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『ハウス・オブ・グッチ』（ネタバレレビュー）グッチ家のお家騒動をゴージャスな衣装とともに楽しむ

こんばんは、ジャスミンKYOKOです。

アクション映画や男臭い映画では女がでしゃばると嫌いな私ですが、女が女をイジメたり、恋愛絡みのドロドロの映画を観るのは大好きなのよ。（自分がそんな目に遭うのはイヤだけどね笑）。

たぶん、「あーーーいるいる！こんな女！！」と映画の中で自分の周りにいる女のサンプルを観てるようで楽しいのかも笑。

そして対処法ややっつけ方を学びつつ、楽しむ笑。

今回は世界的なブランド「GUCCI（グッチ）」の創業家に実際起こったドロドロのお家騒動。

大塚家具どころの規模じゃないわよ笑。

グッチ家の一人息子マウリツィオが、パトリツィア・レッジャーノという一人の女に惚れてからというもの、グッチ家の崩壊が始まっていく・・・。

レディ・ガガは本物のパトリツィアに寄せてきていて、スタイルも強欲な感じもバリバリ似ててすごかった！

出てくる衣装やパーティ、インテリアのすべてがすべてゴージャス！華やかなファッション界の裏の愛憎劇を心ゆくまで堪能できる。3時間で長いけど、面白い。

ストーリー

中世のアクション映画監督として名高いリドリー・スコット監督が、今回は珍しくお家騒動のドロドロにチャレンジ。

ファッション界の一大スキャンダル「GUCCI（グッチ）」の創業者一族の崩壊を豪華キャストで描く。

一族の崩壊の発端となるパトリツィアをレディ・ガガが演じ、３代目のマウリツィオをアダム・ドライバーが演じる。

1995年3月、3代目社長マウリツィオがミラノの本社前で凶弾に倒れた。その事件の顛末までの崩壊劇を時系列順に映していく。

親のイヤな予感というのは当たるものである

箱入り息子や娘だったり、20歳そこそこだったりすると、目の前の人に夢中になって冷静になれない時がある。

で、親が反対すると一層燃え上がったりして厄介だ笑。

だから私が友達に意見を求められた時は、不穏な男であっても頭ごなしには注意はしない。

「〇〇くんはこういう部分があると思うし、これでイヤになる時がくるかもしれない」と懸念材料を言うだけ。

プロポーズされた女子というのは、懸念を感じたり忠告されたとしてもそのまま突っ走るのが常なので（私もそうだった笑）、私は結婚を止めはしない。

最終的に決めるのは自分だし、自分が体感しなきゃわからない。

でも親や友達の第六感というのは案外当たってるものなんだよね。

マウリツィオの父親（ジェレミー・アイアンズ）が反対したのは、金に群がってくる女をイヤというほど観てきたからに違いないから、その経験からのイヤな予感は当たっているはずなのだ。

しかし箱入り息子は目の前の女子に夢中で親の意見に聴く耳持たず。

パトリツィアも彼氏がいたが、マウリツィオがグッチの御曹司と知ってすぐに行動開始笑。ごく自然に出会ったかのようにアタックする。

息子を変な女に捕まらせたくなかったら、開放的に育てる

⇧パーティの自己紹介で「マウリツィオ・グッチ」と聞いて目がキラーン笑

こういう女の欲望は尽きることがないので、パトリツィアはいつしかマウリツィオを飛び越してグッチを自分の思うままにしようと動いていく。

何かのTVで観たが、医大生などが医者になったとたん、金目当ての女が寄ってくるので、そんな女に捕まらないように教えるセミナーがあるらしい笑。

勉強ばっかりしてきたから、したたかな女とそうでない女を見分ける目が育ってないのよね。

口下手な理系男子は、ぜひそういう講座に行っておこう。マウリツィオの二の舞になりたくなければね。

こんなゴージャスな赤のスキーウェアが似合う女って観たことない

あんまりグッチの支配の方に関心がいってたもんだから、肝心のマウリツィオの心が離れはじめているのに気づくのが遅れたパトリツィア。

シャモニー（スイス）のスキー場に行って、マウリツィオの同級生女子に釘を指します。

「あんた、フェアじゃないわよ」

お前の口がどの面下げてフェアなんて言葉を言うんじゃい。

マウリツィオのお父さんの遺産の小切手にサインがなかったからって、自ら偽造サインをするような女が・・・笑。

結婚した男が奥さんに冷めたからって、浮気でむかつきを解消することはあっても「離婚」という作業は面倒だからよっぽどじゃないとしないはずなのよ。子供もいるし。

マウリツィオの場合、典型的な箱入り息子であるがゆえに（それだけ恋愛に純粋ってこと）、浮気より本気になってしまうタイプ。

だからパトリツィアにイヤになってた時期に同級生女子に再会したとたんに「浮気」にはせずに、妻との「離婚」を考え出してしまう。

⇧パトリツィアがやらかした小切手サイン偽造事件で、税務署に睨まれマウリツィオがシャモニーに身を潜めてた時に再会した幼馴染パオラ。

パトリツィアが口にしようとしたキスをかわされ、おでこにされた時点で、もう心は離れてしまってる。これはマウリツィオが純粋だからこそ。

散々遊んできたタイプの跡取り息子との違いはそこなのよ。だからパトリツィアもマウリツィオをそっちのけでグッチの支配の方に気を取られている場合じゃなかったのよ。

⇧グッチの御曹司マウリツィオを演じるアダム・ドライバー

気持ちは冷めててもキスくらいなら（ましてやエッチまでも）何食わぬ顔して出来る男もいるが、マウリツィオはそれが出来ない。

ここまでのし上がってくることが出来たのも、マウリツィオが箱入りだからこそで、ソッコー離婚に踏み切るのも箱入りだからこそ。

従順な男でも、グッチ家の御曹司というプライドはあるから、存在を無視して色々勝手に決めるのはダメなのよ。

それにしても、白銀の世界で、真っ赤なスキーウェアとファーの帽子に身を包むパトリツィアがゴージャスでかっこよかったわ♪　

悪女もこれくらい徹底的に悪女だと気持ちがいいよね笑。

豪華なキャストも映画のゴージャスさを盛り上げている

ここまでゴージャスにしなくてもいいのに、というくらいキャストがゴージャスだ。

ただあんまり重鎮をキャストに入れたので、それぞれの見せ場が必要になり、映画が結果的に長くなっちゃったので、大御所の数は絞った方がよかったかも。

二代目社長　ロドルフォ・グッチ　（ジェレミー・アイアンズ）

生まれ持った気品は何歳になっても健在のジェレミー・アイアンズが演じる、グッチ家二代目社長のロドルフォ・グッチ。イタリアのミラノ在住。

マウリツィオの父で、パトリツィアとの結婚を反対し、息子を一度は絶縁するものの、息子を溺愛していたため、兄アルド（アル・パチーノ）が間を取り持ち仲むつまじい親子に戻る。　病気が進行し、他界。

二代目社長　アルド・グッチ　（アル・パチーノ）

ロドルフォの兄で、自社株を50％ずつ分けられた、こちらも二代目社長のアルド・グッチ（アル・パチーノ）。ニューヨーク在住。

保守的なロドルフォに比べ、野心的なアルドは、グッチをニューヨークに進出させて成功させる。

お父さんで創業者のグッチオ・グッチは、兄弟で争うことがないように株を平等に分けてたんだろうね。

ただ、その平等精神が不運にも孫の三代目社長に世代交代する時にうまくいかなくなるのだ。

パオロ・グッチ（ジャレッド・レト）

ジャレッド・レトの変貌ぶりには驚いた。

どう観ても小太りでハゲたおっさんにしか見えない（本人はスレンダー、髪はフサフサのロン毛）。

しかし特殊メイクでここまでするなら、もう普通にこんな容貌の人を雇った方が安上がりだったんじゃないのかな笑。

ジャレッドは、兄社長アルド・グッチの次男パオロ・グッチを演じる。

年を重ねるごとにふてぶてしくなってくパトリツィアと、その変化を演じるガガもうまい

⇧最初の頃（左）からすると顔つきもどんどんふてぶてしくなってくパトリツィアの変化をガガがうまく表現している。

パトリツィア・レッジャーニという女は、「ただ金持ちになりたいだけの女」だけじゃなく、この時代の女子にしては珍しく、男以上に「野心」があったんだなと、映画を観て思う。

キレイな服着てゴージャスなバッグを持てるだけでは物足らず、世界的ブランドの「グッチ」を自分の意のままに動かす・・・ということにこそ、醍醐味を感じていた。

⇧マウリツィオと結婚したばかりのパトリツィア（レディ・ガガ）この頃は美しい。

叔父アルドを説得し、絶縁していたマウリツィオと父親の仲を取り持たせ、マウリツィオをグッチ家の跡取に戻すことに成功すると、今度は父親の死後に、グッチ家の株を動かすようにしむける。

彼女によって平等になっていたはずのグッチ家の相関図が崩れ始める。

グッチ家の決定的な崩壊

父親の平等精神を見習っていた兄アルド（アル・パチーノ）は、自分の3人の息子に平等に株を3.3%ずつ分け与えていた。

チープなブランドを勝手に作って、高級路線に傷をつけたとして父アルドとの間に溝ができた次男パオロ・グッチ（ジャレッド・レト）にパトリツィアが目をつけ、「自身のブランドを立ち上げていい」とおだてて取り込むことに成功。

マウリツィオ側の株は50％（一人息子のため）にパオロの3.3％が加わり、53.3％になった。

そのためマウリツィオが筆頭株主になったのを機に、アルドの退任を迫り、自身を社長にしたのだ。（株式会社は51％の株を所有した者の意見が反映される）

うまく均衡を保っていた創業家の分断をさせてまで、マウリツィオを社長にしたパトリツィアの悪女ぶりはすごいが、マウリツィオもそこで言うこと聞いて実行してるわけだから、パトリツィアばかりが悪いわけじゃないのよね。

社長になれたらなれたで、今度は女に操られているのが面白くなくなってくるのが、男の面倒臭さ。自分の力で社長になれたわけでもないのにね。

自分には人を見る目がないくせに、今度は自分を飛び越してグッチに手を出してくるパトリツィアが鬱陶しくなってきて遠ざけようとしてくる。

創業主は、最初から権利を圧倒的にどちらかのものになるように明確にしていた方がよかったのかもしれない。社長になるのは長兄とか、実績を出した方が社長になるとかね。

株を平等に分けたツケが、もう三代目の時点で回ってきたのだ。

一族だから、言うことやることに遠慮ってもんがないのよね。自分の息子に社長を譲りたいのが親だけど、会社の存続を思うと血族だけで継承するのはかなり危険だ。

追いやられたアルドは、マウリツィオを訴えようとするが、先回りされ、パオロの証言で脱税を告発され、投獄された。

社長になったマウリツィオは、もともと手腕もなく、人を見る目のあるパトリツィアを遠ざけたのもあり（別居）、グッチの業績がどんどん悪化していき、最後には中東の大富豪に経営を譲り渡すしかなくなってしまったのだ。

パトリツィアにとって一番悔しかったこと

⇧これやってみたいわ！笑　（女優サングラスが似合わない私）

パトリツィアは、とにかく最後まで「ミセス・グッチ」と呼ばれることにこだわっていた。

その名称の元となるグッチの持ち株を、マウリツィオがこともあろうに、中東の大富豪にすべて売却してしまったのだ。

もともと弁護士を目指し経営に興味のなかったマウリツィオにしてみれば、売却のお金で裕福に暮らしていけるし、いざとなったら弁護士で生計も立てていけるので、大きな肩の荷が降りてホッとしたのかもしれなかった。

⇧決してただでは転ばない女、パトリツィア。こんな毛皮に負けない顔っていいね！

パトリツィアは、「ミセス・グッチ」とも呼ばれなくなった上に、まだ恋人だったパオラと正式に再婚すれば自分には何も残らないと考え、その前にマウリツィオを亡き者にすれば、遺産が入ってくるという計算も相まって、殺意に変わっていくのである。

す、すげえ・・・パトリツィア。

だってかなりの慰謝料ももらってたし、ペントハウス（ホテルのスイート・ルームを自宅として使うこと）に住まわせてもらってたんだから、それで良くないか？

それだけ、マウリツィオのグッチ家としてのプライドを欠く行為とあと少しで手が届きそうなグッチの支配が中断され、自分が捨てられたことが腹立たしかったのだろうね。

ジャスミンKYOKOの煩悩だらけの映画トーク

⇧パトリツィアが頼りにしていた占い師のピーナ（サルマ・ハエック）。

まず、金持ちなんだから、夫の殺害をそのへんの低レベルなヒットマン（暗殺者）に頼んだらいかんでしょ（→犯罪映画の観過ぎな人からのいらんアドバイス笑）。

占い師のピーナに相談して、用意してもらったヒットマンにマウリツィオ殺害を託す（当時のレートで3300万円くらいで依頼）。

白昼に本社前で殺害なんて、アホのやることでしょ！

マウリツィオは4発の銃弾を受けてその場で絶命。

昼間なのに珍しく目撃者がドアマン一人だけだったため、首謀者がパトリツィアに行き着くまで2年かかった。

占い師のピーナをエステに連れて行ったり、いい暮らしをさせていたりしたので、そりゃあパトリツィアが望む占い結果を言うに決まってるやろ笑。その暮らしを続けたいがためにね。

このピーナを演じてるサルマ・ハエックは、映画ではパッとしない占い師を演じているが、彼女は相当な美女でもあり、実はグッチ家の持ち株を最後に買い取った中東の大富豪の現妻だというのが面白いよね。

なので、この映画は、グッチに最も近い関係者でありながら、今グッチを実際に経営してる者が全面協力した映画という面白いエピソード付きなのだ。

26年の懲役を受けながら、模範囚で刑期を9年縮めて2016年に出所したパトリツィアは、映画化されるにあたって「ガガが挨拶にこない」と不満を訴えているらしい笑。

真の悪女は、「反省しないし、ふてぶてしさは永遠」なのね笑。

マウリツィオのお父さん、こんなグッチの末路を知らずに死んでよかったかもね。もう、今は創業家のただ一人もグッチにいないなんて。

映画は、少しパトリツィアにもかわいい部分があったように描かれていた（最初の方は）けど、恩人のアルドを裏切ったり、パオロをブランド出していいと言いながら著作権で訴えたり、手段を選ばないところ見ると、もともと悪どい素質があったとしか思えない。

現在、娘二人から絶縁されてても、遺産から自分の年金を要求したりしてるから、このたくましさは見習わないとね笑。

人生、何事も自分の頭で考えて行動し、人を観る目を養っていないとマウリツィオのような運命が待ち受けているかもしれません。

人との付き合いは面倒だけど、人を見る目と精神的に鍛えられることは間違いないから、必要以上に人付き合いを避けない方が身のためですぞ。

『ハウス・オブ・グッチ』のキャスト

＠『ハウス・オブ・グッチ』　(2021年　米）

パトリツィア・レッジャーニ・・・・・・・レディ・ガガ

マウリツィオ・グッチ・・・・・・・・・・アダム・ドライバー

ロドルフォ・グッチ（マウリツィオの父）・ジェレミー・アイアンズ

パオロ・グッチ・・・・・・・・・・・・・ジャレッド・レト

アルド・グッチ（パオロの父）・・・・・・アル・パチーノ

ジュゼッピーナ・アウリエンマ・・・・・・サルマ・ハエック（現グッチ婦人）

【2022】ジャスミンKYOKOの映画私的ランキング

１位・・・・・『マークスマン』

２位・・・・・『ハウス・オブ・グッチ』

３位・・・・・『ギャング・オブ・アメリカ』

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