『ダーク・アンド・ウィケッド』(ネタバレレビュー)あんな実家には帰りたくない!

こんばんは、ジャスミンKYOKOです。

・・・・こんな実家、絶対帰りたくない・・・・・笑。

久しぶりにこんなに怖い映画を観た。

私の映画人生で、最強に怖い映画じゃなかろうか。

95分しかないのに、最初から最後までずっと緊張感が漂ってたので、あまりの怖さから長く感じた。

テキサスの田舎の農場で撮った本作。

父の病状が思わしくないので、久しぶりに実家に帰った娘と息子。しかしそこは何か邪悪なもの(Wicked-ウィケッド-)に支配されていた・・・。

ほとんど家と農場だけなのに、こんなに怖い作品が出来るんだという、素晴らしい見本だった。

帰省したら、実家がこんなになってたら、たまらん・・・!!

ストーリー

父親が危篤状態のため、母は来なくていいと言ったが、ルイーズとマイケルの姉弟はテキサスにある実家に帰ることにした。

「来るなと言ったのに」

娘と息子が帰ってきたというのに、嬉しそうにするわけでもなく母親は冷たく突き放した。

父の長い介護疲れがそうさせたのだと思って罪悪感を感じる二人。

翌日母親は首を吊った。

事態を受け入れきれない彼らの前に、次々と恐ろしいことが起こり始める。

ここから下はネタバレレビューになります。ホラー好きであってもとてつもないレベルの怖さでした。何も知らない方が恐怖が倍増して楽しめます。

アメリカの農場に行けなくなるやんか

田舎の家にありがちな、使う部分の明かりしか付けない感じ。

私はこれが超苦手!!特に古くて広い家の場合。

ホラー映画を観すぎな私は、部屋を絶対明るくする。キッチンの手元だけ照らすようなのはムリなのよね。

主人公の姉弟が帰省する、テキサスの農場の実家の恐ろしげな雰囲気。

明るいカウボーイの州だとは思えないくらいとっても空気が暗いのよ。画面と主人公たちが暗いってだけでこうも変わるのかと、アメリカの農場好きの私に、イヤなイメージを与えまくりです。

母親のバージニアは、子どもが帰省してきたというのに、笑顔もなく一言も話さない。

ルイーズ(姉)とマイケル(弟)は、自分たちが父の介護も手伝わず、ほとんど帰省しなかったことが母をこうも変えてしまったのかと罪悪感に見舞われる。

その夜、母親は無言で夜中にずっと人参を切り続け、自分の指も切ったのに悲鳴を上げることもなく、切断した指を細かく刻み続ける・・・・・・・・・。

なんか取り憑かれてるやんかーーーーーー!!!

⇧その邪悪なものがやってきた最初の日かもしれない夜。

飼育小屋からヤギの悲鳴が聞こえ、オオカミよけのガラス瓶が、風もないのに激しく音を鳴らしながら揺れ動く。

ギャー怖い!!とにかくずっと画面が暗くて、怖いのに目を凝らして観ないといけないから、また怖さを増幅させる。

何、いったい何が来たの???

姉弟の罪悪感と絶望が邪悪なものに力を与えたのか

⇧この人の怖がり方が一級品笑♪

A.B.C-Zの塚田に見えて仕方がなかった姉ルイーズ笑。

都会で働いていたものの、最近職を失ったばかり。登場人物の背景は詳しくは描かれないが、頻繁に実家に帰れるような経済力でもなかったようす。

いい大人なのにいつまでもそんな風で、胸を張って田舎に帰れない引け目のようなものがあったのかもしれない。

実家に帰る、父母に会うというのは、そんなたいそうな気持ちがなくても、元気な顔を見せるっていうのが大事なんだけど、まだ30代だからそう思ってしまうのかもしれないよね。

つい旅行に連れていくとか、たいそうなことを考えてしまうけれど、そんな大きなことではなく、なんとなく電話してみる、一緒にお菓子を食べながら話す。

たぶんそれでいいんだよね。

LINEやメールではなく「生の声を聞いて元気の有無を雰囲気で感じ取る」とか「顔を観る」っていうのが大事だよね。

この世代の親の「大丈夫」っていうのは「無理してる」時もあるから。

⇧弟のマイケル。

日本の田舎の長男と言えば、幼い頃から洗脳みたいに「実家を継げ」とか「両親の面倒を見ろ」という空気感をしょって生きてきたけれど(マイケルの年齢の30代だったらそうでもないかな)、アメリカはその辺は自由なんだろうか。

マイケルは、農場を継ぐことなく離れた場所に家族で暮らしている。

二人とも実家にあまり帰らなかったことを悔いてはいるが、そこまでこの家への愛着が感じられないのよね。

もしかしたらあまり帰ってこなかったのは、いい思い出がなかったのかもしれない。

私も父母に会いたいから実家に行くけれど、町にはいい思い出がないから、愛着が全然ないのよね笑。

どちらかというと、家ごと地元の市街地の中心部に移動してほしいくらい笑。

罪悪感が「恐怖の家への束縛」から逃げられなくする

自分たちの帰省直後に母親が自殺して、それだけでも衝撃だったのに、傷心の二人に今度は、明かりがついたり消えたり、ドアが何度も開いたり。

しまいには母親の亡霊が農場の牧草地に出たり、ルイーズのシャワー中に歩けないはずの父親がそばに立っているリアルな幻影を観たり。

寝たきりのお父さんの口から大きなクモが出てきた時は、映画館なのに「ヒーーッ」と声が出そうになった笑。

母親のお葬式を終えたら、こんなヤバイところから速攻帰りたいのに、父親がいるので二人はこの恐怖の館から離れることができない。

こんなところに寝泊まりしたくないだろうに、家から出ることができない。こんなストレスってないよね!

ルイーズもマイケルも家族なんだから一緒の部屋にいればいいのに、別々の部屋に寝るのよね。

ホラー映画では一人になっちゃいけないってのに! 観てるこっちは、もう始終イライラハラハラ笑。

マイケルはバージニア(母)が書いていた日記を見つける。

「悪魔、悪魔、悪魔」と書かれたページを観てもにわかに信じがたかったが、数日後農場のヤギが何十頭も惨殺されているのを観て、人間の仕業じゃないと感じ恐ろしくなる。

私は「怖そう♪」ってだけで映画館に行って、ポスターをちゃんと観ていなかった。

実はこの映画のポスターは、このヤギの大量殺戮現場のシーンだったのよ!ギャー(色味を抑えてあるから気づかなかった!怖!よくこんなのポスターにしたな)

そしてこのマイケル・・・・こいつね、姉ちゃんだけにお父さん押し付けて、黙って自分だけとっとと帰るのよ!(怒)

あんた!こんな怖いとこに姉ちゃんを置いていけるわね!!(怒)

そういうやつには悪魔じゃなくても私が鉄槌を下す!!笑

マイケルは家に帰り着いた後、自分の家族が惨殺されている幻影を観せられ、絶望し自殺する。

家族はもちろん生きていて、死んだのはマイケルだけ。家から逃げても死ぬのねーー絶望・・。

この映画は、すべて自殺させる殺し方だったので、マーク・ウォールバーグ主演の『ハプニング』を思い出したけど、あの映画の比じゃないくらい怖かったなあ。

神父さんの話は真面目に聞くべし

訪ねてきた神父の顔の怖さったら・・・・・!!

それもそのはず、この神父は悪魔が見せている幻影だったのだ。(この人の普通の顔かもしれないじゃないの、失礼な)

幻影だとわかったのはだいぶ後だったが、もし自分が無神論者であっても、こういう時はもう神頼みしかでないでしょ?

ソーン神父は、母バージニアは「悪魔」を怖がっていたと言う。

マイケルが「そんなものなんているもんか!」と激怒してこの神父を帰らせるのよ。

ホラー映画の定番ではあるけど、「そんなことがあるはずないと決めつけて、ちゃんと人の話を最後まで聞かないタイプ」がね、いるのよね、ホント迷惑。しかもだいたい男。

それがこのマイケル。だからね、イラーっとする笑。

誰だってにわかには信じたくないわよ、でもあんたも実際観たじゃない、お母さんの亡霊。そして解決策知らないんなら聞いてみるしかないじゃない。

私だって初詣に行くくらいで神社仏閣には滅多にいかないけど、そういう時は迷わずエクソシスト(悪魔祓い)を呼ぶわよ?(何様?笑)

柔軟性がないから、ほんとむかつく笑(ホラー映画の術中にハマってるのは君)。

この時神父から手渡された電話番号にルイーズが電話してみると、その神父はシカゴ在住でテキサスなんか行ったこともないらしい。

「誘拐されていなくなった娘がルイーズで、きれいな金髪だった。君は娘の声にそっくりだ」

ルイーズは、その神父が幻影だった時点で、恐怖で電話を切ってしまうが、私はもっと考えたよ。

あのお母さん、ネイティブアメリカンだったし、お父さんも白人だけど黒髪。どうしても金髪のルイーズが生まれそうにないんだよね。

もしかしたら、お父さんがよその子を誘拐して育てたのかしら・・・だから悪魔に魅入られてしまったとかね。(誘拐映画を観すぎると妄想がこうなる)

ジャスミンKYOKOの煩悩だらけの映画トーク

一言でいうと、「妄想が恐怖を呼ぶ映画」。

映画を観ている人間は、「こうなった原因」をとにかく知りたくて映画の中に探す。

でも肝心な主人公の背景はあまり描かれないし、情報がほとんどない。しかもモンスターらしきものも最後まで顔を出さない。

何なの?なんでこの家なの? 謎は深まるばかりで観ている観客に「答え」らしいものをとことん与えてくれない。

だから妄想がすごい人(→私笑)ほど、色んな悪いことや原因を勝手に想像して、より恐怖を自ら作り出してしまうという斬新な作品だったのだ。

弟は去っても、父親と一緒にいると誓った姉ルイーズ。

ホラー映画の法則でもある「改心したから生き残る」ってわずかな希望を抱きながらルイーズを観るも、彼女にも等しく悲劇は起こる。

結局邪悪なものが何だったのか、本当に悪魔だったのか。それもわからない。

あの家に関わった人が全員死んで終わるラストで、救いようのない終わり方の映画でした。

やっぱり最後まで何者かわからない方がホラーは怖いよね。

悪魔がパタパタと走ったりした時点で恐怖が冷めるもんね(→過去にそういうのを観たことあり笑)。

アメリカの農場で1週間くらいステイするのが憧れだったのに、夜にこれを思い出しちゃうじゃないかーー!

よくできていて、史上最高の怖さだったけど、やっぱりエンタメホラーの方が好きな私には『ハロウィンKILLS』の方に軍配あり。

@『ダーク・アンド・ウィケッド』(2021年 米)

ルイーズ・・・・・・マリン・アイアランド

マイケル・・・・・・マイケル・アボット・ジュニア

1位・・・・・『ラスト・フル・メジャー』  

2位・・・・・『KCIA 南山の部長たち』

3位・・・・・『最後の決闘裁判』

4位・・・・・『スイング・ステート』

5位・・・・・『ヤクザと家族 The Family』

6位・・・・・『プロミシング・ヤング・ウーマン』

7位・・・・・『グリーンランド 地球最後の2日間』

8位・・・・・『ある人質 生還までの398日間』

9位・・・・・『クーリエ 最高機密の運び屋』

10位・・・・・『ビバリウム』

11位・・・・・『アイス・ロード』

12位・・・・・『RUN』

13位・・・・・『インヘリタンス』

14位・・・・・『ワイルド・スピード JETBREAK』

15位・・・・・『アオラレ』

16位・・・・・『キル・チーム』

17位・・・・・『ミアとホワイトライオン 奇跡の1300日』

18位・・・・・『秘密への招待状』

19位・・・・・『死霊館 悪魔のせいなら、無罪。』

20位・・・・・『モンタナの目撃者』

21位・・・・・『ハロウィン KILLS』

22位・・・・・『ダーク・アンド・ウィケッド』

22位・・・・・『OLD』

23位・・・・・『アウシュビッツ・レポート』

24位・・・・・『モーリタニアン 黒塗りの記録』

25位・・・・・『ダ・ヴィンチは誰に微笑む』

26位・・・・・『孤狼の血 LEBEL2』

27位・・・・・『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』

28位・・・・・『アウトポスト』

29位・・・・・『聖なる犯罪者』

30位・・・・・『ジェントルメン』

31位・・・・・『ファイナル・プラン』

32位・・・・・『ドント・ブリーズ2』

33位・・・・・『ゴジラVSコング』

34位・・・・・『ノマドランド』

35位・・・・・『キング・オブ・シーヴズ』

36位・・・・・『AVA/エヴァ』

37位・・・・・『テスラ エジソンが恐れた天才』

38位・・・・・『Mr.ノーバディ』

39位・・・・・『白頭山大噴火』

40位・・・・・『モスル』

41位・・・・・『キャンディマン』

42位・・・・・『カポネ』