『流浪の月』(ネタバレレビュー)周りの人間が自分の悪を自覚していない怖さ。桃李と流星のがんばりがすごい 

こんばんは、ジャスミンKYOKOです。

普段は「洋画」ばかり観ていますが、たまに「ん?」と気になった「邦画」は出かけるようにしています。

今回はTVで松坂桃李(まつざか とうり)くんが番宣をしていたのを観てストーリーを少し知ったら、映画の『悪人』みたいな感じで面白そうと思ったのがきっかけ。

※『悪人』・・・・犯人よりも、周りの人の方が犯罪こそ侵さないが犯人以上に無自覚に悪いことをやっていた、どちらが悪人かを観てる人に問うようなお話。

それに松坂桃李は『孤狼の血』※の演技で、ただの若手俳優じゃないと注目し始めたからね。

※『孤狼の血』・・・・役所広司主演。松坂桃李は新卒でヤクザに敵対するマル暴の刑事を演じた。

面白かった・・・!

全編暗いけど、松坂桃李が激ヤセしてがんばってたし、横浜流星(よこはま りゅうせい)に興味なかったけれど、イメージダウンも辞さない役柄を迫真の演技で演じてたので、感激したのよ!

アイドルみたいに流星を好きな人は、あのシーンはイヤだろうな笑。私はファンじゃないから、ただ彼のすごさに感激できたけど♪

これからは横浜流星も注目していきます(後はヤクザ映画がうまいかだな・・上から言うな笑)。

ストーリー

⇧W主役の広瀬すず(上)と、松坂桃李(下)

2020年に本屋大賞を受賞したベストセラーを映画化。

ある日、公園でびしょ濡れになっても家に帰ろうとしない10歳の更紗(さらさ。広瀬すず、幼少期白鳥玉李)に、大学生の佐伯文(さえき ふみ。松坂桃李)が傘を差しかける。

父は亡くなり母は彼氏の元に行ったまま戻らず、更紗は叔母の家で暮らしていた。

帰りたがらない彼女の気持ちを察した文は、そのまま家に連れて帰った。

2人で静かに暮らす間、世間では「誘拐事件」と大騒ぎだった。

2ヶ月後、湖で水遊びしていた2人。パトカーが現れ、文は「誘拐犯」として逮捕される。

その15年後、2人は街で偶然再会する。

被害者にさせてしまった文をなんとか支えたくて更紗は近づいて行くが・・・。

ここから下はネタバレレビューになります。

松坂桃李の役作りに拍手、淹れるコーヒーが美味しそう

今回は未成年を演じるので少年ぽさを出すためか、松坂桃李が元々細いのに、もっと減量して挑んでいる。

自分と同じ孤独を抱えた少女をほっとけなかったために、「誘拐犯」として世間に知られ、ロリコン男と罵られる文(ふみ。松坂桃李)。

ほんと、桃李くんが消えてしまいそうに線が細くて、足の甲も骨ばって肉がない・・・!!

減量もあるからなのか、桃李くん自身もこの役が一番メンタルがきつかったらしい。

15年後の文は喫茶店のマスターをしながら、そっと生きていた。

⇧文の経営する喫茶店「caliko(カリコ)」。実はこの喫茶店の名前は「更紗」という意味らしい。

それは語られることはないけど、設定が凝ってるね。

この喫茶店ではネルドリップ(布でこす珈琲の淹れ方)だった。桃李くんも役作りにあたって、珈琲の淹れ方をトレーニングしたらしい。

珈琲がすごく美味しそうだった。 

ただ、遠い席にもカップをお盆なしで片手で持っていくのが、ちょっと気になった笑。

そろそろと静かに歩く文の特徴と、文の不器用さを表したかったのかな笑。

こぼすよ!とちょっとハラハラしたのと、片手でつかんでそのまま持って来られたらちょっとイヤかもと思った笑。

⇧長野県松本市のロケ地。(文の喫茶店)

後、意外だったのが、店にびしょ濡れで現れた更紗に、文が淹れてあげたのが、氷いっぱいの冷たいカフェオレ。

そこ、ホットじゃないんだー笑(びしょ濡れの人に出す飲み物ってホットのイメージだったから笑)とビックリ。

まあ、ミルクが混ざっていく写し方がすごく美味しそうだったから、いいけどね笑。

更紗の小さい頃を演じる女の子がうまい

広瀬すず演じる更紗の10歳の頃を演じる子役の女の子(⇧右。しらとり たまき。白鳥玉李)がすっごくうまくて、「本当に小学生!?」とビビってしまった。ブランコがあまり似合わないのよね笑。

最近の小学生女子は大人びているから、この子はまだ幼い方なのかもしれないが。

アップに写すと、本当に広瀬すずにそっくりでビックリしてしまった。

今頃は文じゃなくても、男の人は下手に女児に話しかけたら、「不審者メール」で親にソッコー配信されるから、親切もしにくいし、ほんと大変そう。

うちの父上も雨が降ってるからと孫を迎えに行っただけなのに、「道の途中で急に車に乗せたら誘拐って思われて通報されるかもしれないから、私がするからもうしなくていい」と母上に注意されておりました(大変な世の中・・・笑)。

周りの人間が自分の悪を自覚していない

ネット社会は便利な反面、事件が連日マスコミを賑わし、被害者の名前が本名でネットに載ってしまうと、事件が解決し人々の関心が薄れても、その記事は永久に残ったままというのは本当に厄介だ。

更紗もひっそりと暮らしていたいのに、ネットで名前を検索され、「あーあの被害者の」とどこに行っても気づかれてしまう。

ただ静かに暮らしたいだけなのに。

知ってても本人に確かめない。そっとしておいてあげる。そんな簡単なことができない人間が多いよね。

人のプライバシーな情報を集めて周り、それを得意そうに人に話す人間って会社にも近所にもどこにもいるよね。

ほんと、暇人としかいいようがない。他の人の噂話を私に話した時点で、そういうタイプかとがっかりするね。(まあ、会った瞬間にだいたい予想はついてるが笑)

更紗にも好奇心むき出しの既婚者の女たちが、彼氏のことを聞こうと群らがったかと思えば、誘拐事件の被害者だと知ると、今度は憐れみの目で観たり噂したり。

女の職場のリアリティがうまいこと表現されてた。私もイヤな女いっぱい会ってきたから演出なら手伝えそう笑。

この同僚女子も飲み会の時は「だんなに庇護されて、のうのうと暮らしてるおばさん連中が」とかなんとか言ってたけど(彼女はシングルマザー)、リッチな彼氏ができたとたん、更紗に子供を預けて何泊も旅行に行ってしまう。

自分が言ったことは忘れてしまうんだろうな笑。あんたも庇護されようと躍起になってるやんか。

でも、自分の言った言葉に縛られて自分を律して生きるのもきついし、毎回その場その場の感情で言葉を発する人間の方がラクなのかもしれないよね。

誰かに寄りかからずに生きていけるほど、人間は強くも完璧でもないってことも、この映画は静かに描いていきます。(シングルマザーの大変さはわかるよ、でも独身女子に子供を預けて連絡つかなくなるのはいかんやろ))

更紗は、文が幸せならそれでいい、「被害者」の自分が近づいたら文にまた迷惑をかけてしまう、と自分に毎回言い聞かせていたが、心の中の正直な気持ちは、文の側にいたくてたまらなかった。

もう15年前に終わった事件で、2人が一緒にいても自分の生活に何1つ支障がない人間たちが、彼らをそっとはしておいてくれないのが歯がゆくて切なかった。

横浜流星、すごいの一言

⇧更紗の婚約者を演じる横浜流星(左)

この映画を観るまで、なんにも興味がなかった、横浜流星くん(そこまで言うことないじゃないか)。

イケメン俳優としてもてはやされる彼の、「俳優としての覚悟」をこの映画で観てしまったから、これから応援することとします(単純笑)。

更紗の同棲相手の中瀬 亮(なかせ りょう)を演じる流星くん、ラブシーンがめっちゃエロいの笑。

広瀬すずの体にあちこちキスしまくるんだけど、その「チュパチュパ音」がすごいのよ笑。

静まりかえっている館内に響くチュパチュパ音。

2つ隣におじいさんがいたから、つい照れてしもうたぜよ笑。

なんでしょうね、洋画だと見慣れているからかソワソワしないんだけど、同じ人種は生々しいからかな笑。(洋画でも聞いたことないチュパチュパ音でした・・・笑)

すずのチチを揉むモミ方もハンパない!(すずは脱いでませんがブラに手をつっこんで)スゲーぞ!この男!と感心してしまったよ笑。(変なとこに感心するな)

邦画であんなやり方ってあんまり観たことなかったからね・・ヤクザ映画でチンピラが女を無理やり手ごめにする(レイプに近い性行為)シーンで観るくらいかな笑。それをイケメン若手俳優が・・・!

しかも心が離れ始めている更紗を無理やり抱こうとする2回目のラブシーンも流星くん、すごかった。ファ、ファンは大丈夫かしら・・・。

朝一番に観たけど、目が覚めました笑。イメージダウンも辞さない覚悟を観させてもらった、素晴らしい!横浜流星!

田舎の長男として育った亮は、女は黙ってついてくるものと思っているのか、不安を払拭しようとしているのか、更紗の戸惑いを見ようとはせず、実家に無理やり連れていきます。

ここの妹がまたいらんこと言うのよ。

「お兄ちゃん、天涯孤独で行き場のない子が好きなのよ」

あんたね。

でもそれを言ってくれたから、更紗も亮から離れる決心がついたのかもしれないよね。

更紗を愛してはいるが、彼女を1人の人間として見るというより、「かわいそうな子だからオレから離れてはいかない」と思っている。

更紗も内心それを感じているから、自分の気持ちを1番に大事にしてくれる文と再会してしまったら、もう止まれない・・・。

言葉がうまく出ない人がつい手が出てしまうってあるよね、亮はそんなタイプ。

まあ、殴りたくなることを言う女っているけどね笑。

更紗はそうじゃないけど、亮からしたら今まで自分の後ろを黙ってついてきていたような女が急に1人で歩き出したから戸惑ったというのが正解かも。

愛ゆえにちょっとひっぱたいたってなら女の心も離れない場合もあるけど、あれはちょっと殴り過ぎ。グーで殴るなグーで笑。一気に心が離れるに決まっとるやないか。

しかし、ここでも、素人の殴り方じゃなく、うまかったのよ、暴力男そのものだった(喜)!流星くん、素晴らしい。

空手で優勝したことがある実力者だったことを後から知り、また株があがりました笑。(一度上がりだすとうなぎ登り笑)

暴力とエロがうまいなら、ヤクザ映画が待っていますよ!笑

更紗にイラッと来ました

更紗よ、自分が友達から子供(7歳くらいの女の子)を預かったのなら、自分1人で世話せんかい。

世間から「ロリコン」と白い目で観られてる文に手伝わさせるなよ、そんなことするくらいなら友達に断れ、バカモンが!とイラッと来ました。

この更紗の詰めの甘さで、また文はマスコミから騒がれ、警察に連行されます。

お前、どんだけ文を苦しめるんじゃーーーーーっと、ムカつきました。

文は、せっかくひっそりとようやく人生を立て直し始めていたのに、ネットで拡散され、マスコミに報道され、喫茶店もやれなくなってしまう。

ジャスミンKYOKOの煩悩だらけの映画トーク

日々、流れるワイドショーの側面だけ見て、それが100%真実だと思ってしまう人間。

そして面白半分にスマホで写真を撮る人たち。

今はニュースも視聴者投稿の画像を流したりするから、事件現場の野次馬も増える傾向にあるんだろうね。

ニュースを鵜呑みにしがちな人や、人の家のことなのに自警団並に正義感振り回して嫌がらせをする人たちは、こういう映画を観て、事実は違うところにあるかもしれないと、違う側面から観るクセを少しはつけましょう。

更紗は、叔母の家で、夜な夜な自分の部屋に通ってくるいとこから性的虐待を受けていたのだ。そりゃ、帰りたくないよね。

私もこういう映画を観すぎてるせいか、行方不明事件や誘拐事件は、本人が帰りたくない家だったのでは?なんて思うこともしばしば。

ワイドショーの不確かな情報で、嫌がらせするのは言語道断だよね。「不倫報道」とかでも叩く人たちがいるけど、「汚職」や「横領」ならわかるが、その人の家のことなんだからほっとかんかい。

そもそもスターや政治家に品行方正を求め過ぎやろ。

この映画はしでかした張本人より、周りの悪をたくさん見れます。ツイッターを憂さ晴らしに使ってる人はぜひ、観てほしい。

15年前は静かに少年院で刑期を過ごした文だったが、ラストに更紗に1番見せたくなかった自分の弱さと辛かった過去や隠してきたことをぶちまける。

桃李くん、うまかった。静かでおとなしい文が、感情のままに泣き叫ぶところ。

泣いちゃったよ。

若手俳優たちの本気、とくと観れて大満足でした、よかったー♪

さて、横浜流星がヤクザ映画に出ることを期待して、これから注目していきます笑♪

映画『流浪の月』のキャスト

@『流浪の月』(2022年 日本)

家内 更紗・・・・・広瀬すず

佐伯 文・・・・・・松坂桃李

中瀬 亮・・・・・・横浜流星

谷 あゆみ・・・・・多部未華子

更紗(幼少期)・・・白鳥玉李

佐伯音葉(文の母)・内田也哉子

阿方・・・・・・・・榎本明

【2022】ジャスミンKYOKOの映画私的ランキング

1位・・・・・『マークスマン』

2位・・・・・『潜水艦クルスクの生存者たち』

3位・・・・・『ハウス・オブ・グッチ』

4位・・・・・『流浪の月』

5位・・・・・『バーニング・ダウン 爆発都市』

6位・・・・・『スティルウォーター』

7位・・・・・『ギャング・オブ・アメリカ』

8位・・・・・『クライ・マッチョ』

9位・・・・・『ヒットマンズ・ワイフズ・ボディガード』