『アキラとあきら』(ネタバレレビュー)今回もよかった、横浜流星。身近だからこそ生まれる嫉妬と憎悪。

こんばんは、ジャスミンKYOKOです。

横浜流星くんの演技が素晴らしいのを『流浪の月』で目の当たりにしてからというもの、彼の出る恋愛もの以外は、気になるようになっている今。

しかも今回は、大好きな池井戸潤さんのビジネス映画。

タイトルがややダサかったので行くか迷ったが笑、Netflixでドラマ版を観た友達が「話は面白いよ!」と教えてくれたので、行ってみた(ドラマ版は斎藤工と向井理)。

ドラマ版は全9話だったため、それを2時間にまとめられるかが心配だったけど、面白かった♪

さすがだ、流星くん。(→ファンではないが演技が素晴らしいのでもう、とりこ)

⇧山崎瑛(左やまざきあきら。竹内涼真)、階堂彬(右かいどうあきら。横浜流星)

貧乏人から叩き上げで銀行のエリートになったアキラ(竹内涼真)の方で泣くかと思ったが、流星演じるお金持ちのアキラの方の話で泣いた笑。

同族経営の難しさ、経営者を続けていくことの苦難などが描かれ、一族のヒガミや妬み満載で面白かった!

ストーリー

池井戸潤原作の小説「アキラとあきら」を映画化。

父(杉本哲太)の経営していた町工場が破綻し、銀行から差し押さえられ、苦しい少年時代を送った山崎瑛(竹内涼真)は、人の心に寄り添えるバンカー(銀行員)になろうと産業中央銀行に入社。

一方、東海郵船を経営する父と、グループ企業の兄弟たちがことごとく争っているのを見て嫌気がさし、一族と距離を置くため跡継ぎを放棄し、産業中央銀行に入社した階堂彬(横浜流星)。

2人はその年の同期でトップの成績で研修を終える。

人に寄り添うバンカーを目指す瑛に、融資を担当した会社が不渡りを出す危機が迫り、彼の出した答えは・・。

争いに巻き込まれないようにしていたはずだった彬は、階堂家の争いに否応なく巻き込まれてしまう。

やがて多額の負債を抱え倒産の危機が見えてきた階堂グループの問題は、2人の勤める産業中央銀行にのしかかりはじめ、アキラとあきらは、互いのバンカーとしての知識と銀行や家族、会社への思いを総動員させて解決へ挑む。

⇩ここから先はネタバレレビューです。これから観る人は読まないでドキドキハラハラを楽しんでくださいね。

アキラとあきらは似てないようで似ている

⇧山崎瑛(左 竹内涼真)と階堂彬(右 横浜流星)。

人に寄り添えるバンカーを目指していた瑛(竹内涼真)は、長い取引先だった町工場の社長から「不渡りを出してしまいそうだ」と相談を受ける。(不渡り・・手形や小切手などの決済が滞ること)

不渡りを出せば、すぐ倒産というわけではないが、融資を請け負っている銀行などは安全面から経営者の資産を差し押さえ始める。(冒頭で瑛の父親がやられたのもこれ)

重病の娘さんのアメリカでの手術金を貯めていることを知っていた瑛は、すぐ預金を下ろすように伝えてしまう。(銀行では預金、郵便局のは貯金という)

バンカーとしてはやってはいけないことをした瑛は、地方に飛ばされることになる。

それを知った階堂彬が、地方に向かう瑛に出くわしたシーンが上の画像。

「言っただろ」

「人を信用して金を貸してたらいつか痛い目に遭う」と新人の時に瑛に言ったことを言ったのだった。

しかし、瑛は「1家族救っただけでも意味がある」と言い、立ち去る。

池井戸ドラマは、いい人の主人公が悪いやつからはめられ、地方に飛ばされるシーンが多々あり「エリート街道落ちたな」みたいなのがよくあるけど、その飛ばされる側の田舎に住んでる人間はちょっと複雑です笑。

映画で「ここは流刑地だよ」と地方の銀行員が言いますが、私の住んでる田舎も「銀行員にとっては流刑地なの!?」といちいち反応しちゃう笑。

ドラマを観たばかりで、銀行行くと、「この人達、飛ばされた人ばっかりなのかな」と頭に浮かんだり。(んなわけないでしょ笑)

瑛のやることを馬鹿らしいと口では言いながらも、階堂彬ももともとは同じタイプだと思う。

一族の見苦しいやり取りをイヤというほど見てきたから、「人を信じる」ことから始められる瑛をどこかで羨ましく思っている。

「疑うこと」から始める自分と比べて、まっさらな瑛を「育ちがいい」と言ってしまうのは羨ましさからくる言葉なんだろうな。(お坊ちゃんの方が貧乏人に言う言葉じゃないからね)

本当は人を信じたい・・・・・。

その苦悩が彬の表情から、物語を通して伝わってきます。

物語の最初は正反対のキャラとして描かれるが、本質は2人とも、情熱も優しさも変わらない似た者同士なんだよね。

熱いの大好きな私はもう、楽しかった♪ 

今は仕事に燃えるのがダサいとかいう風潮だけど、やっぱり私は仕事に燃える熱い男が大好き♪ 

個人主義を称えるのはいいけど、一生懸命仕事に打ち込む人をバカにする権利はないんだよ!

結婚する時には、経済力を求めるくせに、「仕事と家族どっちが大事?」と言う女も嫌いです笑。

池井戸ドラマに、町工場は必須!

冒頭、瑛の幼少の頃が描かれる。彼がバンカーを目指したきっかけとなる、父親(杉本哲太)の町工場。

父親役の杉本哲太が、ツナギがまた似合う~。

池井戸さんのドラマは、銀行員が町工場を差し押さえて意地悪な顔して去っていくシーンがよくあるけど、その時必ず雨降ってるよね笑。(やっぱりカンカン照りの時は悲しさは撮りにくいのか笑 半沢の父の鶴瓶もびしょ濡れだった笑)

ツカジがいい味だしてた♪

「このベアリング※はお父さんにしか作れないんだよ」

※機械の中の要所要所にあり、軸を滑らかに動かすようにする部品。飛行機や発電所、電車、ロケットなど色んな動力に使われ、なくてはならない部品。

すべてを奪われた父の工場からたった1つ残ったベアリングをお守りにする瑛。

今は町工場の人たちも、自社ブランドを立ち上げたり、海外に商品展開して、下請けを脱却してるところも出てきたけど、下請けオンリーだけの工場もまだまだたくさんあるだろうね。

下請けのみだと取引先が倒産したり、急に取引を断られたりしたら、もろに影響受けちゃう。

日本の技術力は最高だから、どうにかして息が長く続けていけるよう、仕組みを考えてほしいよね。

こういう池井戸ドラマに出てくる熱いバンカーばかりだったらいいけど、銀行も最近は厳しいから、情にほだされたら自分の首も危なくなっちゃうから難しい。

そうは言っても、こんな人が会社にいてほしいという、一般人が望むものを見せてくれるから、池井戸ドラマはやめられない。

同族経営は難しい ユースケ・サンタマリアがいい味出してる

⇧「東海郵船」を経営する、創業者の長男で階堂彬の父、階堂一磨(かいどうかずま。石丸幹二)

創業者が成功したら、その一族で利を分かち合いたいというのは自然の摂理。

しかし、2代目になると流れが難しくなってくるのが会社というもの。

特にたくさん兄弟がいたら、会社を立ち上げたわけじゃなく継いだだけだから、誰か1人に優位性もないし、経営理念も崩れてきて、争いの元になりがち。

⇧三男の崇(たかし。児島一哉)と次男の晋(すすむ。ユースケ・サンタマリア)

なかなかホンダの社長みたいに、自分の息子をはずして有能な部下を社長にするのって、出来ないよね。

家族だからこそ、「遠慮」というものがないので、ズバズバ言いすぎるというのも険悪になる原因。

「東海商会」を経営する次男の晋(すすむ。ユースケ・サンタマリア)と、「東海観光」を経営する三男の崇(たかし。児嶋一哉)が、経営がうまくいってる東海郵船の兄のところに行って、ライバル心をむきだしにし「下田」にリゾートホテルを建てて、見返してやるという宣言をする。

しかし、リゾートホテル経営を甘く見ていた2人は、2年経ってもホテルが軌道に乗らず、90億の負債を抱えてしまう。

弟2人のうち、次男のユースケ・サンタマリアの表情と声が超意地悪そうでいい♪こうでなくっちゃ♪

兄や姉が芸能人として成功すると、弟や妹が次々にデビューするのは、自分の一番身近な人間ができるんなら、私もやれそうと思う心理からだと聞いたことがある。

遠くのお金持ちにはひがみは生まれないけど、近くにいる者が成功するとひがみたくなるのが人間。ましてや家族ならその感情をむきだしにしてしまう。

そうこうしているうちに、長男一磨が、脳梗塞で倒れ亡くなってしまう。

一磨の遺言状には、驚くべきことに筆頭株主に長男の彬を指名すると書かれていた。

一族の争いがイヤで跡継ぎを放棄した彬に、どうにかして会社をずっと見守ってほしいがための、父親の苦肉の策なんだろうね。

しかし、それは彬の弟の龍馬(高椅海人)にとっては、面白くないことだった。

(龍馬が社長になっても、筆頭株主は、会社に意見が言えるため)

迷惑かける弟にイラッ 兄貴に後始末をさせるな!

東海郵船の跡継ぎを放棄した兄に代わり、弟の龍馬は東海郵船の社長となるも、甘い言葉と、兄を見返してやりたい気持ちもあいまって叔父たちに騙され、叔父たちの負債に巻き込まれてしまう。

リゾートホテルの共同経営者になってしまったから、負債の連帯保証人となってしまったのだ。

下田のリゾートホテルが経営破たんしそうなニュースを知り、騙されたと知った龍馬は必死に兄に隠れて会社を守るために奮闘したが、プレッシャーで倒れてしまう。

ほうらね、あんた、もう、やめてよ!

映画を見ながらイライラ爆発!

結局兄貴に後始末させるんじゃないよー!バカタレが!!(長女の私情も入っててすみません笑)。

お兄ちゃんてのは、父親の苦労と理想を一番間近で見てきてるから、中華料理をごちそうされて、甘い話が来ても、すぐ「うん」とは言わないんだよ!

長子の長男が「うん」と言う時は泥舟に一緒に乗る覚悟をした時だよ!

兄ちゃんに負けたくないと思いつつ、「最後は兄ちゃんが助けてくれる」という甘えもあったんじゃないのかー!!きさまー!!

彼はKing&Princeらしいけど、この甘ったるい考えの弟がうまかった♪

長女の私情も入って、横浜流星にがぜん応援スイッチ入ったわよ!(流星くんも本当に長子の長男です)

彬は弟と父の残した会社、そこで働く社員を救うことに専念するため、常にトップの成績だった銀行を辞職します。泣けてきた・・・・。

勧善懲悪が、明日への活力につながる

ハリウッド映画を批判する人に、「勧善懲悪※ばかりで、大人の映画じゃない」みたいなことを言う人がいます。(※正義が悪を倒すという話)

私に言わせれば「勧善懲悪」で何が悪い!

政治家も会社の上司も直接やっつけられないから、主人公たちに代わりにやっつけてもらうのが楽しいんじゃないの。

池井戸ドラマには、ほんと悪どいやつがいっぱい出てきますが、私も似たようなやつにいっぱい出会いました笑。

女の姑息な日常の争いと違って、男の会社での嫉妬をめぐる争いも色々見てきたけど、人生や生きがいがかかっているからより怖い。

今回は香川照之みたいな、半沢から私怨を抱かれるようなひどい人は出てこないので、そこは少し爽やか。

江口洋介演じる融資課長も、映画を見てると「頭が固い分からず屋」みたいに見えるけど、こんな冷静な人がいないと銀行なんてあっという間に潰れちゃうよね。

熱いのはいいけど、感情に流されるのもいかん。お金の貸し借りは難しい。

地方でコツコツ積み上げて、東京の本店に返り咲いた瑛も一緒に力を合わせて、バンカーとして彬の会社の窮地を救おうと尽力します。

もともと繊維会社だった東海商会の人脈と販売網をウリに、下田のリゾートホテルをセットにして、繊維業界に乗り出したばかりの大日ビールに売ることを思いつく。

一方、黒字の東海郵船と叔父たちの会社をグループとしてひとまとめにした上で融資を引き出し、その後東海商会の大日ビールへの売却金を産業中央銀行への返済に充てるという約束を取り付け、見事に彬の会社を救った2人。(大日ビールの人が声優の山寺さんだったので笑った)

専務の素晴らしいプロジェクトチームへの推薦を断って、彬の会社を救う係に名乗り出た瑛に、彬は驚くとともに感謝しながら、彼の仕事への姿勢に人を信じる心を取り戻していく。

池井戸ドラマの、銀行の融資の計算は毎回、頭がアホになりそうになりながら観てます笑(もっぱら文系な人笑)

ジャスミンKYOKOの煩悩だらけの映画トーク

映画『アキラとあきら』はプレゼン能力も良かった。

あちこちのアキラに声をかけ、コラボしたポスターを作ったりね。

⇧上の画像は、「紙兎ロペ」の中の私の好きなキャラ、「アキラ先輩」とのコラボ♪

こういう毒のあるキャラが大好きです(反対にロペにはまったく興味がわかない笑)。

福岡の人気タレント、うどんを食べ歩く岡澤あきらくんと、ラーメンを食べ歩く岡澤アッキーラを一緒にしたポスターも映画館に貼りだされていて笑ってしまった。

⇧アキラ100%も東海商会の秘書役で出てたから、シャレが効いてて笑った。

後は、各界のアキラという名前の社長さんに映画を観た感想をもらっていたのも、面白い試みだなあと感心した♪

それにしても、やっぱり池井戸潤は素晴らしい。

もといた銀行にこんなに悪い人がいたのか、と思っちゃうけど笑。(元三菱銀行)

まあ、●●さんをモデルにしたとは言えないよね笑、フィクションとしか笑。

池井戸ドラマが日曜日の夜にあるのはありがたかった。

あのドラマでブルーマンデーを乗り切れるからね♪

地上波で流れたらぜひ、観てね。

映画『あきらとアキラ』のキャスト

@『アキラとあきら』(2022年 日本)

階堂彬(かいどう あきら)・・・・横浜流星

山崎瑛(ヤマザキ アキラ)・・・・竹内涼真

階堂龍馬(あきらの弟)・・・・・高椅海人(King & Prince)

階堂一磨(あきらの父)・・・・・石丸幹二

階堂晋(あきらの叔父)・・・・・ユースケ・サンタマリア

階堂崇(あきらの叔父)・・・・・児島一哉

山崎孝造(アキラの父)・・・・・杉本哲太

不動公二(支店長)・・・・・・・江口洋介

水島カンナ(銀行の同僚)・・・・上白石萌歌

【2022】ジャスミンKYOKOの映画私的ランキング

1位・・・・・『トップガン マーヴェリック』

2位・・・・・『マークスマン』

3位・・・・・『潜水艦クルスクの生存者たち』

4位・・・・・『ハウス・オブ・グッチ』

5位・・・・・『流浪の月』

6位・・・・・『エルヴィス』

7位・・・・・『キングダム2 遥かなる大地へ』

8位・・・・・『アキラとあきら』

9位・・・・・『グレイマン』

10位・・・・・『バーニング・ダウン 爆発都市』

11位・・・・・『スティルウォーター』

12位・・・・・『ギャング・オブ・アメリカ』

13位・・・・・『ジュラシック・ワールド 新たなる支配者』

14位・・・・・『クライ・マッチョ』

15位・・・・・『海上48hours -悪夢のバカンス- 』

16位・・・・・『ザ・ロストシティ』

17位・・・・・『ヒットマンズ・ワイフズ・ボディガード』