映画『ハート・ロッカー』(ネタバレ感想)戦争に疑問を持つ者もいれば、戦争でしか生きる意味を見出せない者もいる。

ジャスミンKYOKO

こんばんは、ジャスミンKYOKOです。

『ハート・ロッカー』を久しぶりにまた観たのでレビューを書こうと思った。

この映画で初めてジェレミー・レナーを観て、好きになったんだよね。

この後、『ミッション・インポッシブル』シリーズに出たり、『アベンジャーズ』シリーズに出たりとレナーは大活躍していく。

その後に見直したら出てたのに気づいた『S.W.A.T.』。あれも最高だった♪

 『ハート・ロッカー』は大好きなデビッド・モースが出てたり、ガイ・ピアースやレイフ・ファインズが出てたのにもビックリ、キャストもご褒美級。

この映画は、ベトナム戦争を描いた『プラトーン』や『ランボー 怒りの脱出』のような派手さはないが、緊迫感は負けていないかも。

アメリカ政府が、イラクに大量破壊兵器(核)があると9.11の報復と見せかけ、勝手に始めた一方的な戦争「イラク戦争」の渦中、爆弾と対峙する爆弾処理班のチームを描いた映画なのよね。

ブッシュ大統領の呼びかけに愛国心を揺さぶられ多くの若者が入隊し派遣され、日々大量破壊兵器を探すも、あるのは勝手に乗り込んだ米軍を憎んだイラク人が仕掛けた爆弾のみ。

大量破壊兵器なんてないと最初の数年で分かってたはずなのに、撤退まで9年もかかった。一度始めるとやめられないのが戦争。

そんな毎日に、こんな戦争に意味はあるのかと感じる者と、そこに自分の居場所を見出す者の対比が描かれていているのが、この映画の面白いところです♪

映画『ハート・ロッカー』の評価

私の個人的な思考による評価です笑 星は7段階で評価します

私の評価★★★★★★☆ 最高です!
爆弾処理班の地道な毎日なんだけど、緊迫感が半端ないです。
観るのにオススメな人◆戦争映画が好きな人
◆米軍の装備が好きな人
◆ジェレミー・レナーが好きな人
◆男の友情が好きな人
暴力性・残虐性★★★★★☆☆
爆死なので木っ端みじんになるから笑、そこまで
残虐シーンはないけど
1回だけリアルな死体のアップが出ます。
エロ度☆☆☆☆☆☆☆
感動度★★★★★☆☆
イラク戦争をリアルに描いていて、爆弾処理班の
緊張感が手ブレ映像で見事に観客に伝わる。

映画『ハート・ロッカー』ストーリー

2003年から始まったイラク戦争。
テロリストの仕掛ける爆弾を解除したり爆破する爆弾処理班の日々を描く。

前任の班長の代わりに赴任したジェームズ軍曹(ジェレミー・レナー)。

チームのサンボーン軍曹(アンソニー・マッキー)やエルドリッジは、帰国まで39日だったが、この新しい班長の向こう見ずなやり方に振り回され、無事に帰国できるかに不安を覚える・・・。

↓ここから先はネタバレ感想です。

映画『ハート・ロッカー』ネタバレ感想

あんな軍曹のチームに入ったら、死にに行くようなもんよね。

ジェレミー・レナー扮するジェームズは、危険を顧みず任務にあたるのはすごいが、無線をはずしたり爆弾処理班の規定を守らず無鉄砲なやり方をするので、彼を援護する責任のある者からしたらたまったもんじゃない。

戦地に赴いてる人からしたら、帰国まであと1年を切った時からが一番「恐怖」を感じるのかもしれないよね。(この映画のブラボー中隊は帰国まであと39日)

「もうすぐ帰れる」

まだ帰国に遠い日は漠然としていたのに、任務完了近くになると家族や恋人がリアルに思い出されて「死にたくない」気持ちが強くなっているからこそ、ジェームズの向こう見ずなやり方がより怖いし恨むのも分かるよね。

「今日が無事ならあと38日だ」

帰国までカウントダウンしたい気持ちはわかるが、戦争映画はカウントダウンしてる人の方が死んじゃうあるある(泣)だから、ジェームズのチームの2人が生き残るのかハラハラした。

目的もあいまいになりつつあるのに命を張る毎日

アメリカから遠く離れた中東で、厳しい暑さの中、砂とホコリまみれになって、目的もあいまいになりつつあるのに命を張らなければならない日常。

不審な袋があったら、その度に防爆スーツを着て中身を確認しなければならない。

自国に仕掛けられたのならわかるけど、時々自分は何してるんだろう、って思いそう。

毎日毎日爆弾がいたる所に仕掛けられ、テロリストか一般人かもわからない人たちを安全な場所に移動させるの繰り返し。

爆弾を解除する間は、邪魔するヤツがいないか、起爆スイッチを押そうとするヤツがいないか、援護する者は常に周りから片時も目を離せない。

ベランダから好奇心でただ観てるだけの人なのか、どの人も怪しくて映画を観てるこっちも、ハラハラしてしまう。

彼らの目線で撮ってるような手持ちカメラのブレた感じも、より緊迫感を倍増させてる。

しかも基本は向こうが発砲してこなければ撃てない。

こちらから仕掛けたら軍法会議※にかけられることもあるからね。

※違反の疑いがある軍関係者を裁く軍内の機関。

こんなルール、現地に行かないヤツらが決めたんだろうけど、大量殺戮ならわかるがこっちも命が掛かってるんだからさ、怪しい者は撃ちたくなるでしょうが。

ジェームズに翻弄されるチームメイトとジェームズの手腕

援護する係のサンボーン軍曹(アンソニー・マッキー)が爆弾処理班の規律を守らないことを怒った時にジェームズが返す。

「これは戦争だぞ」「お前は正しいのか」

ジェームズにしてみれば規律を遵守しても死ぬときゃ死ぬって感じだろうけど、巻き込まれるこっちの身になってよ!というサンボーンの気持ちも分かるけどね。

彼も前の班長のトンプソン(ガイ・ピアース)を守れなかったことに責任を感じてるだろうから今度こそは守りたいと思ってるところにあの態度だから怒りが湧くんだろう。

ただジェームズは、規律を守らない、よく言えば「型にはまらない」タイプだからこそ、あんなマニュアルなんてないお手製爆弾が解除できるのかもね。

イラク戦争前までは、爆弾は爆薬や化学に精通した人物が作るというイメージだったけど、この中東の人たちは資金がないから、そこにあるもので作る技術が発達したのかもしれないよね。

今はネットでも爆弾の作り方をアップしたりする人がいるから、気軽に素人が作れてしまう。

米軍が仕掛けた地雷や不発弾を拾ってきてワイヤーや電気コードでうまくつなげたりして、携帯電話などで起爆するように作るからすごいよね。

しかもまだ普通の爆弾ならいいけど、以前は爆風地帯にいたら吹き飛ばされても打撲やケガで済んでたのに、最近のお手製爆弾は釘や金属片なんかを入れるから遠くにいる人まで致命傷を負わせることが可能になってしまった。

ボストンマラソンテロで使われた「炊飯器爆弾」とかその最たるものだよね(炊飯器の中に釘をいっぱい仕込んだ)。

私の好きな80~90年代アクション映画では、「リード線の赤を切るか、青を切るか」主人公がギリギリまで悩んで、爆発まであと何秒!!っていうのが多かった笑。

あまりにもそういうのが多すぎて(そういう映画ばかり観てるのもあるが)「どうせ2秒前で解除するんやろ」みたいな「慣れ」が発生してはいた笑。

でも、この映画はそんな決まった感じがなく、失敗して爆発することもあれば、接近して手で解除したり遠くで爆破させるやり方を選んだりするので飽きもないし、予測もつかないから緊迫感がすごい。

爆弾も色んなタイプがあちこちに仕掛けられていたし、急にゲリラと対峙することも勃発したりで、敵に囲まれてる上にマニュアルもない中、解除できるんだろうかとほんと観ていてずっとハラハラのしっぱなしなのだ。

この映画の監督は、『デトロイト』や『ゼロ・ダーク・サーティ』などの監督のキャスリン・ビグロー監督。リアルにこだわる監督みたい。この2つも面白かったもんね。

どのシーンも緊迫感がすごい。スナイパー合戦にゾクゾク

どのシーンもほんと、緊迫して印象深いんだけど、民間軍事会社のレイフ・ファインズと偶然会った後、レイフ・ファインズやサンボーンが、敵とスナイパー合戦になった時はもうたまらんやった・・・!!

アメリカ製のすごいスコープ(望遠レンズ)が付いたライフルと、ゲリラのすごい古い、照準器の突起で狙いを定めるライフルとの遠方スナイパー合戦!

風もあるし、数発で仕留めないと自分の位置も撃ったことでバレてるわけだから、ドキドキが止まらない!

あのシーンはほんと面白かった。

ジェームズに振り回され、彼との違いを思い知る隊員

チームの一員の一人にちょっと頼りないエルドリッジがいて、彼が起爆装置を持った人を撃つ判断が遅かったのもあり、ジェームズが配属前にいた上官のトンプソン(ガイ・ピアース)が爆死。

軍医がエルドリッジに「もっと気をラクにしろ」と慰めても、

「それはフィールド(戦地)に立った経験から言ってる言葉なんですか?それともイエール大のフィールド(校庭)からの言葉なんですか」

フィールドをかけて嫌味を言うのはうまいな、とちょっと感心してしまった笑。現場を知らない人間は、キレイゴトや的外れなことを言いがちだからね。

彼の気持ちの方が観客に近いから、彼が何かを見つけた時はほんと緊張感が半端じゃない。

もともとそこまで自信がない彼なのに、その件でもっと撃つのが怖くなってしまったが、それでも判断を彼にゆだねるジェームズはすごい。

サンボーン役のアンソニー・マッキー↑、監督のお気に入りかな、『デトロイト』にも出てたもんね。

最近は出世して、キャプテンアメリカにもなっちゃったし笑。

「俺もいつか防爆スーツ着れるかな」と飲んだ夜についジェームズに聞いたサンボーン軍曹だけど、タイマーが仕掛けられた爆弾(3分)を巻き付けられた現地の人が現れた時、自分とジェームズの違いを思い知ることになる。

自分はその場から離れたくてたまらないのに、ギリギリまで救おうとするジェームズを観て自分は到底彼みたいにはなれないと気づかされた上に、ボルトカッターを運ぶために爆弾の間近に行ったことでリアルに死の恐怖を感じすぎてしまったため、心がズタズタになってしまい、初めて弱音を吐く。

「なんであんなことが出来るんだ」

普通の人なら、サンボーンみたいに思うだろうね。

でもジェームズは、たぶん、その一線を越えた人。サンボーンはエルドリッジがいたことで、強い気持ちを保てたのもあったのかもしれない。(この時エルドリッジは大けがで帰国した後)

「War is drug」ジェームズの居場所は戦場

ジェームズは色んなことを乗り越えているうちに、ついには戦地が自分の居場所となってしまったんだろう。

そう感じさせるのは、ジェームズが爆弾を解除することに快感を覚えてる異常者とまではいかない、人間味あふれる姿が描かれたから。

仲良かった現地の子供のベッカムが、人間爆弾※にされて死んだことに激しく動揺し、ついにはその子の家(ほんとの家じゃなかった)にまで乗り込んでしまう。

※生きたまま、体の中に爆弾を埋め込み、敵地に向かわせる。相手が油断するため誘拐した女子供を使う。この映画の場合は埋め込んでる途中に死んだと思われる。

無事に基地には戻れた(敵地で単独で基地を離れるのは命取り)が、翌日ベッカムが普通に現れ、昨日のあの子は別人だったのかと分かったけれど、ジェームズはその子を無視。

その子に危険が及ぶのを防ぐためと、あんなに激しく心を揺さぶられるのはもう二度と味わいたくないと思ったんだろうな。

ここでまた1つジェームズは乗り越えてしまったのだ。

この映画の冒頭に「War is drug(戦争とは麻薬である)」というショッキングな言葉が出てくるけど、それがこの映画の言わんとしてることなんだよね。

戦争という極限状態に長い間さらされていると、日常生活に戻ってもトラウマから病気になる者がいたり、平穏な生活では「生きる意味」が感じられなくなりまた戦地に戻る者がいる。

『ランボー』の1作目でもそうだったけど、戦争で心身ともに傷つき、国のために戦ったのは彼らなのに、帰国後何もしていない者からさげすまれたりする。

文句を言うなら、兵士じゃなく政府に言え!!

だから彼らはまた過酷な戦地に戻ってしまう。

戦地にいた方が感謝され、友もいて自分を肯定できるからね。なんとも不条理で悲しい。

ジェームズはまたそれとは違うけれど、スーパーの陳列棚に山ほどの種類のシリアルが並んでいるのを眺める姿によく表れている。(アメリカのスーパーにはビックリするくらいの種類の牛乳とヨーグルトとシリアルが並んでるのは確か笑)

ーこんなことの何が楽しいのかー

ジェームズの表情が物語っているよね。

『ザ・ロック』で、エド・ハリスの副官を演じてから大好きになった、デビッド・モースは別のチームの上官で出てた。

この人がジェームズを褒めるんだけど、肝心の彼は特に嬉しそうじゃないのよね。

だから、「承認欲求」じゃないのよ、彼が戦地に戻る理由は。

やっぱり「極限状態」でしか生きてるってことを感じられなくなっているのかもね。

「ハート・ロッカー」とは、「極限状態に追い詰められること」または「棺桶」を意味する米軍の中で使われるスラングなんだって。

映画『ハート・ロッカー』煩悩だらけの映画トーク

 このマグライトを持った、レナーの目がカッコいい~(右上)♪

アメリカの警察モノ、軍隊モノ映画では必須の持ち方です笑。

日本人はこういう風に懐中電灯を持つクセがついてないので、わたくしKYOKOもこの持ち方をくせ付けたいけど、なかなか日本は停電しないので、定着させるのは難しい笑。

民間軍事会社のレイフ・ファインズも新鮮だったなあ。あの人あんまりたくましい役しないから。結構鍛えた腕してて、アラブのスカーフ?もサマになっててカッコよかった♪

しかし、あっという間に死んじゃうけど(名優をあんなに簡単に・・。いいのか?)。

男同士は殴り合っても友情が続くのが羨ましい(女同士はムリ)。

同僚女子に、「戦争始めるのは男だから、世界中から男を抹殺したらどうなるかな?」と試しに聞いてみたら

「女だけ?女だけなんてちっぽけな狭ーーい世界になるよ笑。大きな戦争はなくなるけど、みみっちい争いだらけになるんじゃない?」

「髪の毛の引っ張り合いとか?笑」「そうそう!!」「うへえっ イヤだ!!笑」

そう言い合って大笑い。男子はアクション映画好きにも世界にも絶対必要です。

男子の目がなくなった女同士のみっともないやり取りしかない世界なんて想像したくもない笑。

戦争映画で好きなシーンの1つに、歯磨きや髭剃りのシーンがある♪ 今回もあった(ジェームズとサンボーンの髭剃り)。

とにかく敵地での戦争は清潔さが命。いらん病気にならん、軍隊の鉄則です。

この映画でレナーの刈り上げは気にならなかったなあ、金髪だからかな。スーパーにいた時の襟足が長い髪もカッコよかったし、任務中の軍スタイルの短く刈り上げたのもヨシ♪(あ、『フューリー』のブラピはイヤだったけど笑)

レナーの熱演に脱帽です。

この映画を撮ってからというもの、他の映画がラクに感じるようになってよかったらしい。

55度の灼熱の中、あの防爆スーツ着るのなんて地獄だからね。

雪上車事故から復帰出来て、ほんと良かった。

また体を張った演技が観れることを祈って。

映画『ハート・ロッカー』キャスト

@『ハート・ロッカー』(2010年 米)(PG12)

ジェームズ軍曹・・・・・・ジェレミー・レナー

サンボーン軍曹・・・・・・アンソニー・マッキー

エルドリッジ・・・・・・・ブライアン・ジェラティ

トンプソン軍曹・・・・・・ガイ・ピアース

民間軍事会社リーダー・・・レイフ・ファインズ

リード大佐・・・・・・・・デビッド・モース

監督・・・・・・・・・・・キャスリン・ビグロー