『ダ・ヴィンチは誰に微笑む』(ネタバレレビュー)アート界のどす黒い裏側に驚く

こんばんは、ジャスミンKYOKOです。

珍しくドキュメンタリー映画を観た。

ドキュメンタリーは好きだが、映画は今まで観ようと思ったことはなかった。

2017年に510億円という破格で落札された、レオナルド・ダ・ヴィンチの傑作の1つと言われる「サルバトール・ムンディ」。

最初13万円だったこの絵が、510億円になった経緯と、アート界の裏側を描く。

この絵は果たして巨匠レオナルド・ダ・ヴィンチの描いたものなのか。

その謎を追いつつ、アート界のあり方まで疑いかねない裏側が面白くて、陰謀好きにはたまらない映画だった。

この映画は、アート好きな人より、私みたいな陰謀、隠蔽、サスペンス好きな人の方がすごく楽しめると思う。

最初あたりをもっと短くすれば、もっと面白かったのに。

途中間延びして眠くなったが、後半が面白すぎてパキッと目が冴えたのでよかったです。

やっぱり怖いのは映画より「現実の世界」だと身にしみた映画だった。

ストーリー

ニューヨークのある美術商が、13万円で手に入れた1枚の絵はその後どうなったか。

2017年、100年の間行方知れずだったレオナルド・ダ・ヴィンチの最高傑作の1つ「サルバトール・ムンディ」(キリストを描いたもの)が、史上最高額510億円で落札された。

「本当にダヴィンチの作品なのか」という謎と、13万円が510億円に跳ね上がった裏側を関係者のインタビュー映像を交えてドキュメンタリーで描く。

ここから下はネタバレレビューとなっています。この事実を知らないほうが映画は楽しめます。

どうやったら金額は跳ね上がるのかという経緯が驚きだった

ニューヨークのある画商が、ネット販売で13万円で売られている「サルバトール・ムンディ」を発見し、手に入れた後、懇意の修復師に2年をかけて修復、洗浄してもらう。

親指の描き直し跡が発見されたことから、弟子ではなく、レオナルド・ダ・ヴィンチ本人が描いたものではないかと思い始める。

ちょうどダ・ヴィンチ展の準備をしていたイギリスのナショナル・ギャラリーの館長に相談してみることにした。

ナショナル・ギャラリーの学芸員たちは、もしかしたら新発見かもしれない大作に浮足立ち、通常は何年もかけて精査を行うところを4人の学者に見せただけで、レオナルド・ダ・ヴィンチの埋もれていた傑作として展覧会に出してしまった。

ナショナル・ギャラリーが認めたという肩書をつけたことで、絵の金額は跳ね上がる。

多分、一番悪いのは、最初の、このナショナル・ギャラリーの学芸員かもしれないよね。徹底的に精査してないんだから。

展示された後は、もちろん世界各国の美術研究家が食いつき、オックスフォード大学の著名な教授は「弟子の作品だ」と異を唱える。

その頃にはサザビーズ(NYのオークション会社)で8000万ドル(100億円)の値がついていたのをロシアの財閥が美術顧問に買い取らせたが、その美術顧問が、本人には1億2750万ドル(157億円)で渡し、差額を着服。

この美術顧問すごいなー、ロシアの財閥を騙すなんて度胸あるよ・・・私だったら怖くてできない笑。

この後、ロシアの財閥の男は元値を知って愕然とし、さっさと売却。(騙した男とは訴訟になる)

絵は再びクリスティーズ(NYのオークション会社)でオークションにかけられることが決まる。

誰が一番得したか

絵が本物かどうかよりいかに高く売るかが大事なマーケティング専門家たち。

彼らのの巧妙な技によって、ダ・ヴィンチの傑作だと信じて疑わない人々が作品を観て歓喜する映像をCMにして大々的に宣伝したのだ(この中にレオナルド・ディカプリオもいたため、これがまた値を吊り上げた)。

偽物と分かる前に早く売りさばきたいのもあるよね。

世界で異を唱える人が増える中、クリスティーズは、あえて古美術専門のオークションには出さず、素人もいっぱい参加する方のオークションに出す。

目利きが出来る人は、こんな噂のあるものを買ってくれないと見込んだのね、腹黒いーーー!。

そして見事に510億円で落札されたが、誰が落札したかは明かされなかった。

最初の美術商や、ロシアを騙した美術顧問や、510億円からの手数料がもらえるクリスティーズが一番得してるよね!(割合はわからんけど)

金が飛ぶ飛ぶ!!

一番怖かったのは、その落札された後

落札された「サルバトール・ムンディ」は、しばらくアート界から消えていた。

その間に、あれはダ・ヴィンチの工房作品(弟子が描いたもので同じ作品が20作くらいあるらしい)と、著名な研究家が記事を新聞に出したり、ますます偽物疑惑が浮上していた。

そんな中、サウ○ア○ビアから、ルーブル美術館にこの絵の鑑定依頼が来たことで、「ま、まさか・・・買ったのはム○ンマド皇○子か!!!世界中がどよめきます。(怖いから○してます笑)

ここで私の目がパキーーーーーーン!!

ルーブルは、国の威信と、アートの最高峰美術館のプライドをかけて、X線などを用い、ものすごく時間をかけて精査します。

そこで出た結果は・・・・・・「偽物」・・・。弟子の作品だと断定された。

ギャーどうするのよ、510億円も払って偽物掴まされたとか言えるのーーー!?

フランスのマ○ロン大統領は、この回答を文化大臣に丸投げ(国と国との問題になる上に相手はあのム○ンマドだからね※)。しかし気持ちわかるけど、大統領が丸投げしていいのかー。

※ム○ンマド皇○子・・サ○ジ政権に批判的だったサ○ジ出身のアメリカのジャーナリストが結婚に必要な書類を揃えるためトルコのサ○ジ大使館に立ち寄った時に殺させ遺体を切断させ遺棄、それを命じた張本人とアメリカが発表した。(大使館って安全じゃないの?(泣))

その回答はルーブル美術館からサ○ジに伝えられた。

石油に頼らない国を目指すために、ルーブルに負けないくらいの大きな美術館を作ったとされ、この作品はその目玉になるはずだったのだ。(やべえ、やばすぎる・・)

ジャスミンKYOKOの煩悩だらけの映画トーク

フランス大統領も正面からの回答を丸投げ、しかもこの回答を伝えたルーブル美術館も後から、「本物」と結果を覆したのだ・・・!!

どうした、館長、フランスのアートへのプライドはどこにいっちまったんだよ。

家族でも人質になったのかしら・・・。などと妄想が大変!

世界の有名な港には大金持ちが使えるフリーポートという保管庫があり(もちろん使用手数料は高い)資産に関税や取引税がかからんようになっているらしい。

多くの美術品はそこに眠っていて資産価値が上がるのを待っている。

こんな映画を観ると、私たちが美術館で観ている絵画は贋作で、本物はそういう倉庫に眠ってるんじゃないかと思っちゃうよね。

美術館の学芸員って長い間憧れだったけど、絵の鑑定に関わるような学芸員にはなりたくないなと思っちゃった笑。

そんな恐ろしい国が絡んでくるのなら美術館の館長なんかも考えものだなと本気で思った。ルーブルのバイトくらいでいいなあ(夢のまた夢笑)。

アート界の金と欲望が飛び交う裏側も面白かったけど、最後に世界最高レベルの忖度をぶちこんできたので、面白かった。

ぞっとしたけどね。インタビュー画像だけのドキュメンタリーなのに、そこらの映画より怖かった!

前半眠くなるのが惜しい。もっと短くしたらよかったね、後半がいいだけに。

@『ダ・ヴィンチは誰に微笑む』(2021年 仏)

監督・・・・アントワーヌ・ビトキーヌ

1位・・・・・『ラスト・フル・メジャー』  

2位・・・・・『KCIA 南山の部長たち』

3位・・・・・『最後の決闘裁判』

4位・・・・・『スイング・ステート』

5位・・・・・『ヤクザと家族 The Family』

6位・・・・・『プロミシング・ヤング・ウーマン』

7位・・・・・『グリーンランド 地球最後の2日間』

8位・・・・・『ある人質 生還までの398日間』

9位・・・・・『クーリエ 最高機密の運び屋』

10位・・・・・『ビバリウム』

11位・・・・・『アイス・ロード』

12位・・・・・『RUN』

13位・・・・・『インヘリタンス』

14位・・・・・『ワイルド・スピード JETBREAK』

15位・・・・・『アオラレ』

16位・・・・・『キル・チーム』

17位・・・・・『ミアとホワイトライオン 奇跡の1300日』

18位・・・・・『秘密への招待状』

19位・・・・・『死霊館 悪魔のせいなら、無罪。』

20位・・・・・『モンタナの目撃者』

21位・・・・・『ハロウィン KILLS』

22位・・・・・『OLD』

23位・・・・・『アウシュビッツ・レポート』

24位・・・・・『モーリタニアン 黒塗りの記録』

25位・・・・・『ダ・ヴィンチは誰に微笑む』

26位・・・・・『孤狼の血 LEBEL2』

27位・・・・・『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』

28位・・・・・『アウトポスト』

29位・・・・・『聖なる犯罪者』

30位・・・・・『ジェントルメン』

31位・・・・・『ファイナル・プラン』

32位・・・・・『ドント・ブリーズ2』

33位・・・・・『ゴジラVSコング』

34位・・・・・『ノマドランド』

35位・・・・・『キング・オブ・シーヴズ』

36位・・・・・『AVA/エヴァ』

37位・・・・・『テスラ エジソンが恐れた天才』

38位・・・・・『Mr.ノーバディ』

39位・・・・・『白頭山大噴火』

40位・・・・・『モスル』

41位・・・・・『キャンディマン』

42位・・・・・『カポネ』