーガン・トゥーイー・・・・キャリー・マリガン

ジョディ・カンター・・・・・ゾーイ・カザン

レベッカ・コルベット・・・・パトリシア・クラークソン

製作総指揮・・・・・・・・・ブラッド・ピット

【2023】ジャスミンKYOKOの映画私的ランキング

1位・・・・・『SHE SAID  その名を暴け』

2位・・・・・『フラッグ・デイ 父を想う日』