『エイブのキッチンストーリー』異文化の家族同士を「食」でフュージョン(融合)しようとするエイブのけなげさがたまらない

こんばんは、ジャスミンKYOKOです。

映画好きの集まりの女子チームと映画『エイブのキッチンストーリー』を見てきた。

Eさんが美少年って言ってたけど、あれほどまでとは思わなかった。

30年前に『T-2(ターミネーター2)』のエドワード・ファーロングを見た時の、あの衝撃が再びやってきたのだ‼︎

こんな男の子が学校にいたら、私も女子の闘争心むきだしにして取り合うわ‼︎笑。

 

ストーリー

ニューヨークのブルックリンで生まれ育ったエイブは12歳。

パレスチナ人(アラブ・イスラム系)の父とイスラエル人(ユダヤ系)の母を持つため、家族の集まりではいつも必ず風習や宗教の意見の食い違いで言い争いが耐えない。

そんな毎日がイヤでたまらないエイブは好きな料理を作ることが心の拠り所だった。

ある日、フュージョン料理の屋台を出しているブラジル人のチコと出会う。

最初は相手にされないものの、毎日通ってくるエイブの熱意にほだされ、料理を教えてくれるようになる。

サマーキャンプを抜け出し、毎日チコのところへ通うエイブがようやく仕込みを手伝えるようになった頃、両親に見つかってしまい・・・!?

敵対する両国のミックス料理で両家族の仲を取り持っていこうとするエイブがけなげでかわいらしい。

美味しそうな料理の数々も見応えあり!!



まずありえない家族の背景が面白い


⇧左が父方の家族ムスリム(イスラム教・アラブ系)、右側が母方の家族(イスラエル・ユダヤ系)

Eさんが「そもそもよう結婚できたよね」

・・・確かに。

住んでたパレスチナ人を追い出してユダヤ人がイスラエルを建国した時から続いている両民族の確執。

まず、状況から言って結婚できることがまれ。どちらかが改宗しないとまず無理なんじゃない?家族以上にコミュニティが反対しそう。

『Sex and the City』のシャーロットも英国国教から、好きなハリーがユダヤだったから改宗したもんね(^.^;。

パレスチナ人の父とイスラエル人の母との間に生まれたエイブは、父方の祖父母には「イブラヒム」と呼ばれ、母方の祖父母には「アビー」や「エイブラハム」と呼ばれるため、彼は間を取って「エイブ」と呼ばれることを好んだ。

エイブのお父さんはエイブの未来での混乱を避けるため、自分は「無宗教」を選んでた。男の人の方がすすんでそうするなんてなかなかすごい。

日本は結婚すると今の所、自動的に夫の家の宗教になり、夫の家の墓に入る感じが多いけど(それもおかしな話だけど)、「うちは仏教の◯◯派!」と言い張る人が少ないのでそのへんはあまり争いがないのかしら。

日本って体質も体制も古いけど、宗教が混在してても争わないってとこは素晴らしいよね。

家が仏教の宗派に入ってても初詣は神社に行ったりするし笑。変なとこは臨機応変?笑

「好きな人が出来た!でも無理!あの人浄土真宗じゃないものーーー(泣)」みたいなことは結構少ないと思う。私の友達の間でもほとんど聞いたことがないな。

さすがアメリカ人女性、姑に言われっぱなしじゃないのが、超爽快!「やれーやっつけろー」笑。本音で勝負でどちらか一方が我慢しないから、日本みたいに不満の記憶が残りにくいのかもね。

まあ、それが歩み寄りの妨げにもなってはいるけど笑。

「エイブ」の綴りが「Abe」と知らず、キノシネマの入り口近くで「Abe」と書いた映画グッズのコースターを配られた時は「アベ?」と読んでしまい「阿部寛」の映画?と一瞬勘違いした笑。

 

とにかくエイブがキュート!

もうね、この子だけは美しいまま成長してほしいと願う!

洋画好きの悲願!!(子役出身の男の子はプレッシャーからか?麻薬に溺れるのが常なため)

素敵に大人になったのを見てみたい!!

手足も超長い。私がいそいそとアメリカでTシャツを毎回買ってきても、すその長さだけいつも長すぎなのは、これが原因なのね。

自分のサイズで肩幅もちょうどいいのに、すそだけが長くて、Tシャツなのにお直しやさんに出さなきゃ着れない感じ笑。背と足の長さが違いすぎるからなんだろね(^.^;。

 

出てくる料理が欧米かぶれにはたまらない

映画の中で今まで聞きかじってきた料理が満載!!

アラブ料理とユダヤ料理のソウルフード、フムス(ひよこ豆のペースト)もアラブとユダヤでは若干違ったりするのも言い争いの原因になったりね。

ファラフェル(中東のコロッケ)やマッツォ(ユダヤの酵母を入れないパン)が出てきて興奮♪

エイブがまかないを任された時にシュワルマ(中東でよく食べられてる羊肉と野菜のブリトーみたいなもの)の肉をタコス(メキシコ料理。とうもろこしの粉で作ったクレープ)に挟んだりしてたから、わーそれも絶対美味しそう!とよだれジュルジュルで見てた。

ベーグルを生んだユダヤ料理のハラーという編んだ模様のパンとかね、もういちいちウキウキするの。

ブラジル人のチコが、屋台で出す「タピオカフライ」を作る時、キャッサバの芋(あのタピオカの原料の芋)の皮の剥き方をエイブに教えるのが日本の大根のかつら剥きと反対だったから「エイブ!危ない!危ない!」とハラハラしちゃった笑。

外国は外側に向かってむくのかしらね(^.^;。

 

ジャスミンKYOKOの煩悩だらけの映画トーク

まず、舞台がブルックリンというのが、アメリカかぶれにとってはもう、高ポイント。

19世紀初頭のニューヨーク(イギリスやアイルランドから多くの白人が新大陸に夢を持ってきた時代)からの古いおうちがまだいっぱい残っているからだ。

玄関の前に必ず、数段階段があって、地下室へも直行できる作りの縦長の家が連続している長屋風の建物。

それにアメリカの学校の夏休みにあるサマーキャンプ、絶対美味しくなさそうな青いケーキ。

食べ物に「青」と「ショッキングピンク」を持ってくるアメリカ人のセンス、シビレます!(バカにしてる?笑)。

エイブが作るケーキは美味しそうだからご安心を(アメリカかぶれはそのセンスも含めて好きなんだけどね笑)。

ユダヤの安息日(基本的に土曜日。家事、労働をしない日)にワインを飲むのがたまらん!

私がすごく嬉しかったのは、昨今の忖度する映画事情で「未成年に飲酒を勧めるシーン」は削除されたり、なくなったりしてるけど、この映画では堂々とおじいちゃんがエイブにワインを勧めるシーンがあったとこ!

最近の風潮はあまりにも子供の目の前から「ダメなこと」を大人が先回りして削除しすぎて、「想像力がない大人」を創造してる気がするんだよね。

「お酒」や「煙草」のCMをなくしたからって、吸うやつは吸うし。色んなとこで飲酒したり、煙草吸ったりしてる大人を目にするわけだから。

週刊誌の袋とじが見たくなるように笑、目の前からそれをまったく排除するほうが逆に危険だと思う。加減がわからないやつになりそうだもん。

「これはCM上の演出です」と注意書きがないとわからんのか!と呆れてしまう。

親が先回りして排除するのではなく、自分で「吸わない」選択をさせるっていうのが大事だと思う。

エロ本をベッドの下に隠してるくらいがかわいいもんね。今は動画で本番見れちゃうから、これまた想像力が育たん原因かも(^.^;。

私が読んでたマンガには、学生の飲酒、喫煙シーンも多発してたけどね。そのマンガを読んでた友人たちもみんな喫煙者にはなってないし。すべては自分の選択。ああいうゆるさが懐かしい。

そういう忖度を映画に持ち込まないで欲しいというのが、映画好きの願いです笑。

007を黒人女性にするとか、スター・ウォーズがアジア人だらけとかね、そういう気の使い方はいらないっての。

両民族の料理をミックスさせて、家族が少しでも仲良くなれるように、エイブが奮闘するのがけなげで愛おしい。

大人になったら、色んな経験をしてるからもうちょっとゆるくなっても良さそうなのに、「自我」が確立されてしまってるからか「枠」を超えて歩み寄れない。

経験を積み重ね引き出しが多いのは素晴らしい。その上に「寛容さ」を合わせ持った大人を目指したいなと思った映画だった。

エイブのけなげさに泣いてマスクが湿って息苦しくなったり、笑ってほっこりしたり。いい映画でした。

見た後、おなかがすきまくって即座にみんなで夜ご飯に向かいたっぷり食べた(健康診断前なのに!笑)。

ランキングは、裁判シーンがうるさくて長い『シチリアーノ』の巻き舌のイタリア人より、かわいいエイブの方がもっかい見たいかな。・・・ということで23位。




 

映画『エイブのキッチンストーリー』のキャスト

@『エイブのキッチンストーリー』(2019年 米・ブラジル合作)

エイブ・・・・・・・・・・・ノア・シュナップ

チコ・・・・・・・・・・・・セウ・ジョルジ

レベッカ(エイブの母)・・・ダグマーラ・ドミンスク

アミール(エイブの父)・・・アリアン・モーイエド

【2020】ジャスミンKYOKO 映画私的ランキング

1位・・・・『ランボー ラスト・ブラッド』

2位・・・・『フォードvsフェラーリ』

3位・・・・『黒い司法 0%からの奇跡』

4位・・・・『バッドボーイズ  フォー・ライフ』

5位・・・・『1917 命をかけた伝令』

6位・・・・『プリズン・エスケープ』

7位・・・・『ストーリー・オブ・マイ・ライフ わたしの若草物語』

8位・・・・『グレース・オブ・ゴッド 告発の時』

9位・・・・『博士と狂人』

10位・・・・『ある画家の数奇な運命』

11位・・・・『グッバイ、リチャード!』

12位・・・・『オフィシャル・シークレット』

13位・・・・『スキャンダル』

14位・・・・『デンジャー・クロース 極限着弾』

15位・・・・『透明人間』

16位・・・・『シカゴ7裁判』

17位・・・・『タイムリミット 見知らぬ影』

18位・・・・『82年生まれ、キム・ジヨン』

19位・・・・『ミッドウェイ』

20位・・・・『リチャード・ジュエル』

21位・・・・『マザーレス・ブルックリン』

22位・・・・『エジソンズ・ゲーム』

23位・・・・『エイブのキッチンストーリー』

24位・・・・『シチリアーノ 裏切りの美学』

25位・・・・『ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密』

26位・・・・『ストレイ・ドッグ』

27位・・・・『ストックホルム・ケース』

28位・・・・『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』

29位・・・・『TENET(テネット)』

30位・・・・『ペット・セメタリー』

31位・・・・『ライブ・リポート』

32位・・・・『ウルフズコール』

33位・・・・『異端の鳥』

34位・・・・『幸せへのまわり道』

35位・・・・『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒』

36位・・・・『ポップスター』

37位・・・・『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』