『LAMB/ラム』(ネタバレレビュー)アイスランドの羊、怖い。ラストはやっつけ仕事じゃないのか!怒

こんばんは、ジャスミンKYOKOです。

怖い牧場の映画と聞いて、早速行ってきました。

「羊から羊じゃない何か」が生まれたことは、きっかけにしか過ぎなかった。

それを疑問にも思わず育てていく夫婦。

子供を失った喪失感の中、人里離れた牧場で、住んでいるのは自分たちだけ。

誰も咎める人はいない。好奇の目にさらされることもない。

そうなる土壌は揃っていてなるべくしてなった事態だが、「えーーどうなるの?どうなるの?」セリフも少なく、物語の展開もゆっくり進むため、最後までどうなるか予想がつかず、妄想力がかきたてられた。

しかし、面白かったのはそこまで。

ラストは、「えーーーーーーーーーーー!それ!?そんな締め方!?」

散々ハラハラさせながら、展開の演出に凝りすぎた疲れからか、ラストはやけくそ!?で終わらせたんじゃないかと思うほど、しょうもない終わり方だった。

途中がよかっただけに、ほんと残念。

怒りよりあきれかえった映画館の帰りであった。

ストーリー

アイスランドの山間の人里離れた牧場で暮らす、イングヴァルとマリア(ノオミ・ラパス)の夫婦。

ある日、羊の出産を手伝った時、”羊ではない何か”が生まれる。

子供を亡くした喪失感がそうさせたのか、妻のマリアは、それをごく自然に育てようとする。

妻の精神状態が安定するならとイングヴァルも指摘せず、一緒に育てていくうちにかわいがるようになっていく。

数年が経ち、2人のタブーへの気持ちは薄らいでいき、それが当たり前になった頃、予期せぬ訪問者が現れ、平穏な生活は終わりを告げようとしていた。

⇩ここから先はネタバレレビューです。見る前は読まずに少ない情報から妄想を楽しみましょう。

アイスランドの羊デカすぎ、怖すぎ

羊が1匹、羊が2匹・・・・。

眠れない夜に羊を数えている時、こんな羊だったら余計に眠れないんじゃないだろうか笑。

この映画に出てくる羊は、アイスランドの固有種の羊だそうで、通常の羊より何倍もでかくて、顔も怖い。

こんなのがいっぱいいる牧場に夫婦2人だけなんて、怖すぎるし、世話も大変だろう。

ヤギより、羊の方が毛も取れるし、肉にもなるし、乳も取れるしで、お金になるのかな。

春にはたくさん子羊が生まれていいねという、ほんわかした気持ちしかなかったけど、この夫婦が次から次に生まれる羊のお産を一日中手伝っているのを観たら「た、大変!!」(けっこうその手伝いシーンが長い)

勝手に生まれてくれたらいいけど、何頭もいるのを全部手伝ってたら、もうヘトヘト通り越してイヤになりそう。

その羊じゃない何かが生まれてくるまで、そんなことを考えながら観てた。

夫婦2人の異様な世界

羊のおなかから生まれた羊ではない何かは、顔が羊で首から下は人間の赤ちゃんだったのだ。

それを生まれた一瞬は驚いたものの、マリアはその何かを家に連れ帰り、お風呂に入れたり、毛布にくるんだりして、ごく自然に世話をしはじめる。

一人娘を亡くした喪失感から立ち直れていないとしても、異常だ。

人間が生まれていたならまだわかるけど、顔だけ羊なのだ。

前の彼女に戻ってくれるならと、マリアの異常性に気づいてながらも、夫のイングヴァルは黙認してしまう。

彼もそれだけ、心ここにあらずな彼女を見ているのが辛かったんだと思う。

夫婦2人しかいない牧場だから、気が紛れることもないし、彼女の憂鬱がそのまま家の中に漂っているだろうからね。

イングヴァルは、1人で農業用機械を運転しながら泣いていた。

情報を与えず見る人に考えさせるのは素晴らしい

映画の冒頭から、夫婦の会話がほとんどない上に、他に人もいないから、ただ羊の鳴き声や、機械の音くらいしかない。

2人の少ない会話の中から、読み取るしかないのだ。

過去に戻れるタイムマシンが出来たらしいというニュースをイングヴァルが食事中にマリアに話し、マリアが「昔に戻れたら」などと話す。

この2人は子供を亡くしたか、出来なかったんだろうなとか、色々推測。もしくは、あまりにもの牧場の大変さにこれを知らなかった頃の自分に戻りたいとか・・・。

納屋からイングヴァルが使い古されたベビーベッドを出して来た時点で、「やっぱり子供を亡くしてたか」と確認。

その半分羊の子に、亡くなった娘の名前「アダ」と名付け、育てていく。

⇧イングヴァルの弟、ペートゥル。

数ヶ月後か数年後(半分羊だから成長が早いのかもしれないし)、イングヴァルの弟が現れ、2人にアダをごく自然に紹介され、驚く。

驚くよね、そりゃあ。

私はたんたんと続く物語が、この弟の出現でガラリと変わるんだなと思ったらちょっとワクワク(少しゆっくり流れすぎて退屈してたからね)。

あんなに自然に紹介されたら、自分だけが羊に見えるのかと思っちゃうよね。

驚きすぎた弟がしばらくは黙っていたが、ついに食事中に口を割る。

「あれは、いったい何なんだ?」

2人は答えることなく、兄のイングヴァルは、もうこの頃には染まっていて、「どんだけ居てもいいが、俺たち家族のことにとやかく言うな」と釘を刺す。

アダのせいで、この2人はおかしくなってしまったと思った弟は、ある日の早朝、アダを黙って連れ出し、撃ち殺そうとするが、無垢なアダの目にほだされ、殺すことができず、そのまま帰ってくる。

異常で、しかし静かな日々は終わりを告げる

3人とアダの平和な日々はしばらく続くが、以前マリアと付き合っていた弟は、彼女の裸を観て気持ちが再燃する(付き合ってたとは明確にはわからないが、イングヴァルに隠れてマリアに言い寄る姿がたぶん元カノだったと予想できる)。

つれないマリアに(そりゃそうだ)、イラッとした弟。脅迫まがいに口走る。

「アダは知ってるのか? あんたが母親を殺したこと」

アダを取り上げられた母羊が追い払っても追い払っても、毎日毎日、家の前で泣き続けていたため、ストレスマックスになったマリアは、ある日、母羊を遠くに連れて行き、撃ち殺して埋めたのだった。怖っ。

家に居候になる前、弟はその一部始終を見てしまっていたのだ。

ゲー言っちゃったよ、弟さんよ。

弟がアダに話すのを恐れたマリアは、イングヴァルとアダが出かけたスキに唐突に弟を家から追い出す。(私は弟も殺して埋めるんじゃと思ってたからここはホッ)

子を失う気持ち、マリア自身が一番わかっているはずなのに。一度失ったものを取り返せたと思った時、すさまじいほどの執念が生まれてしまうんだろうね。

やっつけ仕事をするんじゃない!ひどすぎるラスト

ラストがひどすぎた・・・・・・。言葉が出ないくらいあきれた笑。

ここまで観る人を考えさせといて、ラストにそれはないだろ。

やっつけ仕事をするな!!(怒)

マリアが弟を追い出すために、遠くのバス停まで送っていった時。

イングヴァルとアダは、壊れた農業機械を直しに、弟が機械を放置した場所まで歩いて行っていた。

突然、銃声がしてイングヴァルが血まみれになって倒れる。

え、え??どういうこと?アダが母親を失った痛みをマリアに味あわせたいから撃ったの??

すると、呆然とするアダの隣にライフルを持って立っていたのは、頭だけ羊の体は人間の大人の男。

しかもそいつは、毛むくじゃらのフリチンだったのだ・・・・・・・!!(全裸)笑笑

瀕死のイングヴァルを置いて、そいつはアダを連れて去っていった。

戻ってきたマリアは、絶命したイングヴァルを発見、アダも見当たらない。唸り声に似た泣き声が牧場中に響き、映画は終了。

え・・・・・・???こ、これで終わり?? あの羊男は何?なんで急に現れたの??

完全に映画館の観客は置いてきぼり笑。

マリアよ、こっちが泣きたいよ・・・・・・・・・・・・・・・・・。

ジャスミンKYOKOの煩悩だらけの映画トーク

散々考えさせといて、その結末はないだろうよ。

アダが殺したのなら、まだわかるよ。

今まで一回も出てこず、思ってもみない登場人物が急に現れ、それがフリチンの羊男で、主人公の夫を殺したかと思うと、映画がそれで終わるなんて。

締め方がザツすぎる・・・・・!!!

やっつけ仕事をするな!!!!

この記事を書くにあたって、「フリチン」と「フルチン」どっちが正しいのか、ネットで調べた私もしょうもなさすぎる・・・笑(結果、どっちも正しかった笑)。

帰りに友達に「なんであの羊男が現れたんだろうね」と脱力しながら聞くと、「思うにアダの父親なんじゃないですか?」

「え?そんなシーンあったっけ?」

「一番最初に、羊の小屋に夜、変な風が吹いて羊たちが恐れおののいたシーンがあって、1匹の羊がうずくまったでしょう?あのシーンが羊男が来て身ごもったんじゃないかと」

そうか!!そんなシーンあったな!!

「私はマリアがあんまり暗いから、イングヴァルが羊に禁じ手※をやったのかと思ってた!」

※人間が羊を犯すこと。獣姦。

友達、爆笑。

ラストもラストだが、私の考察もひどかった・・・笑。

確かに冒頭に、映画『ダーク・アンド・ウィケッド』の中の悪魔が降臨した牧場のように、羊たちがおののき、気持ち悪い風が吹いた時があった。

悪魔の仕業だったのか・・・。それとも、彼らを試そうとした神だったのか。

それにしてもアダを取り返しに来るぐらいなら、母羊が産んだ後に、すぐ迎えに来ればよかったじゃないか。

2人が情が湧くまでほっといたのは、お前の方だぞ!それを殺すなんて・・・・!

しかし、期待してただけに、この結末はひどすぎて、どっと疲れが出たよ。

この映画をよかったというやつの考察を聞いてみたいものだ。

途中までの考えを巡らせる経過がよかったのが幸いして、このランキングになりました笑。

映画『LAMB』のキャスト

@『LAMB/ラム』(2021年 アイスランド/スウェーデン/ポーランド)

マリア・・・・・・・ノオミ・ラパス

イングヴァル・・・・ヒルミル・スナイル・グドゥナソ

ペートゥル・・・・・ビョルン・フリーヌル・ハラルドソ

【2022】ジャスミンKYOKOの映画私的ランキング

1位・・・・・『トップガン マーヴェリック』

2位・・・・・『マークスマン』

3位・・・・・『潜水艦クルスクの生存者たち』

4位・・・・・『ハウス・オブ・グッチ』

5位・・・・・『流浪の月』

6位・・・・・『エルヴィス』

7位・・・・・『キングダム2 遥かなる大地へ』

8位・・・・・『アキラとあきら』

9位・・・・・『グレイマン』

10位・・・・・『バーニング・ダウン 爆発都市』

11位・・・・・『スティルウォーター』

12位・・・・・『ギャング・オブ・アメリカ』

13位・・・・・『LAMB』

14位・・・・・『ジュラシック・ワールド 新たなる支配者』

15位・・・・・『クライ・マッチョ』

16位・・・・・『海上48hours -悪夢のバカンス- 』

17位・・・・・『ザ・ロストシティ』

18位・・・・・『ヒットマンズ・ワイフズ・ボディガード』