『チャイルド44 森に消えた子供たち』

こんばんは、ジャスミンKYOKOです。

「イミテーション・ゲーム」を見たあとのような感激には
ならなかったものの、
「誘拐の掟」の後味のように似て、ずーんとくる重々しい空気感。
ミステリーとはちょっと違う気がしたけど、あの時代のソ連の雰囲気は良く出ていたので
うん、満足!

同じ第二次世界大戦時代を描いた最近の3作品、
「フューリー」はアメリカ軍視点、「イミテーションゲーム」はイギリス視点、
「チャイルド44」はソ連視点といったところ♪

イギリス映画も独特の雰囲気で、空は暗く、
陰気な感じがまたいいんだけど、
ソ連を舞台にしたら、ほんと、暗い・・・。

今もその時代の雰囲気を色濃く残すチェコで撮影されたというから、
社会主義の国の感じがよく出てる。

 

ストーリー

時代は1950年代。

ソ連はスターリンの支配下にあり、反民主主義をより強化するため、

「パラダイス(社会主義国)に 犯罪などない」と提唱し、理想国家を築くべく、MGBが暗躍していた。

MGBとは、のちにKGBと呼ばれた機関である。

こういう映画を見たときなんかはよく思う。
高校の時にマンガ「有閑倶楽部」をむさぼるように読んでてよかったなあと。
少女マンガなのに、やたらKGBやらCIAが出てくる。

今回の映画では、西側のスパイだと告発された者にMGBの将校が、「ナトリウム・ペントタールを注射しろ」と、言うんだけど、すぐ「自白剤」と分かったもんね!!
「有閑倶楽部」の清四郎が、ロシアと取引するとき、
「ソディウム・ペントタール(真実の血清)か!」と言うセリフがあるので覚えてたのだ~ふふふ
(ソディウムはナトリウムの医学用語)

誰かが「あの人、怪しい」と告発すれば、MGBがすぐ強制連行。
言い訳も通じないし、無実と主張しても、証拠がなくても自白剤を打たれ、処刑される。

そんな中、主人公のMGBの将校レオ・デミドフ(トム・ハーディ)の友達の子供が不審な遺体で発見される。

あきらかに「殺人」を匂わせる事件であっても『理想国家』では、それを「事件」とみなすことは反逆罪にあたり、調べることもできない。

レオも心を痛めつつ、「殺された!」と騒ぐ、友人家族をなだめ、「事故」として処理をする。

 

スターリンの目指す「理想国家」の歪み

理想国家なら 殺人が起きないようにすることはいいと思うけど殺人をなかったことにするのって おかしーんじゃないのお?

平和な今の日本に暮らしてたら そんな疑問がわいてくるよね。
でもこれは ソ連だけの話じゃなく、日本も戦時中は、そうだった、「疑問」さえも持つことが許されない世界。

この映画は、タイトルや、広告の見出しからは「連続猟奇殺人」に焦点を当てているように見えるが、(また 日本のCMにやられた!)「理想国家」のもとに 言論も思想も自由ではなく、
周囲の人、家族さえも疑わねばならない、
その時代のソ連の恐ろしさ、一部の上層部だけの理想に振り回されて生きる人々を描いたものだと思った。

ナチスドイツの将校たちが陥った、「命令」されつづけたら、「善悪」の区別ももう麻痺し、大量殺りくへ。
ある特定の人ではなく、その権利を与えられた人ならなりえるかもしれない恐怖。

小心者から残虐な将校に成り上がった男を「ラン・オールナイト」で、リーアム・ニーソンの素敵な息子だった、
ジョエル・キナマンがいやーな感じを出してる~

この役を見て 思い出したのは、「グラディエーター」のいやーな将軍。
自分への劣等感が、人望厚きマキシマス(ラッセル・クロウ)への憎悪に変わる・・・・・・。あんな感じ♪

実は、けっこう豪華キャスト!

いやーな上層部にヴァン・サン・カッセルだし、西側のスパイだと疑われてMGBに追われる獣医は、今度のターミネーターでジョン・コナーを演じる、ジェイソン・クラーク。(なんで 人気なのかいまいちわからんが)

レオの熱心さにおされて 禁じられた捜査の手助けをする民警の将軍が、ゲイリー・オールドマン♪↓(下左)

渋いオッサンたちが、そうそう出番はないのに好演してます♪
ソ連の冷たい感じの軍服がみんな似合ってます!!

レオの妻のライーサ役のノオミ・ラパスがあんまり好きな女優ではないので感情移入、あまりできず。↓

北欧本家の「ドラゴンタトゥーの女」(北欧ではミレニアム)を見れば 少しはノオミ・ラパスを好きになるのかなあ??(主人公リスベット役)

ジャスミンKYOKOの煩悩だらけの映画トーク

違和感で言えば、トム・ハーディのクマ化(笑)⇩

昔はこんなやせてた↓

「ダークナイト ライジング」でベインをやってからもう体が戻らないんじゃないのか??

↑「ダークナイト ライジング」のベインをやったトム・ハーディ。マスクで顔わからんから、無名の役者でもよかったんじゃないか・・・?(がんばったのに、ひどい)

戻れないなら「役作り?」なんてしないでくれよ!(笑)
しかもあの時代の軍隊ヘアーなので刈り上げ。
首の後ろの肉が気になって気になって・・・・・・・。(話に集中しろ!)

やせてたら もうちょっと感情移入できたのかも(目からの情報を無視できない人)。

しかし、クマ化しても、最近のこの活躍ぶり。
いいのかな。もうちょっと鍛えてる風に見えるように写してほしい、願わくば。

この映画は けっして他人事ではない、
情報を管理されつつある今の日本もいつでも こうなりえるというのを感じさせる映画っす!

 

映画『チャイルド44 森に消えた子供たち』のキャスト

@「チャイルド44 森に消えた子供たち」(2014年 米)

レオ・デミドフ・・・・・・・トム・ハーディ

ライーサ・・・・・・・・・・ノオミ・ラパス

ワシーリー・・・・・・・・・ジョエル・キナマン

ブロツキー・・・・・・・・・ジェイソン・クラーク

クズミン少佐・・・・・・・・ヴァン・サン・カッセル

ネステロフ将軍・・・・・・・ゲイリー・オールドマン