『アウシュビッツ・レポート』ごく普通の人間に宿る狂気を呼び起こす”戦争”と”情報操作”

こんばんは、ジャスミンKYOKOです。

『アウシュビッツ・レポート』を観てきました。

「過去を忘れる者は、必ず同じ過ちを繰り返す」

こんな言葉から始まる本作。

アウシュビッツは、第二次世界大戦時ナチスドイツがユダヤ人の大量虐殺を日常的に行っていた、恐ろしい収容所です。

それは太古の昔のことではなく、現在からまだ100年も経っていないのです。

昔から繰り返し行われてきた大量殺戮。それはおおいなる偉業や革命のもとに行われてきたことが多かった。

ただこのホロコースト(ユダヤ人の大量虐殺)は、お互いの独立や覇権を争った戦闘でもなく、理由がない一方的な虐殺だった。

強制連行し、システマティックにガス室に送って殺すだけなので、短期間に信じられない数のユダヤ人の命が奪われた。

1分間に2人の計算で、実に600万人に上るユダヤ人が殺された恐ろしい悲劇を毎日目の当たりにしてきた遺体記録係のスロバキア人の2人が命がけで脱走し、真実を世界に伝えた実話を映画化。

彼らの決死の行動によりハンガリーからまさに収容所に送られようとしていた12万人のユダヤ人を救うことができたのだ。

私は第二次世界大戦を題材にした戦争映画はよく観てきたけれど、ホロコーストはあまりにも残虐すぎて、あまり観てこなかった。

でもこの映画を観て、色々調べることが出来て勉強になったな。

殺されたのも殺したのも戦争前は普通の人間だった。

そこが一番「戦争」の怖いところだと思う。

最初から展開早いので映画としても面白いです♪




ストーリー

第二次世界大戦時、ナチスドイツは「民族浄化」を掲げ、ユダヤ人や身体障害者、精神障害者を次々にアウシュビッツ収容所(ポーランド)に送り込んでいた。

そのアウシュビッツ収容所の中でももっとも虐殺された人数が多いビルケナウ収容所にいた遺体の数を記録する係に従事させられていたスロバキア人のアルフレートとヴァルター。

彼らは、この惨状を連合軍(ドイツ以外のヨーロッパ・ロシア・アメリカなどからなる連合国)に伝えるべく、命がけで脱走する。

1分間に2人殺される計算。脱走に時間がかかればその間に数万人が殺されていく。

2人の決死の逃走劇と報告の苦悩、事実を世界に知られたくないナチスの執拗な捜索と、残った仲間への拷問を描いていく。

 

民族浄化という恐ろしい目標を掲げたナチス・ドイツ

自分たち(アーリア人)以外の人間を浄化するという考えがまずもって異常。

しかも完全体の人間だけを遺伝させていくという方針で、身体障がい者や精神障がい者を施設に入所させると家族に言って、実はガス室に送っていた。

私はユダヤ人だけを虐殺していたと長い間思っていたから『ある画家の数奇な運命』の映画を観るまで知らずに本当に驚いた。

それにしてもなぜ、ユダヤ人が狙われたのか。

第一次世界大戦の賠償金と不況で苦しんでいたドイツは、人々の政治への不信感を他に目を向けようと、宗教上の理由でヨーロッパで前々から差別されていたユダヤ人へ憎悪を向けさせはじめた。

※「キリスト教」上での救世主イエス・キリストの存在を認めない「ユダヤ教」を信じるユダヤ人を嫌悪する風潮は昔からヨーロッパに存在していた。(キリスト教はユダヤ教から派生した宗教)

彼らが何をしたわけでもなく、人々の目を政治からそらすためだけだったのだ。




拷問や殺害をしていた人間は戦争前までは普通の人


大戦前までは普通の人だったのに、収容所に派遣されたドイツ人は、尋常じゃない数のユダヤ人を殺しまくります。

最初は重労働に課した後に銃殺刑にしていたが、ユダヤ人の集団が収容所に着いたとたんに全員を殺す日もあるなど、殺し方もまちまちで、殺しを楽しんでいたふしがある。

映画では、理由もなく連れてこられたユダヤ人が、すべての所持品を取り上げられ、番号で管理され、顔色が悪かったり病気になるとすぐにガス室行きの対象になるなど、人間として全く扱われることのない収容所での生活が詳しく描かれている。

国を危機に陥れたわけでもない人を最初に殺す時は、躊躇くらいしたのだろうか。

そう感じるくらい虫けらのようにユダヤ人を扱うドイツ兵。

ドイツ政府は、収容所送りが始まる前に、庶民に徹底的にユダヤ人を差別するように仕向けた報道や法令を流し、その情報を植え付けられた彼らは、とうとうユダヤ人の生活を妨害したり、商売を邪魔し始める。

収容所はその最終段階なので、その頃には政治の情報に完全に洗脳された後だからもう躊躇なんてしなかったのかもしれない。

倉庫に投げ込まれたおびただしい裸の死体が衝撃的でした。

ガス室に送られなくても、不衛生で食事もまともに与えられずに重労働を課せられた上、ポーランドの厳しい寒さに耐えられず死んで行く者も多数いた。

いつの時代も、政治から目をそむけさせるために、作られた事件や情報などは存在してきた。

コロナもそうでないことを祈るばかり。(映画好きはついそう考えます)

2021年7月現在で新型コロナでの全世界の死亡者数は450万人。

この未曾有の伝染病での死者数より、人の手で理由もなく虐殺されたユダヤ人の方がまだ多いなんて本当に信じられないよね(ユダヤ人は約600万人虐殺された)。

 

あまりの虐殺者数に信じてもらえない

命がけで脱走してきた彼らの話を、赤十字社のお偉方は、あまりもの短期間での死者数と残虐非道なやり方に最初は信じてくれない。

彼らは、収容所で働かされている人たち宛にたくさんの支援物資を送っていて、まさかそれがユダヤ人にはまったく回ってないことを信じたくなかったのだ。

脱走したアルフレートとヴァルターの懸命な努力で、ハンガリーから収容所に送られるはずだったユダヤ人を連合国が止め、延べ12万人もの命を救うことができた。

脱走出来ただけで奇跡的なのだから、最初の目的を守らずにひっそりと暮らしていくことも出来ただろうに、この2人は同じユダヤの仲間を救うべく、勇気を出し途中で諦めることなく赤十字社に掛け合い続けたのが本当にすごい。

 

ジャスミンKYOKOの煩悩だらけの映画トーク

ようやく逃げ出せたのに、彼らは休むこともなく、ちゃんとした靴もないまま、森林を走り続けます。

1分に2人が殺されることを把握していた記録係の彼ら。

殺されるユダヤ人を一人でも多く救うためにとにかく急ぐ姿に胸が痛くなります。

そんな使命を持っていても、収容所からある程度離れた時に、安堵から泣き崩れるのを観て、殺される日が今日なのか明日なのかを毎日考えながら暮らす驚怖がいったいどれだけのものだったか、思い知らされる(そうは言っても彼らの感じた驚怖の100分の1さえも分かっていないだろう)。

こんな映画が上映されていても、未曾有の伝染病が猛威を振るう中、アフガニスタンの人々を驚怖で支配しようとしているタリバンのニュースなどが駆け巡っています。

「過去を忘れる者は、必ず同じ過ちを繰り返す」

映画の冒頭の言葉のように、人間はあとどれだけ過ちを繰り返しながら生きていくんだろう。

エンドロールには、エンディングソングの代わりに、各国の歴代首相や権力者の人種差別を促すような発言をした色んなスピーチが音声だけ流れていきます。

ナチスドイツとなんら変わらない情報操作や、無意識のうちに人々に差別感情を刷り込んでいく危険を観客に問いかけているようでした。

うーーー人間が一番怖い。ずっしり来ました。

 

映画『アウシュビッツ・レポート』のキャスト

@『アウシュビッツ・レポート』(2021年 スロバキア・チェコ・ドイツ・ポーランド)

アルフレート・ヴェッツラー・・・・・ノエル・ツツォル

ヴァルター・ローゼンベルク・・・・・ペテル・オンドレイチカ

ウォレン(赤十字社)・・・・・・・・ジョン・ハナー

ラウスマン伍長・・・・・・・・・・・フローリアン・パンツナー

 

【2021】ジャスミンKYOKOの映画私的ランキング

1位・・・・・『ラスト・フル・メジャー』

2位・・・・・『KCIA 南山の部長たち』

3位・・・・・『ヤクザと家族 The Family』

4位・・・・・『プロミシング・ヤング・ウーマン』

5位・・・・・『グリーンランド 地球最後の2日間』

6位・・・・・『ある人質 生還までの398日間』

7位・・・・・『ビバリウム』

8位・・・・・『RUN』

9位・・・・・『インヘリタンス』

10位・・・・・『ワイルド・スピード JETBREAK』

11位・・・・・『アオラレ』

12位・・・・・『キル・チーム』

13位・・・・・『ミアとホワイトライオン 奇跡の1300日』

14位・・・・・『秘密への招待状』

15位・・・・・『アウシュビッツ・レポート』

16位・・・・・『孤狼の血 LEBEL2』

17位・・・・・『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』

18位・・・・・『アウトポスト』

19位・・・・・『聖なる犯罪者』

20位・・・・・『ジェントルメン』

21位・・・・・『ファイナル・プラン』

22位・・・・・『ドント・ブリーズ2』

23位・・・・・『ゴジラVSコング』

24位・・・・・『ノマドランド』

25位・・・・・『キング・オブ・シーヴズ』

26位・・・・・『AVA/エヴァ』

27位・・・・・『テスラ エジソンが恐れた天才』

28位・・・・・『Mr.ノーバディ』

29位・・・・・『カポネ』




コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA