『フェラーリ』(ネタバレ感想)成功者エンツォ・フェラーリの人間臭さを楽しむ映画。

ジャスミンKYOKO

こんばんは、ジャスミンKYOKOです。

車は20代から大好き。カーレースも良く観に行ってた。

当時のフェラーリのドライバーは、セナ亡き後世界を席巻していた、ミハエル・シューマッハ。

↑ファイナルレース終了後、コースを歩いた時の。フェラーリの旗もある。

F1をイタリアのモンツァに観に行った時、あのフェラーリの甲高い音が聞けた感動ったら!

電気自動車が台頭してきた今、ガソリン車の素敵なエンジン音が聞けなくなるかと思うと、悲しくなります。

フェラーリのカッコいい音もなくなるのか・・・イヤだな!

あくまでもデザインと速さにこだわり続け、ついにはイタリアの名車と言われるようになったフェラーリを生んだ男エンツォ・フェラーリの人生を描いた映画『フェラーリ』のネタバレ感想です。

監督がマイケル・マンというのもあり、「男」のいい映画が観れると思った私にとってはちょっと肩すかし。レース部分が少ないのも残念。

創業して成り上がるまでの話かと思いきや、成功したエンツォのお家騒動(愛人・妻との確執、フェラーリを沈没させかねない大事故)などのお話でした。

でもこれはこれでエンツォの人生を垣間見れたので楽しめたけどね。

『フェラーリ』の評価

私の個人的な思考による評価です笑 星は7段階で評価します

私の評価★★★★☆☆☆
エンツォ・フェラーリの成り上がり映画と思っていた
ので晩節の話と家庭問題の話でガッカリ。
レースも少ない。でもエンツォ・フェラーリの人生を
観れたのは勉強になった。
観るのにオススメな人★男の伝記映画が好きな人
★車好き、フェラーリが好きな人
★アダム・ドライバー、ペネロペ・クルスが好きな人
★モータースポーツが好きな人
暴力性・残虐性★★★★☆☆☆
全部を通して残虐なシーンはほとんどないが、ミッレ
ミリアのレースの大事故の遺体の様子を忠実に再現
したシーンが出る。
エロ度★★★★☆☆☆
アダム・ドライバーとペネロペ・クルスの激しいエッチ
あり。ペネロペ出るならこれがないと!
感動度★★★☆☆☆☆
フェラーリのフォルムの美しさに感動。モデナの街もいい。

『フェラーリ』ストーリー

1957年。イタリアのモデナで、エンツォ・フェラーリ(アダム・ドライバー)は、高級車フェラーリの製造と販売を手掛け、成功した者の1人となっていた。

順調に思えたが、一人息子を前年に亡くし、妻ラウラ(ペネロペ・クルス)とも不仲になっていた折、隠し通してきた愛人のリナ・ラルディ(シェイリーン・ウッドリー)と息子のピエロの存在を妻に知られることとなる。

モータースポーツに予算をかけすぎた結果、会社は傾き、フォードから買収の声がかかるが・・・。

マイケル・マン監督が、エンツォ・フェラーリの晩節を描く。

『フェラーリ』ネタバレ感想

映画『GUCCI(グッチ)』みたいなお家騒動を描いてた。(主演もアダム・ドライバーでかぶってる)

マイケル・マン監督の映画だったから、「男の成り上がり映画」とばかり思ってたので、そこはかなり残念だったけれど、エンツォの人生はまったく知らなかったから、これはこれで楽しめた。

監督も年を重ねると、若い頃の成功体験より、その成功体験によるおごりが招いた人生の痛みの方が魅力的になるんだろうか。(『GUCCI』のリドリー・スコット監督も御年86歳だったし)

確かに私も付き合い始めから結婚までを語るより、その幸せだった2人が離婚するまでの過程の方が語れる笑(ちょっと違う?笑)。

エンツォ・フェラーリの隠し続けた二重生活 

↑ラウラ(左)、リナ・ラルディ(右)。

この映画のエンツォ・フェラーリ(アダム・ドライバー)は59歳で、愛人宅から朝帰りが定番。

しょっぱなにベッドの隣で寝てるのは妻のラウラ(ペネロペ・クルス)と思いきや(後ろ姿しか写さない)、その後本家に帰って妻に怒鳴られるところからスタート。

あ、さっきの愛人だったのか・・・。

この観客に誤解させる写し方、うまい。

「朝までにはベッドに戻るって約束よ」(浮気してもラウラが目覚めるまではベッドに戻っていろってこと)

なかなかこれを言える女もいないだろうし、還暦近くになっても朝帰りを続けるエンツォもかなりのお元気(変なとこに感心するな)。

エンジンかけるとリナたちを起こすから、朝帰りするエンツォが、マニュアル車ならではのエンジンかけずにニュートラルで坂道を降りてくところは、オートマ全盛期の今はなかなか見られないから嬉しかった♪

冒頭そんなやりとりから始まるので、エンツォの浮気は頻繁なのだろうなと予測できる。

でもこれが、長年連れ添った妻のプライドをズタズタにする出来事だったのだ。

ラウラ(ペネロペ・クルス)はフェラーリの共同経営者であり、エンツォの本妻ということで夫の度重なる浮気でも自分を保ってきたはずだった。

が、エンツォはあちこち浮気をしていたわけではなく、こともあろうに本気で愛した女に家を与え通い、12歳の子までいた。

妻の立場からしたら、これは「侮辱」以外の何ものでもないよね。

火遊びならまだしも(男は心と体を切り離せる生き物だからね)、かなり長い年月を自分と他の女が共有してたなんて。

エンツォは隠していたが、ここはイタリア。

愛の街には噂もすぐ飛び交うよね。エンツォは友人にしか話してない認識だけど、そんなネタは男は他には漏らさないが、妻には話すかもしれない。

妻の口を見張ってるわけじゃないし、「ここだけの話、だんなから聞いたんだけどさ」と女特有のやり方で広まるのは目に見えている。

エンツォ、ほんとに秘密にしておきたいのなら友達にも話すな。

フェラーリを立ち上げた女の復讐は違う

これを知ったラウラがどんな攻撃をするか楽しみだったけど(悪趣味)、ラウラはフェラーリを立ち上げたやり手の女、私が散々遭ってきたみみっちい女とは違ってた。

静かに涙を流すも、愛人のリナ・ラルディには何もしないのだ。

女は、浮気をした張本人の男じゃなく相手の女の方に嫌がらせをやりがちなのは、自分が裏切られたその事実を認めたくないのか、それとも責めてその女の方に去っていくのが怖いからなのか。

だから男は君をナメてるんだよ、「浮気をしてもこいつは俺には何もしなさそう」ってね。自分には害が及ばないとわかってるからまた浮気をするの悪循環。

ラウラの復讐の仕方が最高。個人情報をうっかり漏らした銀行員に詰めより、「その女にお金を送るのが始まったのはいつからで、毎月どのくらいの金額を送ってるの?」と聞きだす。

傾きかけたフェラーリに、アメリカのフォードからの買収の話が来ていたが、ラウラは取引が有利になるように自分の株式をすべてエンツォの名義に変えてもいいが、その額面分の小切手を引き換えに渡せという。

こういう頭のキレるところが、車のデザインやレースにこだわり過ぎて経営がおろそかになりがちなエンツォが頼りにしてきた部分だと思う。

浮気もバレたし小切手を渡すしかなかったが、「取引が終わって軌道に乗るまでは現金化するな(そうしないと倒産するから)」と念を押してた小切手を、エンツォの肝の入ったレースでドライバーが大事故を起こした瞬間、ラウラは現金化笑。(ドライバーだけじゃなく民間人も巻き込んで多数の死者が出た大事故)

わー鬼!笑と笑ったが(事故のマイナスイメージで取引はきっとパーになるからね)、そこがまた予想と違って、差し押さえになるのと新聞が出るのを予測して先回りして現金化したのだ。

その金でマスコミを買収してマイナスイメージの記事を書くのをやめさせろと言う。

エンツォとフェラーリ社をもっと上の方から愛してる、想像もつかない大きな愛だよね。

浮気がバレたのに、こんなことしてくれたら何か条件あると思うよね。

「貸す。条件はなし。取引が成功したら返して」

えーー条件ないの?と思ったら、一言「私が目が黒いうちは(子の)認知はするな」

それって「一番すごい条件」じゃん!笑。かっこええーーー!!とどめだ!笑

でもそれだけ「フェラーリ」という会社を愛してたんだよね、夫と仲睦まじかったころの思い出の結晶でもあるわけだから。夫の浮気相手の子がフェラーリを継ぐのなんか見たくないよね。

リナ・ラルディ(愛人)の方もそんな長い間日陰の身だったら、何か反撃行動起こしそうなもんなのに、ジッとしてたのが功を奏したかもしれないね。ラウラが相手なら太刀打ちできないよ笑。(結構なお金もらってたらむしろそっちがラクかも笑)

エンツォは、妻の言いつけを守り笑、妻が亡くなるまで認知しなかったみたい。愛人の子のピエロは、最初出自は秘密にして入社し、今はフェラーリの副会長らしい。

男の映画が観れると思ったら、ラウラの方がかっこよく描かれてて、エンツォは情けなかったのでガッカリ笑。

でもアダム・ドライバーだったからまだ正気でいれた笑。これがブラピがやりこめられる役だったら耐えられない。

大衆車には見向きもせず、デザイン性と速さにこだわり続けたフェラーリ

レースシーンが少なかったのがとっても残念。

その頃、アメリカのフォードは庶民にも手軽に買える大衆車を量産して大成功をしたが、フェラーリはあくまでも大量生産をせず、デザインにこだわり続けて、一時はフォードの傘下に入る危機も訪れたけれど、エンツォの考えは正しかった気がする。

後に庶民に車が行き渡ったフォードは行き詰まり、高級路線を売り出すも全然売れないっていうのが、映画『フォードvsフェラーリ』で描かれたのだ。

フォードも好きだけど、やっぱりフェラーリはデザイン性と希少性で別格だもんね。

TOYOTAは壊れず機能性バツグンだけど「日常」であって、フェラーリの曲線美とデザインから来る「非日常感」はない。

日本って機能性に走るあまり、デザインをおざなりにしてきたよね。だから家電もかわいくないもん、壊れないからありがたいけど、持ってるだけで気分が上がるって感じじゃない。

今になって「BALMUDA(バルミューダ)」みたいなオーブントースターに人気が出るのは、仕方がないと思う。(バルミューダは機能は最低限、デザイン重視)

レースに勝てない時期が続き投資を回収しきれず経営危機に陥ったフェラーリが、再起をかけてフォードとの取引に好条件でのぞむため、参加したミッレミリアの公道レース。

生産ラインの見直しとか、そんなことよりもとにかくレースに勝ってブランドイメージ’をあげたい、エンツォ。トヨタ式(トヨタ流改善のノウハウ)を習いなさいよと言いたくなるけどね笑。

元レースドライバーだからか、大衆車には見向きもせず、レースカーと高級車だけに心血を注ぎたいのはわかるけどさ(映画では描かれないが、レースからは採算が合わなければ撤退する可能性を掲げたフォードの条件が気に食わず買収の交渉決裂)。

初めて知ったミッレミリアのレースとポルターゴの運命

ミッレミリア(イタリア語で1000マイルって意味)のレースって初めて知ったけど、一般道を警備もしないまま走らせてたんだね(怖)。

今でも悪路のラリーレースを観に来た観客が死ぬことはたまにあるけど、公道レースなのに沿道を警護もせず整備もしないで240kmでぶっ飛ばしてたら、そりゃ何か踏んで事故るし観客を巻き込むよね。

沈没しかけたフェラーリの期待を背負っていた、ポルターゴ(スペイン人ドライバー)は大事故を起こし、子供5人を含む9人の死者を出し、自身もその事故で即死。

油断してたら、急におなかから真っ二つになった死体(目も飛び出てた)が出てきて超ビックリ。

こんな映画で死体にリアルは求めてないよ!!と映画を観たときは思ったけど、あれはドライバーのポルターゴの死に方をリアルに再現してたんだね。(ほんとに体が真っ二つになって死んだらしい)

この大事故で、30年続いたミッレミリアのレースは途絶えた。

ポルターゴも彼の運命も知らなかったけれど、恋人の女優とキスしまくってレースに挑んだりして浮足だってたから、この人死ぬんじゃないかなと予測してたら・・・ほんとだった。(上の画像はその時の実際の写真)

元レーサーのエンツォは、恋人に前のめりになった若いレーサーの気持ちが手に取るように分かるから、「(いいとこ見せようとして力むから)レースに女は連れてくるな」と忠告していたが、彼はそれを守らなかった。

フェラーリはこのレースで優勝はしたものの(別のドライバー)、ポルターゴの起こした大事故で責任を問われ起訴され窮地に陥る。

そこで奥さんの小切手現金化事件が起きる笑。

ラストはスカッとすることなく、タイヤのパンクが原因で事故になったことだけわかって終了(最終的にフェラーリは不起訴になった)。

「晩節を汚す」って言葉があるけれど、こんな偉業を成し遂げる人は「挑戦」も多いから「失敗」も多いんだよね。きつくて逃げたい場面も多いから浮気に走ったり笑。

でもどこか人間味があって、生き様が面白いよね。

今の「品行方正」を求めすぎ、失敗を叩きすぎる世の中に嫌気がさしてるなら、このフェラーリとラウラのやり取りだけ観ても、「うん、人間は完璧じゃないから面白い」って再確認できるはず。

『フェラーリ』ジャスミンKYOKOの煩悩だらけの映画トーク

エンツォは一人息子のディーノ(アルフレード・フェラーリ。24歳で筋ジストロフィーで他界)を失ってからラウラと不仲になって浮気をしたのかと思ったら、ディーノが亡くなったのはこの映画で描かれた前年の話。そんならただの浮気やないか!(愛人の子は12歳だからね)

・・・と歴史を調べてエンツォへの同情がなくなったけど笑。

男はいつまでも子供のようなものだから、ラウラが病気の子供にかかりっきりでほったらかされた(エッチもなし)、って時の浮気なのかもしれないね。

男は母親ほど具体的に関わらないからね、特にこの時代は。

息子を思ってはいるけど、現実から目を背けたいとき、この頃の男は「酒、女、ばくち」に走る笑。

ここはイタリア。フェラーリの創業者で成功してたエンツォなら、女も寄ってきてただろうからね。

昔、結婚相手に悩んでた男子から相談受けたことがあったけど、「自分の今の彼女が趣味もなくて向上心もないんですよ(こんなこと陰で言ってたのが分かれば私なら許さん笑)。もし今後、起業することがあるかもしれないし、秘書みたいな仕事がデキる女性を選んだ方がいいんでしょうか」

その相談を受ける前に、父親が強い家庭に育ったんだろうなあと彼の行動や仕草、言動から感じていたので、「結婚するなら今の彼女の方がいいと思う。でもきっと途中退屈になって(きつい時も具体的なアイデアなど出してくれないし)、君は秘書タイプと浮気すると思う。君は秘書タイプとは結婚じゃなく浮気がいいと思う」と言った笑。

男は勝手だからね、軌道に乗ってきたら「身内」に意見されることを嫌う。特に父親が強い家庭に育ったなら、「女に控えめ」を求めるはずだからね。うまくいかないのが目に見えている。

いつでもクビを切れる「部下」なら生意気なことを言い出したらすぐ別れればいいし。同じ立ち位置にいる「妻」で「同業者」は、このタイプの男子には無理。

彼は「浮気まで予測するんですか」と笑ってたけど、私のアドバイスは彼の行動を見た上での判断なので真剣そのもの笑、わかってないね笑。

頭のキレる女というのは、上に立ちたい男と同じ家庭に入るのは難しい。

成功すると周りがチヤホヤしてくるから、妻の功績も多大にあったはずなのに、自分の功績100%に置き換えてしまうヤツがいる。

成功したエンツォも、仕事のことが何もわからないリナ・ラルディに「癒し」を求めた。

でも経営が下手だからラウラのことも切れなかった笑。(カトリックというのもあったのかも。まだ離婚を認められてない時代だったかもね)

劇中気になったのは、フェラーリのドライバーがレース前夜、妻に最後の手紙をそれぞれホテルの部屋で書いてて、そのうちの1人が妻を起こさずそっと部屋を出るシーンがあった。

手紙を書くくらいに命がかかったレースなんだから、妻も起きて見送ってあげればいいし夫も起こしたらいいのに笑と思った。

私も朝が弱いけど、命がかかったレースの日くらいは起きて見送るよ笑。

それにしても、アダム・ドライバーはテーブルの上でのセッ〇スがお好き?笑(映画GUCCIでもガガとテーブルの上だった笑)。

性欲が一気に高まってテーブルの上の物をバンバン落としながらやりなはるが(皿ももちろん割れる)、この家、姑もいまっせ?笑。

このやり方日本映画ではまず見かけません笑。後片づけを考えると日本人の性格からすると無理なのかもね笑。

『フェラーリ』キャスト

@『フェラーリ』(2024年 米)

エンツォ・フェラーリ・・・・アダム・ドライバー

ラウラ・フェラーリ・・・・・ペネロペ・クルス

リナ・ラルディ・・・・・・・シェイリーン・ウッドリー

アルフォンソ・デ・ポルターゴ・・ガブリエル・レオーネ

【2024年】ジャスミンKYOKOの映画私的ランキング

1位・・・・・『サウンド・オブ・フリーダム』

2位・・・・・『クワイエット・プレイス DAY1』

3位・・・・・『フェラーリ』

4位・・・・・『ザ・ウォッチャーズ』

5位・・・・・『ブリックレイヤー』

6位・・・・・『エクスペンダブルズ ニューブラッド』


🎬ランキング外

◆・・・・・・『オペラ座の怪人 4Kデジタルリマスター』

◆・・・・・・『トップガン マーヴェリック』(リバイバル上映)