『OLD(オールド)』(ネタバレレビュー)謎を解くより経過が面白い!シャマラン、アッパレ!

こんばんは、ジャスミンKYOKOです。

もし、一日で50年時間が過ぎるビーチに来てしまったら・・・・??

映画『OLD(オールド)』を観てきました♪

ナイト・シャマラン監督、久しぶりにアッパレ!です笑。(失礼な)

彼の作品は、CMがすごく魅力的で映画館に行きたくなるけど、「ハズレ」が多い笑。

「王様のブランチ」でLiLicoさんも言ってたが、「シャマランは調子いい時と悪い時があるんですよねー笑、今回は調子がいいみたいです!」

・・・笑。 その通り!

残念ながら、物語のオチは開始早々私は分かってしまったけれど笑、そこじゃないの、この映画は。

経過を楽しむ映画です。

ホラー(どっちかというとスリラー)映画にしては登場人物少ないからどうなの?と最初思ったが、(ホラー映画にはよっぽど出来がよくない限り結構死ぬ人数必要笑)、そんなことはなくうまく出来てた。

30分で1年年取る、「高速老化」を味わったら出てくる「弊害」がすっごく面白いのだ!

コロナ禍においても重要なメッセージがある映画で、シャマランこんな時期になかなかやるなと思ってしまった(上から言うな)。



ストーリー


穴場のリゾートに訪れた複数の家族。

あまり人に知られていないプライベートビーチがあると知り、時間を忘れて過ごそうと訪れる。

しかし、そこは30分で1年が経ってしまう、恐ろしいビーチだった。

それに気づいた時、脱出方法を考えるが、不思議な力で抜け出しすことが出来ず、子どもたちはみるみるうちに成長し、大人たちは急速に老化の一途をたどっていく。

何が原因なのか、ここを抜け出すことが出来るのか?

ここから先はネタバレレビューになっています。

ナイト・シャマラン作品は、ほとんど何も情報を仕入れず観た方が楽しめますよ♪

 

時間を忘れて過ごすはずが、とんでもなく時間が過ぎるビーチだった!


⇧ガイ(左)、プリスカ(右)の夫婦。

ガイ(ガエル・ガルシア・ベルナル)とプリスカ(ヴィッキー・クリープス)の夫婦と子供2人の家族は、久しぶりのバカンスで、海沿いのリゾートでゆったり過ごそうとしていた。

ホテルに着いた翌日、何組かの家族と共にプライベートビーチへ。

ホテルの支配人から「あなた方にだけ教えます。誰にも邪魔されないいいビーチがあるんですよ」と言われてビーチに行くことになるけど、まずそこが間違い笑。

「あなただけに教える」っていうのは「詐欺」の常套句じゃない、何ひっかかってるのよー。色んな人に毎回言ってるに決まってるじゃないのーー。

ドライバーが送った場所は「立ち入り禁止区域」の金網があって、そこを抜けてビーチへいくトンネルに入る。

お願いだから、そこでスマホがつながるか、確認して!!。ホテルの支配人が「立ち入り禁止エリア」を案内した時点で怪しいじゃないのー!行ったらダメよ!

ホラーってこっちは分かってるからイライラするけど、普通はそんなことまで思いつかんよね笑。

ガイは子どもたちと海に入って戯れたり、プリスカはパラソルの下で読書を楽しんでいた。

子どもたちがかくれんぼをしている時に、一人の女性の遺体を発見する。

浜辺に一人たたずんでいた、その彼女と知り合いだという男は有名なラッパーで、彼女の遺体を観たとたん、鼻血を出す。(ここにちょっと笑った、なんでやねん)

このラッパーの名前にも笑った。

「ママ!あそこにミッドサイズ・セダンがいるわ!」

・・・ミッドサイズ・セダンって。(中くらいの4人乗りの車のこと)

まだね、大型車とかスーパーカーとか夢を持たせなさいよ、ミュージシャンなんだからさ笑。

楽しかった雰囲気も遺体が見つかったせいで、急に不穏な空気に包まれる。

リゾート気分じゃなくなった彼らは、警察を呼んで帰り支度をしようとするが、携帯の電波がつながらない。

ホテルの迎えのドライバーにも連絡が取れない。ほらね。

とにかく帰り支度をしようと、遊んでいた子どもたちを探すが、姿が見つからず、そこには中学生くらいの2人が立っていた。

「ママ!僕だよ」

さっきまで6歳だったトレントが13歳くらいになっていた。

何かおかしい。

両親は、自分の目の錯覚かと思うが、娘は胸が膨らんでさっきまで着ていたセパレートの水着がはちきれそう。

・・・・何かが起こっている。

親にはわかるが、ビーチにいる他人にそれを伝えようとしてもうまく伝わらない。

なんとか説明しようとしている時に、さっき流れてきた女性の遺体は白骨化していた。

「普通はこんなに早く白骨化しないわ!」

全員が言葉にならない驚きを感じてる間に、外科医の夫婦と一緒に来ていた高齢の母親が胸を抑えたまま、帰らぬ人となる。



30分で1年が終わる

急速な遺体の白骨化、高齢の女性の突然死、子供たちがあきらかに成長している。

もしかしたら、「時間」が急速に過ぎているのでは・・・??

ある程度の大人になっている人はゆるやかにしか見えないが、子どもたちの成長からすると、30分に1年は経っている計算になる。

そんなこと信じたくないけど、その計算が正しければ、早く逃げないと1日経ったら確実に死ぬ。

彼らはこのビーチからの脱出を図るが、来た道のトンネルは、進もうとすると頭が痛くなって気絶してしまい、何度も挑戦するがダメだった。

自然の力なのか、何者かのしわざなのか。考えている暇はない。老化が止まらないのだ。

このビーチは巨大な岩の断崖絶壁に阻まれていて、抜け道がなかった。

海から泳いで行った者も途中気絶して、溺れて遺体だけが戻ってきてしまう。


⇧海に出て、遺体だけ戻ってきた看護師のジャリン(右)、パトリシア夫婦。

パトリシアは、夫の死がショックで持病のてんかんを発症、亡くなってしまう。

冷静でとてもいい夫婦だったけど、こんな時だんなさんが勇敢だと、ホラーあるあるで最初に亡くなっちゃうね(泣)。

※ホラーでは、主人公以外であまりにも勇敢な人は「俺が様子を見に行ってくる」と行って、二度と戻ってこないのがありがち笑。

 

やらかすティーンネイジャー

個人的にはここが一番面白かった笑。

大人たちが脱出方法を探してる間テントの陰で15歳くらいの息子トレントと外科医夫婦の娘カラが話していたら、17歳くらいになってきたのか、なんだか二人ともムラムラした表情になってきていた。

観客の私たちは、「やばい、こいつらを引き離さないと絶対やらかすぞ・・・」笑。

案の定、次の場面で「子どもたちはどこへ行った?」と我に返った大人が呼び始めて、テントから出てきたカラのおなかはもう臨月!(30分で1年経つからね)

さっきシたことバレバレやん!!笑

30分に1年経つって騒いでるのに、この2人は脳みそ子供のままだから、よく考えずにエッチしてアホかー!

両方の親が揃ってる時にヤるんじゃねー!!笑

私が男の子の親ならその場で自決したくなるわ笑。

しかし、そこはアメリカ人だからか、「よくもうちの娘を!」ってことにならずに「無事に生まれるかしら?」

え?そこ?

アメリカのティーンあるあるだから、慣れちゃってるのかしら笑。とまたひと笑い。

30分に1年経つから、そんなこと揉めてる暇がないともう切り替えできてるんだったとしたらすごいけど、観客の私らだけが切り替えできずに大慌て笑。

赤ちゃんはソッコー生まれたが、成長の速度についていけず、死んでしまう。

そんな促成栽培だからか、カラもそこまで落ち込まず、「私たち、何の思い出もない!プロムだってまだ行けてないのに!!」

生きるか死ぬかの大問題なんだけど、そこはさすがティーン、プロム(卒業ダンスパーティ)のことの方が問題なのね!

でも、このカラの一言は、若い時しかやれない行事がことごとく中止されている、コロナ禍の若者の悲痛の叫びに聞こえた。

例えコロナが終わったとしても取り返しがつかない青春の日々に悔しくてたまらないだろうな。



仲違いしている暇はない。

そのカラも不満爆発させて、断崖絶壁を登るが、途中で気絶して落下、死んでしまった。

プリスカ(主人公夫婦の妻)は、ここに来る前好きな人が現れ、ガイと本当は離婚しようとしていたので、家族最後のバカンスに来ていたのだ。出たー!笑※

※ホラーあるある・・・主人公のカップルはだいたい別居、離婚寸前などで、危機を乗り越えることで相手を見直したり、元サヤに収まる笑。

出発直前に見つかったプリスカのガンはみるみる成長し、最初小さなしこりだったのがみるるゴルフボール大になり、あっという間にメロンのような大きさになってしまった。

外科医のチャールズに、ガイは切除を依頼する。

成長が早いので、傷口の治りも早く、ガンを取ったらあっという間にふさがってしまい、プリスカは完治。 このビーチ、ここだけはかなりいいよね。

外科医のチャールズは、母親が死んだり、娘が死んだりで、元々あった精神病が悪化し、みんなにナイフで襲いかかったが、傷口はあっという間にふさがる。(30分で1年だから。そりゃ治るだろうね)

彼はしかも、ラッパーミッドサイズ・セダンを勢いでナイフでめった刺しにしてしまう。

えーーーミッドサイズ・セダン、ものすごく怪しかったからこの映画の鍵を握ってると思ったのに、鼻血出しただけで終わりかよー笑(彼は血が固まりにくい病気だった)

チャールズもだんだん危なくなってきて、ただでさえ老化が加速して不安な時間にいつ襲われるかわからないストレス。

ガイをとうとう殺そうとしたチャールズをプリスカはサビのついたナイフで切りつけ、サビが全身に回ったチャールズは絶命する。

あーあ、殺しちゃったよ。(手術してくれた恩人なのにー、まああの時はまともだったけど)

やっぱりこういう時って人間は生きる気持ちが凄まじくなってるから、防御本能からこうなっちゃうかもね。

ホラーでは必ず、極限状態の人間同士の争いも描かれる。コロナ禍でも人間同士の争いが絶えないし、SNSで攻撃したりとストレスから意地悪をしたくなってくる人も増加中の今。

こういう時こそ助け合わなきゃってシャマランは言ってるのかな。

ガイやプリスカももう夜には、動く体力がなくなってきていた(もともと40代前半ぽかったので、夜にはたぶん70代)。

プリスカはガイに浮気したことを謝り、ガイはプリスカを許した。

許した後、ガイはすぐ認知症が始まり、もうそのこと(浮気)すらわからなくなって、ついには二人とも眠るように亡くなってしまった。

未曾有の伝染病が猛威を振るう中、仲違いしている暇はない、今仲違いしているなら早めに謝っておこう、この映画のようにあっという間に人生が終わることがあるんだよというメッセージなんだろうか。

もう残されたのは、娘と息子の2人だけ。

2人はだれもいなくなった翌日の海岸で、もう50代になっていた。

 

ジャスミンKYOKOの煩悩だらけの映画トーク


⇧ガイを演じるガエル・ガルシア・ベルナル。

久しぶりに見たけど、エンドロールの名前見るまで全然気づかなかった・・・!

えーーーもっとイケメンだったよね?? しばらく見ないうちに普通の男になってしまったガエルにがっかり。

イケメンだと、役が来ないからかしら・・・。


⇧子供より夫より、いつも自分の美を気にかけていた外科医のチャールズの妻クリスタル。

「急速老化」を味わったら、この人が一番取り乱すやろなあと思ってたら、案の定すごかった笑。

みんなに協力することもなく、一人だけソッコー洞窟に隠れてた笑。


⇧その洞窟で、老婆になったクリスタルを見ちゃって追いかけられた、ガイの娘と息子。

「この野郎、見~た~な~」って感じに追いかけてきたクリスタルが、カルシウム不足で(リゾートに来たばかりの頃しきりにカルシウムを気にしてた)、細い洞窟の壁にぶつかって、手足の骨が折れ曲がるだけ折れ曲がって風車みたいになって絶命。

・・・そんな訳あるかい。

あまりにもギャグ的な姿につい笑ってしまったが、一緒に行った友達はすごく怖かったらしい。

「あそこで笑ったんですか!」と発狂された笑。えー笑うとこじゃないのお、あれ笑。

ホテルに来たばかりの頃、支配人の幼い甥っ子と遊んだトレントは、絶望の中、その子にもらった暗号遊びの手紙を見る。

その暗号で、サンゴ礁を通ったら脱出出来るとわかり、2人はこの悪夢のビーチを抜け出すのだった。

私はガイがリゾートに来た時、つぶやいた言葉でホラーの謎に気づいた。

「あーあの製薬会社の系列のホテルなんだ」

・・・ははーーん、こりゃ治験だな。

結果はそのとおりだった。一日で人間の一生分を実験できるから、これほど製薬会社にとって格好の実験場所ってないよね。

もともと重い病気のある人を招待し、ビーチに連れ出す前に新薬の入ったカクテルを飲ませ、その薬がどれだけ効くかの経過を丘の上からずっとモニターで眺めていたのだ。(私は老化かもしくはそれを止める薬の治験かと思ってた)

あの断崖絶壁は自然のもので、頭痛や気絶がするのは特殊な鉱物が発する磁力によるもので、この急速な老化もそれが原因だった。

助かった娘と息子によって、悪事は暴かれる。そのへんは淡々と描かれて行きます。

ただ、あのビーチを抜け出したら元に戻ってほしかったのに、娘と息子はもう60歳手前。

昨日までは6歳だったのに・・・。

製薬会社の賠償金でこれから一生食べて行けるかもしれんけど、失った大切な「時間」と、「家族」と、「人生で味わうはずだった多くの経験」はもう取り戻せない。

コロナ禍で、一日一日を大事に生き、会いたい人に会える時にはすぐ会い、仲違いする暇なんてないよ、時間を大切に好きな人と過ごそう。

そんな風にシャマランは、この面白いスリラーとともに投げかけている気がした。

それと同時に、自分たちの知らぬ間にボロ儲けしている製薬会社もいるんじゃないかという裏メッセージもあるような気がしてならないね。

製薬会社の治験は、映画あるあるだから別に驚きもしなかったけど笑(どんな映画を見てるんだ)、経過の描写がとにかく面白かった♪

シャマラン次回も頼むよーーー。



映画『OLD』のキャスト

@『OLD』(2021年 米)

ガイ・・・・・・ガエル・ガルシア・ベルナル

プリスカ・・・・ヴィッキー・クリープス

チャールズ・・・ルーファス・シーウェル

クリスタル・・・アビー・リー

セダン・・・・・アーロン・ピエール

 

【2021】ジャスミンKYOKOの映画私的ランキング

1位・・・・・『ラスト・フル・メジャー』

2位・・・・・『KCIA 南山の部長たち』

3位・・・・・『ヤクザと家族 The Family』

4位・・・・・『プロミシング・ヤング・ウーマン』

5位・・・・・『グリーンランド 地球最後の2日間』

6位・・・・・『ある人質 生還までの398日間』

7位・・・・・『ビバリウム』

8位・・・・・『RUN』

9位・・・・・『インヘリタンス』

10位・・・・・『ワイルド・スピード JETBREAK』

11位・・・・・『アオラレ』

12位・・・・・『キル・チーム』

13位・・・・・『ミアとホワイトライオン 奇跡の1300日』

14位・・・・・『秘密への招待状』

15位・・・・・『OLD』

16位・・・・・『アウシュビッツ・レポート』

17位・・・・・『孤狼の血 LEBEL2』

18位・・・・・『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』

19位・・・・・『アウトポスト』

20位・・・・・『聖なる犯罪者』

21位・・・・・『ジェントルメン』

22位・・・・・『ファイナル・プラン』

23位・・・・・『ドント・ブリーズ2』

24位・・・・・『ゴジラVSコング』

25位・・・・・『ノマドランド』

26位・・・・・『キング・オブ・シーヴズ』

27位・・・・・『AVA/エヴァ』

28位・・・・・『テスラ エジソンが恐れた天才』

29位・・・・・『Mr.ノーバディ』

30位・・・・・『カポネ』