こんばんは、ジャスミンKYOKOです。
映画『グレース・オブ・ゴッド 告発の時』を観ました。
カトリック教会の神父による児童の性的虐待の事実を被害に遭った大人たちが、自分の過去と向き合い、勇気を振り絞って教会の黙認と神父を告発する映画です。
ハリウッド映画ではボストンの事件を映画にした『スポットライト』がすごくよかったが、『スポットライト』は主に告発に重点を置いてるのに対し、この映画はフランスっぽく人間関係を掘り下げており、立ち上げた団体の継続の難しさも描いていて奥が深かった。
すごく面白かったです!
もくじ
ストーリー
君も神父に触られた?フランソワ・オゾン新作「グレース・オブ・ゴッド」本編映像https://t.co/P0aMW2JAni
#フランソワ・オゾン #グレース・オブ・ゴッド pic.twitter.com/hd43NTmwez
— 映画ナタリー (@eiga_natalie) July 3, 2020
舞台は2016年のフランス中部のリヨン。
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銀行家で裕福に家族とともに暮らしていたアレクサンドル(⇧右)。何不自由ない生活を送っているように見えた彼には、長年苦しんだ過去があった。
幼い頃、教会のブレナ神父に3年もの間、性的虐待を受け続けていたのだ。
ブレナ神父があの頃と何も変わらず、今でも子供たちに聖書を教えていることを知り、家族やこれからの子供たちを守るため、告発を決意する。
アレクサンドルを発端にし、リヨンでブレナ神父の被害に遭った者たちが立ち上がっていく。
教会は事実を知りながらも、強大な組織のもと告発への責任をかわしつづける。
自分の過去をさらけだす屈辱と恥ずかしさ、自分を長い間苦しめてきた神父への怒り、家族や友人たちの無理解など、告発を決意したと同時に訪れる苦しみと悲しみも描いている。
スポットライトの記者たちによって暴かれた後も同じことを繰り返すカトリック教会
【80人以上もの少年が聖職者から #性的虐待 を受けた「#プレナ事件」】
この事件を #映画化 した『#グレース・オブ・ゴッド 告発の時』を通して、現在の #フランス の #信仰心 の変容や、この #映画 が社会に与える影響を考察する。@sakuya_kono #宗教 #性暴力 https://t.co/49WWKD6Sgo— FRaU(フラウ) (@frau_tw) July 20, 2020
映画『スポットライト 世紀のスクープ』は2001年に調査を開始した、ボストンのカトリック神父による児童への性的虐待をボストン・グローブ社(新聞社)が紙面において告発した事件を描いたもの。
その告発から世界中の神父による性的虐待を受けた多数の者たちが手を挙げ、ローマ教皇を存命のまま退位させることになったすごい事件だった。
それなのに、これは2016年。
以前の全世界的な告発を知っているはずなのに、平気でそのまま神父を辞めさせず、告発されても責任をかわし、事実をなかったことにしようとする教会。
やっぱり神に身を捧げることなんて理想論なんだからさ、さっさとプロテスタント(新教)※みたいに結婚制度を認めたらいいんだよ。
※ルターの宗教改革で広まったカトリックの新しい考え。アメリカやイギリスではプロテスタントの方を信仰する人が多い。
そして少年の時から神父として修行させず、ある程度遊んで大人になってからの人を雇った方がいいよね。
少年からそのまま青春も味わうこともなく、恋も知らぬまま教会に身を置くから子供の心のまま大人になり、性的欲求を抑えきれない彼らは大人だと拒絶されるから何も知らない少年に手を出しちゃう。
ある程度、大人になってから出家制度で雇えば、世の中の侘び寂びも知ってるし懺悔室のアドバイスやお説教も絵空事なんて言わなくなると思うけどな。
・・・とバチカンから目をつけられそうなことをいっぱい書いたけど笑、これだけ事件が起こってるんだから改革しなさいよ!って感じ。
そんなこと言い出したら急進派の人は、暗殺されるのよね(T_T)。→『ゴッドファーザーPart3』※のことを言ってる笑
※映画中、バチカンの急進派の枢機卿が法王に選ばれたが、翌日すぐ暗殺されてしまった。
エマニュエルから目が離せない
最初に出てくるアレクサンドルが主役かと思いきや、この映画は被害者の男たちのそれぞれのトラウマ、家族とのやりとり、葛藤を交互に映していく。
そこで途中から出てくるエマニュエルという人から目が離せなくなる。
頭はいいのにトラウマのせいなのか、時々起きるけいれんの発作のせいなのか、ちゃんとした職を得られず、毎日を堕落し諦めて生きていた彼。
その彼が、告発団体が立ち上がったという記事を観て、驚きと嬉しさのあまり発作を起こしてしまう。
最初は、過去の出来事と向き合うのが辛すぎた彼も、心を開いて行き、自分の辛さを本気でわかってくれる友を得てどんどん明るくなっていく。
家族も分かってくれなかった痛み。家族ともうまくいっていないエマニュエルは「孤独からの脱出」と「未来」の両方を手に入れた気がして、活動にのめりこんでいく。
彼のガラスの心が痛々しいほど伝わるので、「だめよ、この会にそこまでのめりこんでは!」この会が、もしなくなったときのエマニュエルの落胆と崩壊を心配せずにはいられない(映画よりそっちが気になってしょうがない笑)。
一緒に底辺をさまよっていたエマニュエルの彼女が、彼が変わっていく様を観てあからさまに邪魔しようとしたり、フランス映画は人間のエゴの描写がすごい。
団体を最初の熱意のまま継続していくことの難しさ
被害者たちの静かな怒りの会見の模様が 『グレース・オブ・ゴッド』本編映像公開#グレース・オブ・ゴッド #フランソワ・オゾン
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映画『スポットライト 世紀のスクープ』は、教会の黙認の事実の告発に焦点を当てていた。
このフランス版は告発の難しさとともに、メンバーの情熱が途中で薄れたり、神父との間に起こった苦しみに加え家族や周りの人の無理解や、告発によって新たに生まれた苦しみや告発の活動を続けていくことの難しさも描いている。
告発できてよかったよかった!じゃないのだ。長い苦しみと家族さえも失う怖さと向き合わなければいけない彼ら。
黙っていた方がよかったんじゃないかと思う現実。
そんな目に遭ってたんだと好奇の目にさらされる毎日。これが性的なものでなかったらもっと早くに家族にでも打ち明けることができただろう。
みんなが打ち明けるのに20年以上かかっている事実は、神父の罪の重さがうかがえるよね。無垢な少年の時に神の代理である神父様に裏切られたことは体以上に心が傷つけられる。
立ち上げた団体を最初の情熱のまま、全員が継続していくのは難しい。
いずれマスコミの注目はなくなる。
注目されなくなっても長い間活動を続けていくことができるのか、それぞれが受けた被害の程度によってはバチカンに復讐するまでの情熱を持ち合わせていない者もいる。
そこをずっと率いていくのも難しい。告発団体に限らず、楽しい団体でもそういうことはあるからね。
そんなことまで描いているこの映画は、ほんとうに奥が深く見応えバツグンだった。
ジャスミンKYOKOの煩悩だらけの映画トーク
性的虐待をした神父と対面…フランソワ・オゾン監督作「グレース・オブ・ゴッド」新映像https://t.co/kJepfMtpki
#フランソワ・オゾン #グレース・オブ・ゴッド pic.twitter.com/jR93CgpnRT
— 映画ナタリー (@eiga_natalie) July 12, 2020
日本人よりも本音で生きてるフランス人は、より統率が難しいと思った。
意見は言いたい放題だし、ましてや会社でもないので給料もらえるわけでもない笑。
ただ建前なんかはあまりないから、協力する時は本気の協力だろうね。
昔社会人のサッカー部のマネージャーをしていたが、最初の頃は練習によく参加してた彼らも、飲み会の翌日だったり、何やかやで理由をつけて来ないことが多くなった。
それでも毎年、まだ続けるか?の会議では新しいユニフォームなどを作ろうと盛り上がったりして投票の結果、「続けます」となる。
みんな自分が悪者になりたくないのだ。自分から「やめたい」とは言い出しにくいんだろうね、会社の先輩達の手前。
しかも結婚して家族が増えるとより来なくなる。その流れもわからないことではない。この映画も奥さんが加わることによってもめていく。
こういう時、会の中枢にいると大変だよね。中枢だから自分の用事は後回しにして参加しないといけない義務感。みんなが去っていく寂しさ。
私はこういうことを何度か経験していて、会を集める人の大変さや続けることの難しさは分かっているので、もし自分が団体に参加した時は、協力もせず文句だけ言う人にはならないように心がけている。
一方で面白くないと思ってるのに無理して行かなくてもいいとも思ってるし、もし自分が主催者であれば団体はいつかなくなるということを覚悟しておくのも大事だと思ってる。
ただ、この告発事件は、今なお続いている。バチカンが認めるのは容易ではない上に謝罪もままならない。認めたとすれば莫大な損害賠償も発生するからね。
こんなに数多くの被害者がいるのに有罪を勝ち取れないのは、それを認めない多くの信者だったり、バチカンから利益をもらっている何かしらの団体、認めることによって信仰そのものが覆されてしまう危険から政府が回避しようとしているのか。
彼らが一生の時間をここに捧げる前にバチカンが認めることを祈ります。
面白かったので『スキャンダル』を抜きました♪
映画『グレース・オブ・ゴッド 告発の時』のキャスト
@『グレース・オブ・ゴッド 告発の時』(2018年 仏)
アレクサンドル・ゲラン・・・・・メルヴィル・プポー
フランソワ・ドゥポール・・・・・ドゥニ・メノーシェ
エマニュエル・トマサン・・・・・スワン・アルロー
監督・・・・・・・・・・・・・・フランソワ・オゾン
【2020】ジャスミンKYOKOの、映画私的ランキング
1位・・・・『ランボー ラスト・ブラッド』
2位・・・・『フォードvsフェラーリ』
3位・・・・『黒い司法 0%からの奇跡』
4位・・・・『バッドボーイズ フォー・ライフ』
5位・・・・『1917 命をかけた伝令』
6位・・・・『ストーリー・オブ・マイ・ライフ わたしの若草物語』
7位・・・・『グレース・オブ・ゴッド 告発の時』
8位・・・・『スキャンダル』
9位・・・・『デンジャー・クロース 極限着弾』
10位・・・・『透明人間』
11位・・・・『リチャード・ジュエル』
12位・・・・『マザーレス・ブルックリン』
13位・・・・『エジソンズ・ゲーム』
14位・・・・『ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密』
15位・・・・『ペット・セメタリー』
16位・・・・『ライブ・リポート』
17位・・・・『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒』
18位・・・・『ポップスター』
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