『RUN』(ネタバレレビュー)サイコな母から逃げられるか?全編ハラハラドキドキ、心身疲弊します

こんばんは、ジャスミンKYOKOです。

ヒャー怖かった!!

こんなイッてるお母さんっている?

車椅子の娘のクロエちゃんの必死の逃亡に、観ているこっちがハラハラしっぱなし・・・・!

たくさんの持病を抱え車椅子がなければ生活できない娘を熱心に介護していた母親へのふとした疑問から驚愕の事実を知った娘と異常なまでに娘に執着する母親のサイコスリラーです。

子供はいつか巣立つもの。

のめり込んでるお母さんもよくいるけれど、「自分の人生」をないがしろにするくらいだったり、子供の自由を奪うほどに心血注ぎすぎてはいけない。

たぶん、昔の子だくさんな家庭はいい意味で、全員に手が回らなくて「ほったらかし」だったのが良かったのかもしれない。自立心も育つからね。

今は少子化で、子供一人一人に目が行き届きすぎるのがいいのか悪いのか子供に口出ししすぎて、失敗を未然に防いでしまい、結果自分で失敗を乗り越えられない打たれ弱い子供になってしまうようなことも多い気がする。

親である人は、子供が自分を頼らなくなった時、自分はどうなってしまうのか、どうするのか考えるのにいい映画です。(考えるにしては恐怖が先行しますけど笑)

とにかく、お母さんが怖い!




ストーリー

アメリカの郊外の田舎町の一軒家に住むダイアンとクロエの母娘。

大学に合格したら一人暮らしをする予定の一人娘のクロエは、もともと足が不自由で車椅子の生活の上、喘息持ちで糖尿病も患っていたが、献身的な母の手厚い看護により快適に暮らしていた。

あることに気づくまでは・・・。

このお母さんの恐怖を最大限に味わうためには、何も知らずに見たほうが楽しめます。

私も驚きまくりました。その恐怖を語るには、ネタバレレビューしかない!

以下ネタバレレビューです。

 

お母さん怖すぎ!

一人娘のクロエは、春から始まる一人暮らしを楽しみに大学から届く合格通知を待つ日々。

ある日、買い物から帰った母親がテーブルに置いていたスーパーの袋から大好きなチョコを内緒で取り出そうとしたら、母親の名前の緑色の薬が入ったボトルを見かける。

その時は気にも止めなかったが、食後に自分の飲む薬がその緑色の薬に変わっていたのを不思議に思い、母に尋ねるが「今度からこの薬に変わった」と言う。

母親の名で処方された薬を、なぜ私に??

手厚い看護と栄養管理の行き届いた食事、献身的な母の優しさを何も疑問に思うことなく18歳まで暮らしてきたクロエに初めて生まれた疑問。

翌日、母親がいないスキに薬のボトルがある棚から薬を取り出し見てみると、母親の名前だったラベルはクロエに貼り替えてあり、疑念が深まる。

クロエの部屋は二階で、電動で車椅子ごと降りる昇降機が階段に取り付けられている。

その日渡された薬を飲んだふりして取っておいたクロエは、夜中に1階のパソコンで母親に見つからないように調べようとする。

もうーーー見ていて心臓の奥が痛くなるほどハラハラする。

車椅子だから、1階に降りるのもハードルなのに、音を立てずに降りる大変さ!手に汗握るってこのことねーーっていうくらいスクリーンから目が離せない。

そこまでして降りたのに、ネットが切断されている。ギャー狂いそう!

スマホを持たせてもらってないし、近所には家がないアメリカの田舎あるある。

母親が庭仕事をしているスキに、電話で薬局にかけるも番号表示でダイアンの家の者だと薬局の人にバレてしまい、すぐ切電。

あー番号表示ってこういう時、最悪やん。もうイライラするーーーー。

お母さんの庭仕事と固定電話の前にいるクロエを代わる代わる見せる写し方がもう恐怖。

「はよーはよーはよーーー 繋がれーーーーー」(こういう時脳内は方言笑)

こういう時、電話をかける友達もいないってことは、お母さんに他人との接触も遮られてきたんだろね。

 

娘が驚愕の事実を知る

電話もインターネットでも事実を知ることができなかったクロエは、母親が一緒に映画に行きたがっていた事を思い出し、街の映画館に誘います。

映画中に「トイレに行く」と母親に言って、映画館の向かい側にある薬局に全速力で向かうも、薬のカウンターは長蛇の列。

コノヤロー、行く手行く手を毎回遮ってくれるよね!まったく!!(怒)。

待っていては母親に感づかれると思ったクロエは、わざと咳き込む。

車椅子のクロエにみんな順番を譲ってくれたので、ようやくカウンターにたどり着くも「母親であっても個人情報なので処方された薬の情報は教えられない」

出たー!!個人情報!!

子供が必死の形相して聞いてんのに、そこはなんとかならんのか。

顔なじみの薬局なので機転を効かしたクロエは母娘でクイズをやってるといい、薬の名前を検索してもらい、何の薬かやっと教えてもらったが・・・。

「犬などの動物に与える筋弛緩剤」だった・・・・・!!

もともと足の悪いクロエが飲んでいい訳もなく、全幅の信頼を寄せていた母親が自分の足をもっと動けなくする薬を与えていたことにショックを受け、クロエは過呼吸になり喘息の発作を起こしてしまう。

そこになかなか戻ってこない娘を不審に思った母親が薬局に駆けつけ、「最近薬の影響で妄想が激しいから」と無理やり鎮静剤を打ち、足早にクロエを連れ去ってしまう。

お母さんそんな注射持ち歩いてるのが怖い!。薬の内容を知ってしまったのに連れ戻されちゃったよ、どうなるんだー!!

 

予想を裏切るもっとすごい結末が待っていた

連れ戻されたクロエは、二階の部屋に閉じ込められ、ドアにはストッパーがかけられた上、昇降機のコードも引きちぎられ、一階に降りることもできない状態。

ここでちょっとワクワクするのは、クロエちゃんが、工学に興味がある娘だったこと。

電気を流して窓ガラスを割ったり、実験に使う丈夫なコードを体に巻いて命綱にしたりと、なかなかサバイバル術を見せてくれて楽しい。

両足が動かないので、屋根伝いに移動するのも這ってだから大変!!いつ母親が帰ってくるかもしれない状態に見ていてキツイ。

怪我だらけになりながらも、大きな道までやっと出たのに、戻ってきた母親と遭遇。郵便配達のおじさんに助けを乞うも、母親の話の方を信じようとするおじさんに絶望。

しかし傷だらけのクロエの必死の形相にただならぬ雰囲気を感じたおじさん、クロエの保護をかって出るも油断して母親にやられてしまう・・。ギャーそこまでやるか!

しかし郵便局のおじさんが戻ってこないなら、すぐ怪しまれるよ・・・。海外の郵便屋さんは多少自由度が高いかもしらんが・・。

地下室に閉じ込められたクロエが知ってしまったもの。

未熟児だった彼女を必死で育てた挙げ句に愛情が過剰過ぎてこうなってしまったのかとクロエも私たちもそう思ったけど、事実はもっとサイコだった。

実の娘の死亡証明書が出てきたのだ。

未熟児だった実の娘は生まれてすぐに亡くなり、心身が壊れた母親はこともあろうに病院の新生児室から他人の子供を誘拐し、自分の子として育てたのだった。

しかも一生自分を必要とするように、健常者だった赤ちゃんに薬を与え続け、足を不自由にし、糖尿病と思い込ませ、喘息の症状が出る薬も与えていたのだった。

全幅の信頼を寄せていた母親は他人だった・・・・・しかも誘拐犯!



ジャスミンKYOKOの煩悩だらけの映画トーク

いやー予想外の展開に衝撃でした・・・・。

ある意味、誘拐犯だったのでホッとしたのもあるかな。

実の母親が娘を引き止めたいがためにここまでやったとしたら、もう絶望でしかないもんね。

「他人」だったから、クロエももしかしたら立ち直ることができるかもしれないよね。

未熟児が生まれた母親の若い頃のシーンから始まり、栄養管理の行き届いた食事を与え献身的に世話を焼く母親と仲睦まじい娘の日常を冒頭に見せることで、愛情の過多から来たもんだと観客にも疑うことをさせないストーリー展開。

ラストにまさか「他人の子供を誘拐してたなんて!しかも健常者を!」と観客共々驚かせるという上手い映画だった。

アメリカの地下室はもう、「恐怖」でしかないわね。

ホラーとスリラーばかり観てきた私は地下室を怖いと思いつつ、一方で映画かぶれとしてその怖い地下室を持ったアメリカンな家に住みたいと思う笑。

恐怖におののきながら、あの地下室で爆音を上げながら洗濯機を回してみたい矛盾(アメリカの洗濯機は静かなイメージなし笑)。

サイコな母親の弱点、それは「娘を失うこと」。

この地下室から逃げるためには病院に担ぎ込まれることしかないと思いついたクロエは一か八か命を掛けて毒を飲み、救急車で運ばれるが飲んだ毒が悪かったのか、声が出ない。

自殺と思い込んだ病院はペンさえも貸してくれず、母親の恐怖を看護師さんに伝えられなくて、観ているこっちもキツすぎる!!

最後はどうにか病院が気づいてくれて母親は逮捕されるんですが、もうすべてがうまくいかなくて、ほんと心身ともに疲弊した映画でした。

子供の頃は、「親がすべて」。

でもその親が間違っていることは大なり小なりともあるものです。それに物言いはじめるのが「反抗期」。

でもその「反抗期」が「自立」にとても大事だったりする。

親の立場にしてみれば、「反抗期」はちょっとツライけど、「親の生き方」とは違う「自分の生き方」を模索してる期間とでも思い、押さえつけようとしないことが肝心です。

中学生の間に小出しに不満を出させておくのが大事かもね。

うちも「サボり」に「タバコ」思春期あるある、ありました♪

こういう時、不良マンガをたくさん読んでると、子供の前では一応親のパフォーマンスとしてガミガミ怒りつつ、内心「やるね 思春期あるあるを通ってるね」と思うことが出来ますよ笑。

不良マンガなどを読まずに健全な親すぎると、こういう反抗期の出来事に子供の人格そのものを否定したり押さえつけてしまって、その欲求や不満が成人以降爆発してしまう可能性があるから危険。

不良マンガは「悪いことに憧れちゃう」若者の心理を理解するのにいい教科書です。

ラストは、警官に撃たれ刑務所の病院にいる母親に、クロエの復讐が始まるところが恐ろしい・・・。

面会に行くから「えっ あんなことされてたのに許したの?」って思ったらとんでもなかった。

自分が飲まされていた薬を面会の度に与え続けていたのです。(7年後の設定だったから、まだ入院してるのはおかしいから、たぶんそう)。

ある意味「他人」だからここまでできるのかもね・・・うーん怖いよクロエちゃんも^^;。

やはりこの前観た『インヘリタンス』と同様「人生の時間を奪われること」は、一番「復讐の材料」になるよね。

このお母さん役も怖かったけど、娘役の彼女も恐怖におののいた表情がうまかったー!!彼女は私生活でも車椅子を使う新人女優で、車椅子の使い方が自然だったのも納得。

あーーーー最後の最後まで怖かった。

 

映画『RUN』のキャスト

@『RUN』(2020年 米)

ダイアン・・・・・・サラ・ポールソン

クロエ・・・・・・・キーラ・アレン

 

【2021】ジャスミンKYOKO 映画私的ランキング

1位・・・・・『ラスト・フル・メジャー』

2位・・・・・『KCIA 南山の部長たち』

3位・・・・・『ヤクザと家族 The Family』

4位・・・・・『グリーンランド 地球最後の2日間』

5位・・・・・『ある人質 生還までの398日間』

6位・・・・・『ビバリウム』

7位・・・・・『RUN』

8位・・・・・『インヘリタンス』

9位・・・・・『アオラレ』

10位・・・・・『キル・チーム』

11位・・・・・『ミアとホワイトライオン 奇跡の1300日』

12位・・・・・『秘密への招待状』

13位・・・・・『アウトポスト』

14位・・・・・『聖なる犯罪者』

15位・・・・・『ジェントルメン』

16位・・・・・『ノマドランド』

17位・・・・・『キング・オブ・シーヴズ』

18位・・・・・『AVA/エヴァ』

19位・・・・・『テスラ エジソンが恐れた天才』

20位・・・・・『Mr.ノーバディ』

21位・・・・・『カポネ』